モト3は、アウトコースのインからスタートです。しっかりとホールショットを取って、合流でも1番。後ろを確認したら、ミラー選手は4位だったので、「よし、これはイケるかも」と、思った瞬間、マシントラブルが発生!? エンジンは回っているのに、前に進まない……。エンジンがニュートラル状態になっています。すぐにピットに戻って確認すると、ドライブシャフトが折れていました。
ここ2年くらい、全く折れなかったシャフトが、この大事な場面で折れるなんて……。これで、今回のベルギー大会は終わってしまいました。強豪選手が大勢いるなかに挑んでいく今までの国際大会と違って、今回は、「勝てて当然」という状況だったのに勝てなかった。モト1のミスブイと、モト3のマシントラブルが効きました。
結果は総合5位でしたが、「JETSKI WORLD Series 2019」は、ベルギー(EURO JETSKI CHAMPIONSHIP)、ハバス(WORLD FINALS)、タイ(JET SKI WORLD CUP)の3大会の総合ポイントでチャンピオンが決まります。だから、強豪選手がハバスから参戦してきても、ベルギーのポイントを持っている僕が有利です。あと2戦、希望を持って頑張ります。
同行したコンストラクター・藤江功一氏のベルギー参戦記
とにかく、「ついていなかった」。あと半周走って、1周できたらモト3のポイントがもらえて総合2位だったのです。1周に満たずにリタイアしたので、ポイントは付かず, 総合5位。
インペラーが緩んで、ドライブシャフトが折れました。実は、ポイントリーダーのミラー選手も、このヒートはマシントラブルがあったようで、最後にゆっくり走っていました。結局、このヒートの勝者は青色のTZ。だから、ジョーが最後まで1位で走っていたら、総合優勝だった。運がなかった……。
だけど、ドタバタのベルギーレースのなかで、ジョーは「自信」を掴んだと思います。それは非常に良いことだし、次から強豪たちが参戦してきても、ベルギーでのポイントは大きい。だから、より一層頑張ろうと思います。
それにしても、「インペラーが緩むか?」って、悔しいです。今回、ライダーもかなり成長しているのを感じました。日本で新たに作った1500エンジンのHX。あれで変わりましたね。今、70ℓ分のガソリンを、ぶっ通しで乗り続けて練習しています。コーナーリングスピードもかなり上がりました。
素質があって、若さもある選手なので、これからどんどん成長してくるでしょう。彼が乗れるようになった分、今まで壊れなかった部分が壊れる可能性が出てくる。そこを見極めて、対策を立ててあげなくては……。今から、次戦のアメリカと、最終戦のタイが非常に楽しみです。
今大会、WJS編集部に頼まれて、iPhoneでいろいろと写真を撮っていたのですが、そのスマホを、「プロのスリ」に盗まれてしまいました、はい……。
僕と同じ年くらいの若い兄ちゃんが、ずっとしつこく擦り寄ってきて、「マリファナを買わないか?」などと言ってくる。断っているのに、馴れ馴れしく肩を組んできます。離れても、それでも馴れ馴れしく肩を組んでくる。あまりにしつこいので、押して突き放したところ、その瞬間、その兄ちゃんに足を引っかけられて、よろめいてしまいました。
一瞬で、「携帯がない」と気が付き、振り返ってその兄ちゃんを探したら、猛ダッシュで逃げていくのが見えました。500mくらい全力で追いかけたのですが、だんだん危なそうな地区に入り、いかにも危なそうなビルの中に飛び込んで行きました。さすがに、「これ以上追うのは危険」と、追いかけるのを諦めました……。
メチャクチャ腹が立ちましたが、逆に、盗んだ兄ちゃんの手際の良さにも驚きました。感心している場合ではないのですが、本音を言えば、ちょっと感心していました。というわけで、僕が撮影した写真はなくなってしまったのです……。すみません。なので、これより下の写真は、全て藤江さんが気まぐれに、自分の興味のあるものだけを撮ってくれたものです。
7月にベルギーで行われた「EURO JETSKI CHAMPIONSHIP(ユーロ・ジェットスキー・チャンピオンシップ)」、10月に、アメリカのレイクハバスで行われる「WORLD FINALS(ワールドファイナル)」、12月にタイで行われる「JET SKI WORLD CUP(ジェットスキー・ワールドカップ)」。この3つの大会を「THE TRIPLE CROWN(トリプル・クラウン)」と呼び、総合チャンピオンは、「世界チャンピオン」の名誉と、高額の賞金を手にすることができます。これは、今年から創設されたもので、タイトル獲得者は、「初代・JETSKI WORLD Seriesチャンピオン」として、長く歴史に刻まれることになります。
クラス名 | 賞金額 |
---|---|
Pro Sports GP | 10,000USドル |
Pro Ski GP | 30,000USドル |
Pro Runabout GP | 30,000USドル |
Pro R/A 1100 Open | 10,000USドル |
Pro Free Style | 10,000USドル |
Pro-Am Endurance Open | 10,000USドル |
※2019年7月19日現在、1USドル107.649円。片野選手の出場するPro Sports GPクラスの賞金は10,000USドルなので、日本円に換算すると「1,076,490円」になります。
賞金額は、大会主催者によるカテゴリー別の格付けを意味します。販売台数の最も少ないスタンドアップ(スキー)クラスや、現在、販売されていないSportsクラスの金額が高額であることから、「ジェットスキーのカテゴリー別の販売台数と、ジェットスポーツとしての面白さは、必ずしも比例しない」ということを物語っています。
いつの時代も、オーディエンスを最も熱狂させるレースが、一番最後になると決まっています。そして、ジェットスポーツ界において、トリを飾るのがスキークラスなのです。
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