カテゴリ
タグ
  1. TOP
  2. LIFE
  3. お前の落としたジェットはどちらだ? 冬の究極の選択 コラム ジェットスキー(水上バイク)

お前の落としたジェットはどちらだ? 冬の究極の選択 コラム ジェットスキー(水上バイク)

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ランナバウトに、バイク用の「グリップヒーター」を付けたら離れられなくなった

ニューモデルの撮影の際、2台のランナバウトが用意されていた。1台が2021年モデルのフラッグシップ。こちらが、この日に撮影する艇だ。そしてもう1台が、取材班用に用意された2017年モデルの “グリップヒーター付き” ヤマハ FX HOである。

この時期なので寒いのは当たり前だが、今年の冬は特別に寒い。ニューモデルのインプレッションの撮影なので、「荒れた冬の海を、アグレッシブに走るシーンも欲しい」と、カメラマンは無責任に言う。一度、走るほうの身になってほしいものだ。

体は高性能ドライスーツに包まれているので問題ないが、手がどうしようもなく冷たい。グローブに冷水がビチャビチャとかかり、その濡れたグロ―ブに容赦なく寒風が吹きつける。“寒い” を超えて “痛い”。3分間が走る限界だ。濡れた手をハンドルから離して、膝の裏側にあてがい、ふくらはぎと太ももで挟み込む。ほとんど気休めにしかならないが、ジーンと痺れた手の感覚が、少しだけ戻る。

そんなことを3回くらい繰り返したら、体までカチンコチンに固まってきた。このままでは、撮影を続けるのは無理だ。ハンドルが握れない。いや、握りたくないと感じたとき、カメラマンを乗せたFX HOが近づいて来た。
「スミマセン、ちょっとだけグリップヒーター握らせて!」と、真冬の海に飛び込み、FX HOに乗り込んだ。カメラマンとドライバーをしてくれているショップ店長に「冷たい! うざい!!」と文句を言われながらハンドルグリップを握ると、両手の濡れたグローブから “幸せな湯気” が上がり始めた。

しかし、一度極限まで冷え切った手は、なかなか温まらない。「俺は、いつまでグリップヒーターを握っていられるのか……」。カメラマンの冷たい視線と温まらない手。永遠とも思える気まずさのなか、徐々に “幸せ” が両手から腕、そして体の中にまで入り込んで来た。

ふと気が付くと、10メートルほど離れた水面に、泣く子も黙る2021年ニューモデルが波に揺られて浮いていた。ようやく掴んだこの幸せを手放して、またあれに戻るのか? 思わず、ジェットを操船してくれている店長に、「ニューモデルに乗ってみませんか?」と聞いていた。
酸いも甘いも噛み分けたベテラン店長が言う。「温かい季節にね」

寒さは体力を消耗させる。そして何より体に悪い。人間、体は温めておかないとロクなことにならない。

マリーナに戻って、温かいシャワーを浴び、クルマに乗り込むとき、撮影に使った2台のランナバウトが浮いていた。

私は思った、今、この瞬間、水の中から神様が現れて、”グリップヒーターのない最新モデル”と”グリップヒーター装着の中古艇”「お前が落としたジェットはどちらだ?」と聞かれたら、間違いなく「中古艇!」と叫ぶ!と。でも、最新モデルにグリップヒーターを後付けすればイイじゃん、ていうか2台とも落としてないじゃん。

確か、この童話、木こりが湖に”斧”を落として、「金か、銀か、鉄、お前の落とした…」神様に聞かれて、正直に答え「ご褒美」を貰った話だった。全部ダメじゃん…。

「ぬくぬくキット」。冬場の必需品だ。エンジンを冷やすために使った冷却水(とてもいい湯加減になっている)を手にかけて温めるジェットスキーのノーベル賞的な発明&便利アイテムなのである。



苦い経験、ランナバウトに「ぬくぬくキット」は使えない!

冬の寒さの中で、グリップヒーターと言えば思い出したことがある。編集部の場合、ランナバウトは借りて乗る。取材のためだけに大事に乗ってすぐ返すことが基本である。いくら手が冷たいとはいえ、たった1度の撮影のためのグリップヒーターは贅沢すぎるし、もし装着しても、返却時には取り外して元通りに戻さないとダメなのだ。

そして思いついたのが「そうだ、ランナバウトにも、ぬくぬくキットを付けたらいいんじゃないの!?」だ。

「ぬくぬくキット」とは、冬場、スタンドアップに乗る必需品だ。エンジンを冷やすために使った冷却水(とてもいい湯加減になっている)を手にかけて温めるジェットスキーのノーベル賞的な発明&便利アイテムなのである。

いつもお世話になっているジェットショップ店長氏に、無理を言って、撮影艇にぬくぬくキットを装着してもらった。

ぬくぬくキットは、冷却水がエンジン内部を通過して、お湯になって通るラインにT型フィッティングとホースを装着して、両手にお湯がかかるようにする仕掛けである。材料費は安いのだが、装着するのに手間暇だけがかかる。店長には最悪で、私には最高という優れものなのだ。

バーゲン品でもグリップヒーターは1万円前後はかかる。ぬくぬくのホースだけなら300円くらいなのだ。取材の日にしか使わないので、費用の安いぬくぬくキットが欲しかったのだ。

結論

皆様、ランナバウトのぬくぬくキット、ダメでした。使えません。理由は立ち乗りと違い、温かいお湯が出ません。正確には、お湯は出ますが快適な温度ではありませんでした。快適なお湯をかけるならアクセル全開で走り続けるしかないのだと思います。私は1日走りましたが、1度も満足できる温度のお湯が手にかかることはありませんでした。

アクセルを開けても、ぬるいお湯が手にかかり、それに寒風が吹き付けられるので、つけてない方がマシ。時速30キロくらいならばお湯というよりも水の温度で、そこに寒風が絶え間なく襲い掛かります。店長の苦労には申し訳ないと思いながら、途中で外させて頂きました。

体験していないので定かではありませんが、快適だという温度にするにはアクセル全開で、かなりの時間走り続けるしかないはずです。

アクセル全開を何度も試みました。しかし、大海原で長時間のアクセル全開は、体力的にもかなりキツイです。

そして、アクセル開けると手にかかる水の勢いが増すのです。その水が、中途半端にぬるいお湯で、強烈な寒風と混じり合わさって、あまりの冷たさに我慢ができずに、アクセルを握っていられなくなるのです。

手が冷たいからお湯が欲しくてアクセルを握る。強烈な勢いで手が凍る。アクセルを緩めるしかなくなる。この繰り返しでした。だから、快適な温度になるかの説明ができません。いずれにせよ2度と装着しようとは思いません。


“グリップヒーター付き” ヤマハ FX HO。冬場の最強マシンだ。1度乗ると離れられなくなります。


【グリップヒーター関連記事】 極寒でもぬくぬく・後付け、グリップヒーター装着大作戦
冬でも手が温かい・グリップヒーターの装着方法

【関連記事】
優良ショップが教える、ジェットを長持ちさせるワンポイントアドバイス
2021 水上バイク国内全モデルラインナップ
2021年 BRP SEA-DOO(シードゥ)ニューモデル 国内全モデルラインナップ
2021年 ヤマハ マリンジェット ニューモデルラインナップ
2021年 カワサキ ジェットスキー ニューモデルラインナップ
良いジェットショップの選び方

ジェットスキー中古艇情報

月間アクセスランキング