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ヴィンテージ ジェットスキーに乗れるイベント 「Out a Time Sports」番外編 JS300チャレンジ開催 (水上バイク)

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ヴィンテージジェットスキーイベント「Out a Time Sports」参加者による記念撮影。

馬力は30馬力。非力なカワサキ「JS300」でタイムアタック大会

同じ水面、同じマシンを使ったイコールコンディション。ライディングスキルだけがモノをいう

去る3月15日(日)、ヴィンテージジェットスキーイベント「out a time sports」が、神奈川県平塚市のマリーナ・リバーポートマリーナ/ジェットフィールド湘南で開催された。この日は、「湘南合同PWCフェア」も併催された。イベント会場内は、新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐため、来場者には無料でマスクが配られ、各テーブルには消毒薬が置かれ、万全の対策が取られていた。
当日は、飛び入りOKとあって約30名のライダーが参加。イベントは大いに盛り上がった。

Out a Time Sports番外編・「JS300チャレンジ」体験記

本編のヴィンテージマシンイベントは、後日、改めて報告するが、今回は番外編の「JS300」のタイムアタック編。この大会の主催者である村尾高明氏が所有する純正ノーマルのカワサキ「JS300」を使ったタイムアタック大会が行われた。

JS300は、1985年に発売され、「手軽にジェットスキーの醍醐味を味わえるモデル」をコンセプトに開発された。ジェットスキーのなかで、最も排気量の小さい294ccの単気筒エンジン、最高出力は30馬力。ハルは「JS 550」と全く同じものが使われている。

私もチャレンジしたが、非力すぎてコーナーでマシンを倒す(バンク)ことができない。寝かせたら最後、起き上がれないのだ。でも、バンクさせなければコーナリングスピードが上げられない……。スピンするからだ。コーナーを攻めたいけれど、攻められない。慎重に「走り切っただけ」という、可もなく不可もない無難に遅いタイムで終わった。

優勝したのは、このマシンのオーナー、村尾高明氏。彼は、国内フリーライドの第一人者で、フリースタイルの元全日本チャンピオンである。フリースタイラーという肩書を感じさせない見事な走りを見せてくれた。ここ一番の勝負強さはもちろんだが、このイベントに向けて、十分な練習を積んできたそうだ。

「壊れているのではありません。マシンは絶好調です!」と、主催者が言うほど非力なJS300。なのに参加者全員が熱くなる

勝者は村尾氏だが、この日、最速タイムを叩き出したのは、2018年までプロライダーで、今はボートレーサーの小原聡将選手。なぜ、小原選手が優勝ではないかといえば、普通に走ると誰も彼に敵わないので、最初から「8秒のハンデ」を付けられていた。この8秒という数字は、元JS300のチャンピオン・下坂泰弘選手のタイム差から弾き出したものである。ちなみに、下坂選手は村尾氏に続き第2位となった。

小原選手のライディングを見て、心底驚いた。非力なマシンに勢いをつけ、スピードを殺さずにスラロームコースを曲がる姿は、「超」が付くほど見事なライディングテクニックだった。まさしくプロの走りであった。

ヴィンテージジェットスキーイベント「Out a Time Sports」と「湘南合同PWCフェア」については、後日、詳細に報告します。

好タイムを確信してガッツポーズする村尾高明氏。

優勝は村尾選手でタイムは45秒74。賞金を手に満面の笑みだ。

JS300タイムアタックでは、47秒37のタイムで 2位となった元JS300チャンピオン・下坂泰弘選手。伝説のライダー、デヴィッド・ゴードンのマシンでお茶目に登場。小原選手のタイムを聞いて、本気で悔しがっていた。

昨年10月、アメリカで行われたワールドファイナルのヴィンテージクラスで、世界第9位となった加藤 豪選手。JS300アタックのタイムは51秒67。司会進行や運営など、お疲れ様でした。

久しぶりのライディングでも、余裕の表情の小原聡将選手(写真左)。

皆を魅了したJS300の走り。小原選手の神業ライディング

小原選手は、自分のライディングフォームを変え、マシンに合わせて速く走ることだけに専念した。

小原選手は、コーナーでもほとんど減速させていない。直線からコーナーに入るときは、俊足の野球選手がベースにスライディングをするようなアプローチ。低い走行姿勢を、さらに低くしてブイに飛び込んでくる。

小原選手の走り。非力なJS300でこんなにマシンを倒すと、起き上がってこられず、曲がり続けてしまうか転倒してしまう。逆にハンドルを切るといった高等テクニックを駆使しながら走っている。

ほとんどの選手が、ここでフロントが水に潜って失速してしまう。小原選手の場合、フロントサイドは水に噛ませながら減速させない。とても、非力なJS300のコーナリングには見えない。

小原選手の走りを後方から見たところ。ほとんど転んで見えるくらい低い姿勢。常にマシンには水は噛ませているので、キャビテーションも起こらない。だから減速せずに走り切れる。神業ライディングだ。

最初からトップスピードでスラロームコースに飛び込んで、減速させないことだけを考えながら最後まで走り切る。直線でも、コーナーも、走行中にマシンから伝わる挙動を瞬間的に読み取って、間髪入れず対処できるように体ができ上がってているのだ。ライディングを極めるとここまでになれる。小原選手の走りに、心底シビれた。本当にすごいライディングテクニックを見せていただいた。「ありがとう」と、お礼を言いたいぐらい感動した。

最速タイムを叩き出し、全員の「俺が勝つ」という希望を壊した小原聡将選手。村尾氏に「空気を読め!」とマイクで放送されていた。
現在は、プロのボートレーサーだ。競艇はジェットスキーのレースよりも体力は使わないが、マシンのセッティング能力と、インペラーのセッティング能力、そしてライディングスキルが勝負を決めるそうだ。競艇選手には、女性も、高齢のベテラン選手もいる。小原選手は、ボートレーサーになって、ジェットスキーのテクニックにもさらに磨きがかかったのかもしれない。

受付は女性ライダーも担当。元全日本チャンピオンの小松麻衣子選手(写真左前)も、この大会のために滋賀県から駆けつけてくれた。

全員に優勝のチャンスがある。大人たちがドキドキワクワク。

ビンテージマシンのライディングフォームは全員が違う。見ていると話は尽きない。

女子選手も楽しそうだ。

主催者の皆さんもお疲れさまでした。

超玄人から、中古艇を見に来た初心者まで、さまざまな人が見に来ていた。ギャラリーも笑って見ていた。ビンテージマシンは、なぜか人を笑顔にする力がある。

来場者には無料でマスクが配られ、会場内の随所に消毒薬が置かれていた。衛生面にも非常に気を配っているイベントだった。

 

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