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電気代が高いのは “エネルギー価格の高騰” だけが原因ではない! みんなが支払っている「再エネ賦課金」って何? 一般家庭で年間1万円以上も負担させられているが、これって必要なの?

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電気料金は、あらゆる意味で難しい。「再エネ賦課金」の話である

現在、日本の電力の約75%を「石油や石炭、天然ガス」といった化石燃料による「火力発電」が占めている。
再エネとは「再生可能エネルギー」のことを言い「太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、バイオマス」など、化石燃料と違って「すぐに再生するエネルギー」のことをいう。
「再エネ」とは、いくら使っても、次から次へと湧き出てきて枯渇することがない、太陽光発電のように「太陽が出る限り永遠に電気が作れる」というイメージだ。

この「再生可能エネルギー」を国が全部買い取り、その支払いを国民に“負担させている”のが「再エネ賦課金」なのである。

2012年にこの制度が出来てから、年々「再エネ賦課金」が値上がりしている。
電気代の請求書を見て「再エネ賦課金」という項目があることは知っていても、おそらくほとんどの国民が知らないうちに決められ、知らないうちに値上げされ、負担させられているような気がしている。

今、話題のウクライナとは関係ないが、最近、特に「電気代が高い!」と感じることはないだろうか?

今年の夏も暑かった。電気代の請求書を見て、「高い!」と感じることも多かった。もちろんウクライナ危機でエネルギー料金は高騰しているが、それとは違う話である。

まずは、電気代の請求書を見てほしい。「再エネ発電賦課金」という名目で請求されている料金があるはずだ。
今回は電気を使う人全員が、毎月徴収されている「再エネ発電賦課金」の話である。

「再エネ賦課金」の正式名称は「再生可能エネルギー賦課金(ふかきん)」と言い、毎月の電気代に「再エネ発電賦課金等」という名前で加算されている。

請求書の項目にある「再生可能エネルギー賦課金」って何?

電力量料金のほかに取られている、この「再エネ発電賦課金」って何だろう? と、常々思っていた。
そして、この「再エネ発電賦課金」が、年々高くなっていることにも気が付いていた。

再エネ賦課金を簡単に言えば、「太陽光や風力といった、再エネで発電した電気を買い取るためのお金のこと」である。
日本は、2030年度に「再生可能エネルギー(以下、再エネ)」を36~38%に増やすという計画を打ち出した。

2019年の発電電力量で最も多いのは、化石燃料の「天然ガス:37.1%」、次いで「石炭:31.9%」。日本の電力の約75%を石油や石炭、天然ガスといった「火力発電」が占めている。
電源に占める再生可能エネルギーの割合は、制度が始まる前の2011年度は10%だったが、2019年度は18%にまで上昇した。しかし、火力発電に比べるとまだまだである。

太陽光や風力発電が普及するまでの間、買い取りにかかるお金は「国民みんなで負担しましょう」という制度

そこで、再エネを導入しやすくするため、「再エネで発電した電気を一定期間・一定価格で買い取ること」を約束する「固定価格買取制度(FIT)」という仕組みが作られた。
太陽光や風力発電が普及するまでの間は、原子力や火力、水力発電に比べて割高になるので、その間の買い取りにかかるお金は「みんなで負担しましょう」という制度だ

買い取り価格は国が毎年定め、家庭用の太陽光発電(10kWh未満)は10年間、地熱発電は15年間、それ以外の再生可能エネルギーは20年間、同じ価格で買い取ってもらえる。
再エネのなかでも太陽光発電は、FIT(固定価格買取制度)によって高い売電価格が設定され、それにより一般住宅などへの普及が進んだ背景もある。

住宅用太陽光発電の余剰電力は、固定価格での買取期間が10年間と定められているが、最も買取単価の高かった2012年ごろに太陽光発電システムを導入したユーザーは、「1kWhあたり40円」で10年間買い取ってもらえた。これは、「相場の2倍近い水準」であるともいわれている。

2022年度のFITは、住宅用太陽光発電・10kWh未満で1kWhにつき17円である。
その高額な売電価格は、電力会社が負担するわけではない。
国民全体が「再エネ賦課金」という形で「電気料金に上乗せ」され、負担をしているのだ。

