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シリーズ20歳の夏 第11回「世界へのチャレンジ・ベルギー国 参戦記 その4」

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ベルギー名物・ブリュッセルの「小便小僧」。

勝てて当然のはずが……。

「EURO JETSKI CHAMPIONSHIP」ベルギー参戦記

ここ2年ほど、一度も起きなかったトラブル発生!
「勝てて当然」の大会のはずだったのに……

7月7日(日)・MOTO3。これで、ベルギー大会の勝者が決まります

モト3は、アウトコースのインからスタートです。しっかりとホールショットを取って、合流でも1番。後ろを確認したら、ミラー選手は4位だったので、「よし、これはイケるかも」と、思った瞬間、マシントラブルが発生!? エンジンは回っているのに、前に進まない……。エンジンがニュートラル状態になっています。すぐにピットに戻って確認すると、ドライブシャフトが折れていました。

ここ2年くらい、全く折れなかったシャフトが、この大事な場面で折れるなんて……。これで、今回のベルギー大会は終わってしまいました。強豪選手が大勢いるなかに挑んでいく今までの国際大会と違って、今回は、「勝てて当然」という状況だったのに勝てなかった。モト1のミスブイと、モト3のマシントラブルが効きました。

結果は総合5位でしたが、「JETSKI WORLD Series 2019」は、ベルギー(EURO JETSKI CHAMPIONSHIP)、ハバス(WORLD FINALS)、タイ(JET SKI WORLD CUP)の3大会の総合ポイントでチャンピオンが決まります。だから、強豪選手がハバスから参戦してきても、ベルギーのポイントを持っている僕が有利です。あと2戦、希望を持って頑張ります。



同行したコンストラクター・藤江功一氏のベルギー参戦記
とにかく、「ついていなかった」。あと半周走って、1周できたらモト3のポイントがもらえて総合2位だったのです。1周に満たずにリタイアしたので、ポイントは付かず, 総合5位。

インペラーが緩んで、ドライブシャフトが折れました。実は、ポイントリーダーのミラー選手も、このヒートはマシントラブルがあったようで、最後にゆっくり走っていました。結局、このヒートの勝者は青色のTZ。だから、ジョーが最後まで1位で走っていたら、総合優勝だった。運がなかった……。

だけど、ドタバタのベルギーレースのなかで、ジョーは「自信」を掴んだと思います。それは非常に良いことだし、次から強豪たちが参戦してきても、ベルギーでのポイントは大きい。だから、より一層頑張ろうと思います。

それにしても、「インペラーが緩むか?」って、悔しいです。今回、ライダーもかなり成長しているのを感じました。日本で新たに作った1500エンジンのHX。あれで変わりましたね。今、70ℓ分のガソリンを、ぶっ通しで乗り続けて練習しています。コーナーリングスピードもかなり上がりました。

素質があって、若さもある選手なので、これからどんどん成長してくるでしょう。彼が乗れるようになった分、今まで壊れなかった部分が壊れる可能性が出てくる。そこを見極めて、対策を立ててあげなくては……。今から、次戦のアメリカと、最終戦のタイが非常に楽しみです。

 

ドライブシャフトが折れるとは、思わんかった。

スマホをスラれて、途方に暮れる片野丈一郎、ハタチの夏。

本当は、たくさん撮影したベルギーの写真が少ない理由……。

今大会、WJS編集部に頼まれて、iPhoneでいろいろと写真を撮っていたのですが、そのスマホを、「プロのスリ」に盗まれてしまいました、はい……。

僕と同じ年くらいの若い兄ちゃんが、ずっとしつこく擦り寄ってきて、「マリファナを買わないか?」などと言ってくる。断っているのに、馴れ馴れしく肩を組んできます。離れても、それでも馴れ馴れしく肩を組んでくる。あまりにしつこいので、押して突き放したところ、その瞬間、その兄ちゃんに足を引っかけられて、よろめいてしまいました。

一瞬で、「携帯がない」と気が付き、振り返ってその兄ちゃんを探したら、猛ダッシュで逃げていくのが見えました。500mくらい全力で追いかけたのですが、だんだん危なそうな地区に入り、いかにも危なそうなビルの中に飛び込んで行きました。さすがに、「これ以上追うのは危険」と、追いかけるのを諦めました……。

メチャクチャ腹が立ちましたが、逆に、盗んだ兄ちゃんの手際の良さにも驚きました。感心している場合ではないのですが、本音を言えば、ちょっと感心していました。というわけで、僕が撮影した写真はなくなってしまったのです……。すみません。なので、これより下の写真は、全て藤江さんが気まぐれに、自分の興味のあるものだけを撮ってくれたものです。

