2019 World Finals予告編　世界のナンバーワンを決める戦い　ジェットスキー（水上バイク）

世界一を決める世界大会。2019年「World Finals」、いよいよ開催

いよいよ、この季節がやって来た。10月5日（土）～13日（日）まで、アメリカのアリゾナ州レイクハバス市でジェットスポーツ界のナンバーワンを決める「World Finals」が開催されます。「World Finals」は、ジェットスキーレースの世界選手権大会の名称です。

「World Finals」を10倍楽しく見るために

いくら素晴らしい大会でも、予備知識がなければ、単なる暗号のような内容になってしまいます。そこで、2019年の「World Finals」でチェックしておくべき内容を、編集部でまとめました。

「Champion Made Here」世界チャンピオンはここから生まれる

「World Finals」の歴史は、今から38年前に始まりました。最初は、アメリカの国内ツアーの最終戦でしたが、ジェットスキーのユーザーが増え、世界中から参加者が集まるようになりました。そこで、「World Finals」と称して、世界ナンバーワンライダーを決める大会となったのです。そして、会場であるレイクハバス市は、ジェットスキーの聖地とも呼ばれ、「Champion Made Here」という看板も立てられています。

ここ最近は、12月にタイ国で行われる「King's Cup」という国際大会も、着実にレベルが上がり、現在では、「World Finals」と双璧をなしています。ざっくりと説明すれば、「World Finals」は「名誉」、「King's Cup」は「富（高額の賞金）」が得られます。最近では、「名誉」よりも「富」を求めるライダーも多くなっているのも事実です。自分に自信があれば、富と名誉の両方を求め、「World Finals」と「King's Cup」の両大会に出場します。

2019年の「World Finals」のメインクラスの決勝ヒートは、10月13日（日）です。現地に取材に赴いている取材班が、毎日、大会の模様を速報でお知らせする予定となっています。お楽しみを。

注目のカテゴリーの見どころ紹介

Pro Freestyleクラス

昨年（2018年）の大会では、イギリスのリー・ストーンが、世界初の完璧なダブルバレルロール（写真上）を行い、世界を魅了しました。「いつか、誰かがやるだろう」と言われ続けながら、これまで誰も成功しなかった幻の大技です。世界の名だたるトップフリースタイラーたちは、このWorld Finalsの舞台で、史上初のビックトリックを披露するのが常識となっています。

プロフリースタイルクラスの今年の注目選手は、もちろん現世界チャンピオンのリー・ストーン。それに加えて、2017年のチャンピオンであり、フリーライドの世界チャンピオン、マーク・ゴメス、日本期待の山本汰司と岡本輝正です。

フリースタイルという競技は、スーパースターがそのまま世界のトップ選手なので、オーディエンスも分かりやすい。今年は、どの選手から、どんなシークレットトリックが繰り出されるか、目が離せない戦いになりそうです。

2018年のWorld Finals「Pro Freestyle」の特集はコチラ（大会前に、もう１度読み返しておこう）

Pro Pro SKI Modifiedクラス

ワールドファイナルでは、大昔からメインレースは「Pro Ski Modified」クラスです。ランナバウト全盛の現在においても、「乗るのも、見るのも、スタンドアップが最強で最高」という証明でもあります。

2018年Pro SKI Modified Result

1位　Quinten Bossche（クエンティン・ボッシュ）　Belgium

2位　Maurin Raphael（マーリン・ラファエル）　France

3位　Kevin Reiterer（ケヴィン・ライテラー）　Austria

4位　Dustin Motzuris（ダスティン・モツリス）　USA

実力者が必ず上位になるスタンドアップのレースでは、よほどのことがない限り、初参戦の選手がいきなり勝つことは少ない。これは、昨年のレース結果ですが、今年も同じ名前が上位を占めるでしょう。ここに加わるとすれば、フランスのジェレミー・ポレットくらいだと思われます。彼らの速さは、とんでもないレベルです。

2018年のWorld Finals「Pro Pro SKI Modified」クラスの特集はコチラ（大会前に、もう１度読み返しておこう）

スーパースターが参戦する「Sports GP」クラス

昨年は、世界的トップライダー、ダスティン・ファージングが優勝したこのクラス。「Sport GP」クラスは、4ストローク1,500ccのエンジンを搭載した、シードゥHXで参戦する選手が大半を占めます。

ここ数年、アメリカはもとより、世界的な傾向として、古いマシンをモディファイして戦うレースが熱い。マシンではなく、「ライダーの技量」で勝負している姿が、ギャラリーも含めて、レーサーを熱くさせているようです。

2018年のWorld Finals「Sport GP」クラスの特集はコチラ（大会前に、もう１度読み返しておこう）

限りなくノーマル艇の「Pro/Am Runabout Stock」クラス

アメリカが誇る真のスーパースター、クリス・マックルゲージが、昨年会出場したのが、このプロ／アマランナバウトストッククラスです。「Stock（ストック）」というだけあって、限りなく市販艇に近い改造しか認められていません。ECUの書き換えなど、改造範囲が大変狭いので、マシンはほぼイコール条件。勝敗を決めるのは、「ライダーのライディングスキルの高さ」だけです。あえてこのクラスにエントリーしたマックルゲージ。さしずめ、「スーパースターは、ライディングがお好き」というところでしょうか。

2018年のWorld Finals「Pro/Am Runabout Stock」クラスの特集はコチラ（大会前に、もう１度読み返しておこう）

2018年World Finals Result

この記事の冒頭で、「World Finals」は「名誉」で、「King's Cup」は「富」と書いたが、それは昨年までの話。世の中は簡単に変わります。今年はどうなるか、蓋を開けるまで、誰にも分かりません。いずれにせよ、現場に行かないと分からないことは多い……。出場する選手たちは、「世界ナンバーワン」の称号を手にするために行っているのですから。