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  3. 20歳の夏 【第7回】津ベース潜入取材
薄汚れた政治家のポスターが貼ってあるヒミツの扉を開けた。

中にはお宝がギッシリ。ここはレーサーたちのパラダイス。

「ようこそ、僕らの秘密基地へ」

第7回 「父を尊敬する息子、息子を認める父親

世界を目指す20歳のライダー・片野丈一郎選手。彼は、父親である片野宣之氏の全面サポートのもと、二人三脚で戦っています。宣之氏は45歳で、現役バリバリのレーサー。息子である丈一郎選手を非常に可愛がっています。また、丈一郎選手は父親を尊敬しながら、とても好いているのが分かります。理想的な親子の関係が、当たり前のようにできあがっているのです。

今回、「2人並んだ写真を撮りたいので、肩を組んでください」とお願いをしたところ、少しハニカミながらも、笑顔でガッチリと肩を組んでくれました。普通、この年代の親子に同じお願いをすると、たいてい子供のほうが照れて、嫌がられることが多いのです。でも、片野父子は、そんな素振りもありません。これは、お互いを認め、信頼し合っている証拠です。見ていて、何だか気持ちが嬉しくなったし、少しうらやましくもありました。

右から順に、スパークが2台、HX3台。

2階にはHX(写真左)とXP(右)。両方とも、絶版機種。XPはHXのレース艇を造るための部品取り艇。

スパークターボが並ぶ林口選手のスペース。

手前が、今回(第6回に掲載)試乗させてもらったHX。

チームで耐久レースに出るときに使っているカワサキSTX-15F。

HXのハル形状について熱く語る、父・宣之氏。

自慢の「紅矢俊栄選手が使っていたHX・1号艇」。「コーナリングがすこぶる良い」と、宣之氏大絶賛。

HXの話を始めると止まらない(写真左が宣之氏)。

ウェットカーボン素材のHX。

マシンを褒めると本人が照れる。

褒めたらマシンを磨きだした。


気が付いたらHXが11台ありました。
まだ増えるかも……?

父・宣之氏は、「超」が付くほどの「SEA-DOO HX大好きレーサー」です。「部品取り艇」、「お宝艇」を含め、計11台のHXを所有しています。事前に「お持ちのHXを撮影させていただきたい」とお願いしたところ、「レース本番艇やお宝艇の保管場所と、部品取り用やストック艇では置き場所が違います」と言われていました。

最初に、レース本番艇を保管してあるガレージに行きました。そこは、かなり専門的な工具が揃っていて、エンジンの積み替えなど、大がかりな修理もできる本格的なレーシングピットのようでした。 宣之氏に、このガレージについて質問をしました。

天井からチェーンブロックが吊るされている。エンジンだけではなく、マシンの上げ下ろしもできる。


立派な経営者なのに、なんか計算が変!?

WJS ずいぶん、立派なファクトリーですね。
片野(父) ええ。でも私一人で借りているわけではありません。他のレーサーの方と一緒に借りているんで安いんですよ。
WJS 何人くらいで共同で借りているのですか?
片野(父) 一緒にレースに出ている林口忠雄選手と落合英友選手、それとジョー(丈一郎選手)。あとはウチの会社が2口と私です。だから、負担は1/6ですね。
WJS ちょっと確認させてください。丈一郎選手はまだ学生だし、会社は宣之さんの会社ですよね?
片野(父) そうです。
WJS それって、計算が合わないような……? 確かに、林口選手と落合選手は1/6ずつですが、宣之さんが残りの4/6を払っていることになりませんか?
片野(父) ははは。そうですね(笑)。

トランプの「0128」は、宣之氏の誕生日をデザインしたもの。取材時、親子揃って「数字は、塗装店が勝手に入れた」と言い張っていたが、ギリギリになって思い出した。「それ、僕の誕生日です(宣之氏)」。このピカピカのHX、実はかなり昔に塗装だけされていたのです。これがもし、丈一郎選手の誕生日なら絶対に忘れていないはず……。

チームの発祥が松坂市。市のマークが「Bell(鈴)」。だから「Bell Factory(ベル ファクトリー)」である。しかし、今は津市の人間ばかりだ。

チームの話とジェットの話と息子の話をするときは、顔つきが変わる。

「チーム」「地元」「仲間」をとても大事にする人。

エンジンも何も入っていない船体だけのHXなのに、ファクトリーの一番目立つ場所に鎮座しているお宝HX。シートすらない……。

「これ、僕の取材ですよね(笑)?」

紫色が、Bell Factoryのチームカラー。

取材時には、キチンとチームのTシャツを着ている。

部品取り用のマシンが置かれた第2ファクトリー

最初のファクトリーから、車で走ること20分弱。もう1カ所のガレージに到着。「ここは、会社の敷地内なのでタダなんです(宣之氏談)」。会社も部門ごとに場所が分かれている。ここはあまり人が行き来しないセクションなので、誰も何も言わないから、都合がいいという不思議な説明……。

取材に来るまで「現在、HXが何台あるのか数えたことがなかった」と言い、11台という数に、本人が一番驚いていた。

シャッターの向こう側には、不思議な世界が……。

どこもかしこも整理整頓されてキレイ。

HXが5台と、なぜかヤマハTZ。なんでTZがあるのか聞くと、「ライバルですから」という答えだった。……ライバル?

HXに囲まれてご満悦。次にHXを買ったら、どこに置こうか悩んでいるそうだ。

片野丈一郎選手の原点
一番古いジェットの思い出は「HXの上で喜ぶ3歳の自分」だった

下の埃にまみれた「33」のゼッケンが付いたフードは、3歳のとき父・宣之氏に連れられて行ったレースの思い出。

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