ブリュッセルに来る観光客は、ほぼ全員、ここで写真を撮ります。

ジャガイモには間違いないが、美味いか、不味いか分からない……。

ソーセージと玉ねぎが交互に串に刺さっている。焼き鳥でいうところのネギマ。

食べても食べても、何か分からなかったナゾの食べ物。これも、美味いか、不味いか分からない……。

フライドポテト。これは美味しかった。

フランスパンのサンドウィッチと、クロワッサン、コーヒー。これも美味しかった。

「上手く、色を塗っとるなぁ」。キレイだから撮ったSPARK。よく見ると、ステッカーチューン。

レース会場は、こんな雰囲気。

ステーキを頼んだら、コレが来た。

生肉は想定外。フランス語なので、調理場まで持っていき、身振り手振りで「焼いてくれ!」と頼んで、焼いてもらった。美味しいハンバーグになりました。

「JSU」のSPARK。JSUは、ヨーロッパのパーツメーカー。

キングスカップチャンピオン、モラン・ラファエル選手と同じカラーリングのマシンと、思って撮った写真。実は微妙に違った。

タイでよく見る「Knauf(ノーフ)」のマシン。ノーフは、ヨーロッパの大手建設会社の名前。

右端のヘルメットを被っているのが、キングスカップチャンピオンのラファエル選手。左が、彼のマシン。ちなみに、スタンドアップクラスの勝者は、ワールドファイナルチャンピオン、クエンティン・ボッシュ選手だった。僕(藤江)がレースを見ていて、あきらかにクエンティン選手が頭ひとつ抜け出ていた。その下に、ラファエル選手、ケヴィン・ライテラー選手、ジェレミー・ポレット選手がしのぎを削っていると感じた。

Pro Runabout GPクラスの勝者は、モハメド・ブバイエア選手(クウェート)。

ゼッケン38番が、モハメド・アルバ選手のマシン。アルバ選手は、チャンピオンとなったブバイエア選手の兄弟。

耐久レースに勝ったフランスのパスタレロ選手の「Kawasaki ULTRA310」。パスタレロ選手は、「耐久のスペシャリスト」と呼ばれ、昨年のキングスカップの耐久レースも、彼が勝っている。パスタレロ選手は、世界的に有名な耐久レースのライダーで、その勝ち方はホールトゥフィニッシュがほとんど。スタートで3位以下になることはない。

不思議なのは、そのマシンだ。他の選手は、かなり手が加えられたターボ艇などで出場しているにもかかわらず、彼の乗る、「ほぼノーマルのKawasaki ULTRA310」が、レース序盤から前に出るのだ。僕(藤江)は、そのマシンが気になって仕方なかった。船体はノーマルハル。スポンソンだけが、地味な形のアフターパーツメーカー製に変更されている。

足まわりを確認したが、スコープゲート、ライドプレート、ポンプノズルの全てがノーマルだった。ウォーターラインの増設すらしていない。唯一変わっていたのが、インペラーがソラス製。ポンプノズルの内側がボーリングされていただけだった。ボーリングすることで、最高速が伸びる。これは、僕らもよくする加工です。ただし、こんな仕様でこの速さは本当に驚くばかりです。マシンを見ている限り、まさにパスタレロ選手は、「耐久レースのスペシャリスト」と呼ぶしかありません。

ブリュッセルにある、チョコレートで有名な「Godiva(ゴディバ)の1号店」といわれている店。実は、1号店は戦争で焼けてなくなっています。ここは、「焼けた1号店の近くに新たにできた店」なのです。ショップの店員に直接聞いたので、間違いありません。日本のインターネットの情報は間違いです。(by.藤江)

左下で歩きスマホをしている金髪の青年が、片野丈一郎選手。まさにスマホをスラれる直前。なくなるとは、夢にも思っていないころです。

ブリュッセル一の繁華街。有名なアーケード。

ヨーロッパっぽいオープンカフェ。

「なんでこんな貝を頼むんだ!」と、皆に糾弾された。食べ終わると、「これは美味い!」と大絶賛に変わったムール貝。(by.藤江)

ファンキーでポップな小便小僧のレプリカ。

小便少女は、ベルギーの首都ブリュッセルにある像、噴水。小便小僧に便乗したものである。小便小僧の反対側のブシェール通りの脇に入った路地にある。ブシェール通りは、かつてゲイの集まる場所であった。いわゆる「ハッテン場」である。

一番手前の金髪青年が片野選手。まだスマホを持っている。編集部に頼まれて、一生懸命、写真を撮ってくれている。



「JETSKI WORLD Series 2019」とは

7月にベルギーで行われた「EURO JETSKI CHAMPIONSHIP(ユーロ・ジェットスキー・チャンピオンシップ)」、10月に、アメリカのレイクハバスで行われる「WORLD FINALS(ワールドファイナル)」、12月にタイで行われる「JET SKI WORLD CUP(ジェットスキー・ワールドカップ)」。この3つの大会を「THE TRIPLE CROWN(トリプル・クラウン)」と呼び、総合チャンピオンは、「世界チャンピオン」の名誉と、高額の賞金を手にすることができます。これは、今年から創設されたもので、タイトル獲得者は、「初代・JETSKI WORLD Seriesチャンピオン」として、長く歴史に刻まれることになります。

JETSKI WORLD Series 2019各クラスの賞金額

クラス名 賞金額
Pro Sports GP 10,000USドル
Pro Ski GP 30,000USドル
Pro Runabout GP 30,000USドル
Pro R/A 1100 Open 10,000USドル
Pro Free Style 10,000USドル
Pro-Am Endurance Open 10,000USドル

※2019年7月19日現在、1USドル107.649円。片野選手の出場するPro Sports GPクラスの賞金は10,000USドルなので、日本円に換算すると「1,076,490円」になります。

賞金額は、大会主催者によるカテゴリー別の格付けを意味します。販売台数の最も少ないスタンドアップ(スキー)クラスや、現在、販売されていないSportsクラスの金額が高額であることから、「ジェットスキーのカテゴリー別の販売台数と、ジェットスポーツとしての面白さは、必ずしも比例しない」ということを物語っています。

いつの時代も、オーディエンスを最も熱狂させるレースが、一番最後になると決まっています。そして、ジェットスポーツ界において、トリを飾るのがスキークラスなのです。

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