家計を直撃する「再エネ賦課金」は、電気代の約10%を占める。年々値上がりし、一般家庭で月に873円も支払っている

「再エネ賦課金」で何より問題なのは「国民への負担」である。2020年3月下旬に経産省が発表した「2021年度の買い取り費用の想定額」は約3兆8000億円である。
制度開始直後の2012年は約2500億円だったが、15倍超に増えている。

このうち電気料金に上乗せされ、国民負担となるのは2兆3700億円だ。賦課金単価は「1kWhにつき3円36銭」。一般的な家庭での平均モデル負担額(月260kWh)で、賦課金は月に873円にのぼる。

さらに東京電力が発表した、今年5月~来年4月までの「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価」は「1kWhにつき3円45銭」と、昨年度よりさらに値上がりしている。

今年の4月から国の方針が変わった。新しい制度「FIP」って何?

「FIT制度」の国民負担の重さが指摘される中、政府は本格的な方針転換に踏み切った。
2022年4月1日から再生可能エネルギーの「FIP制度」が開始されたのである。

「FIT制度」が「電気を買い取る価格が一定」であるのに対し、「FIP制度」は「買取価格が変動」する。『再エネ発電事業者が卸市場などで売電したとき、その売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せすることで、再エネ導入を促進します』と、経済産業省が説明している。

「FIT制度」は固定価格買取で電力市場の需給バランスから切り離されているため、国民負担の増加が問題となっていた。
例えば、「買取単価が30円」だったら、市場価格が5円でも10円でも「30円」で買い取ってもらえる。市場価格が安いときに売れば、それだけ利ザヤが大きくなる。

FIP制度は、時間によって買取単価が変動する。
プレミアムを上乗せすることで、再エネ発電事業者へのインセンティブを確保しつつ、電力市場と連動した買取制度となった。そのため、発電事業者は「いつ・誰に・いくら」で再エネ電力を売るかという自由競争になる。

それでは発電事業者の事業が成り立たない可能性が出てくるので、国は電力の需要が少ないとき(市場価格が低いとき)には補助金を厚めに出し、逆に需要があるとき(市場価格が高いとき)には、補助金は少なくするという。

このFIP制度は、4月以降に新設される発電所のうち、いわゆる「メガソーラー」と言われる1000キロワット以上の出力がある発電所に適用される。
50キロワット以上で1000キロワット未満の発電所は、FITかFIPを選択することができる。

「FIP制度」になったら国民の負担が少なくなるの?

問題は、「FIP制度」になったら負担が少なくなるかどうかだ。
プレミアム額も国民負担でまかなわれるが、「入札による競争」がさらに進んでコスト低減が促され、国民負担の抑制につながることが期待されている。
今年4月から始まった制度なので、どれくらい国民負担が削減されるか結論が出るのは来年だろう。

電気料金は、ライフラインの際たるもののひとつだ。いくら節電を心がけるといっても、猛暑のなか、エアコンを付けずにいたら熱中症になるかもしれない。最悪の場合、死に至る。
電気代が高いと言うのは、それだけで「安心して生活ができなくなる」のだ。安心して生活ができるようにしてほしい。

補足:「再生可能エネルギー」とは?

再エネをものすごく簡単にいえば、使ってしまえば次に作られるまで膨大な年月を必要とする化石燃料(石炭や石油、天然ガス)と違って、「一度利用しても、比較的短い期間で再生するエネルギー」のこと。
太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、バイオマスなどがそれにあたる。枯れることなく、繰り返し利用できる。

■メリット
燃料が枯渇する心配がない
火力発電のように温室効果ガス(CO2)を排出しない
エネルギーの供給場所を問わず、各地どこでもすぐに調達できる
有害物質(焼却灰など)、廃棄物(放射性廃棄物など)が発生しない

■デメリット
天候によって発電量が大きく変動するため不安定
発電コストが高い
発電所の設置に適した場所を調べる手間、コストがかかる
景観を害する場合もある

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