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トヨタ自動車の業績が過去最高! それなのに残酷物語。苦境に喘ぐトヨタディーラー、10年間で400店舗も減少。本当の淘汰は今から…

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売上高31兆3795億円、営業利益2兆9956億円。増収増益と過去最高の業績に

トヨタ自動車は5月11日、2022年3月期(2021年4月1日~2022年3月31日)通期決算を発表した。営業利益は前年比36・3%増の2兆9956億円、売上高は前年比15・3%増の31兆3795億円となり、いずれも過去最高を更新した。
コロナ禍前に遡っても、過去最高の増収増益である。

「売れるクルマがない!」苦しいカーディーラー

メーカーは過去最高の増収と言っているが、それを売るディーラーの状況は厳しい。 一番の問題は、「売る商品がない」ことだ。

現在、新型コロナの影響やウクライナ危機などさまざまな要因が重なり、半導体やハーネスなどの部品が不足している。新車が納入されるまでに時間がかかり、ディーラーを苦境に立たせている。
国内の新車販売台数自体は回復傾向にあるが、多くのモデルの納期が長期化している。「販売停止」となっているモデルも結構ある。

「トヨタ」のディーラーといっても、一部を除いてトヨタとは別の独立した会社である。それぞれのディーラーは、ユーザーに新車を販売することで利益を得ている。
ユーザーからオーダーを受けていれば、納車でき次第お金になるが、販売されないとなれば代金をもらえなくなる。品薄の現在は、販売店にとって死活問題だ。

2020年5月から、トヨタ系のディーラーは「全てのトヨタ車」を扱えるようになった。残酷物語の始まり

2020年5月以前は、トヨタのディーラーは系列ごとに「売る車種」が決まっていた。それを、国内で4系列(トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店)あるトヨタブランド系ディーラーの全店舗において、一部車種を除き「全車種併売化」をスタートさせた。
系列ごとの“専売車種”がなくなり、ほとんど全てのトヨタ車が「全てのトヨタ系ディーラー店」で購入できるようにした。

ユーザーにしてみれば、自宅の近くで全てのトヨタ車が購入できるメリットがある一方で、人気のある機種に注文が集中するため、それほど人気のない機種は販売中止となっていく。「車種を選べる」選択肢が狭まる可能性はある。

トヨタ車の販売台数のピークは、1990年の250万台。昨年は半分以下の約100万台である。 トヨタの販売店も、2010年頃には全国に約5000店舗あったが、今は売れ行きの不振もあって約4600店舗まで減った。

それ以前は、トヨペット店とネッツ店が隣接していても、取り扱い車種が異なるのだから同じ市内に店舗があってもよかった。
それを、市場が縮小し続けるなか、系列ごとの「住み分け」をやめてディーラー同士で競わせ、販売台数の維持拡大に動き出したのだ。今後はこの流れが加速していくことだろう。

クルマの販売が激変する時代に突入する

少子高齢化や若年層のクルマ離れ、経済的に購入できないなどの理由で、クルマを購入する人が減っている。ディーラーにとって「クルマを買う人の減少」は避けられない課題だ。

販売台数がピーク時の半分以下になったのに、ディーラーの数が同じでいられるわけがない。新車販売以外に、収益を上げる方法を模索する必要に迫られている。それまで同じ地域で共存してきたトヨタの販売店同士が、ライバルとなる。

トヨタ販売店にとって、同じトヨタディーラー間での熾烈な競争が始まることは仕方のないことだし、多くのディーラーはトヨタの決断に理解を示すしかないのである。

クルマは“所有する”から“必要なときだけ利用する”へ

クルマを購入する人が減っているなか、「カーシェアリング」や「サブスクリプション(定額利用)サービス」の登録が増えている。「購入するよりもお得にクルマを利用できる」というのが主な理由だ。

トヨタも「KINTO」というサブスクリプションや、カーシェアリング「TOYOTA SHARE」を導入している。TOYOTA SHAREでは、普通は住宅地や駅のそばに車両ステーションを置いているが、試乗車の一部を店休日のみシェアカーとして利用できるものもある。
「いろいろな車を使いたい」という顧客ニーズに応えるためにも、「販売店に全ての車種が揃っている方が良い」というのがトヨタの論法だ。

カーシェアリングの会員数は増加していると先ほど書いたが、特に都市部では需要が多い。クルマを利用することで、「将来的に購入を考える機会」を持たせるのも狙いのひとつだ。今はクルマを買わないが、きっかけがあれば購入する「潜在的な顧客層」の開拓にも繋がる。

これはトヨタだけでなく、ニッサンやホンダも独自にカーシェアリングサービスを始めている。
今後、カーシェアリングがどこまで普及するかは未知数だが、何もしなければ販売店もジリ貧になるのは目に見えている。

メーカーがカーシェアリング車を増やす目的

トヨタは国内生産台数を維持することが国際競争力を維持する上で必要だとしている。トヨタの国内生産は年間320万台だ。しかし、このままでは販売台数も減り、国内生産の規模を維持できなくなる。
一方、シェアリング用として供給する台数を増やせば、生産台数を大きく減らさずにすむ。

今、自動車業界は「100年に一度の変革期」といわれている。2020年から始まった「全車種併売化」は、この時代にトヨタが考え出した「次の一手」となるか「苦肉の策」となるか、これからの市場によって変わってくるだろう。

確実に見えている未来は、「競争力の弱い販売店は淘汰される」「競争に打ち勝ったディーラーとメーカーはより強いパートナーシップを結ぶ」ということだ。

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