2021年4月21日~25日に、タイのパタヤで行われた「JETSKI WORLD CUP & JETSKI WORLD SERIES 2020~2021」が開催されました。この大会のメインカテゴリーのひとつPro Runabout(プロランナバウト) GPクラスで、砂盃 肇選手が世界タイトルを獲得。JETSKI WORLD CUPが5万ドル、JETSKI WORLD SERIESが3万ドル。合わせて優勝賞金8万ドルを獲得しました。
砂盃選手は、2018年に同大会でも優勝しており、今回、2度目のワールドチャンピオンとなりました。
彼は、過去に計13回の全日本チャンピオンと世界タイトルを獲得している、現在、国内最強のランナバウトライダーであることは間違いありません。
レースは全4ヒートで行われました。21日(土)の第1ヒートはトップフィニッシュ。第2ヒートは、マシントラブルによる無念のリタイアとなりました。
翌25日(日)午前の第3ヒートと、午後の第4ヒートでは、ともに他を圧する速さを見せて優勝。
4ヒート中3ヒートでトップに立ち、トータルポイントで文句なしのタイトル獲得です。
レース後、「絶対に勝つしかない第3ヒート。コンストラクターの今﨑さん(マリンメカニック)に頼んで、ブーストを上げてもらいました。確実に勝つために、マシンパワーを上げたのです。予定通り勝ちましたが、そのレースでエンジンに多大な負担をかけてしまいました。前日の第2ヒートでリタイアしているので、第4ヒートも勝たなければ、総合優勝がなかったのです」と、砂盃選手が語ってくれました。
そこで、チーム・マリンメカニックでは、第3ヒートのレース終了後、日本から持ってきたサブエンジンに積み替えたそうです。作業を行ったのは、チームのエンジニア3人。わずか1時間で新しいエンジンに交換し、セッティングまで終わらせました。世界レベルのマシンコンストラクターによる見事な仕事です。
また、今大会、生駒 淳選手も良い走りを見せてくれました。生駒選手も、マリンメカニック製「ガーコ」に乗っての参戦です。
第1ヒートはホールショットを獲得するも、1周目にマシントラブルで残念ながらリタイア。しかし第2ヒートでは、そのうっぷんを晴らすかのような走りで1位を獲得しました。
2日目も両ヒート2位と良い走りを見せてくれましたが、レース終了後のインスペクションで、マシンの違反が指摘され降格。誰が見ても良い走りだっただけに、非常に残念です。
今大会、砂盃選手と生駒選手は、他のライダーとは別次元の走りを見せ、日本人ライダーのレベルの高さを証明してくれました。
前回大会に続いて2連覇を狙う片野丈一郎選手。スポーツGPクラスは、全4ヒートで行われました。
24日の第1ヒートは、スタートで5位と出遅れたものの、2位まで追い上げました。午後からの第2ヒートは、スタートからゴールまで、タイのエース、スパーク・セッツーラ選手を追っての2位でこの日は終了。
25日午前の第3ヒートのスタート直前に、マシンの不具合が発覚。コンストラクターの藤江功一氏(K-1 Racing Service)が、時間ギリギリまで原因を確認していました。スタート時間も迫るなか、片野選手はサブ艇に乗り、チーム監督である宣之氏と2人で、スターティンググリッドに待機しています。
結局、間に合わないと藤江氏は修理を諦め、片野選手のマシンホルダーをするためグリッドに向かいました。それに気づいた片野選手が、スタートを待ってくれるように申請したものの、藤江氏の到着直前で無情にもスタート。結局、このヒートはスタートで出遅れが響き、5位でレースを終えたました。
第3ヒート後、マシン不調の原因はバッテリーだと判明したため修理し、第4ヒートは再びメインマシンの登場です。スタートでは5位だったものの、追い上げて2位までランクアップ。
このクラスの最速ラップタイムも、片野選手が叩き出したそうです。マシンの速さは世界一と証明した大会になりました。
結果は、タイのエース、スパーク・セッツーラ選手が優勝。片野選手も2位と健闘しましたが、セッツーラ選手は全ヒートでトップフィニッシュという完全優勝。このクラスはセッツーラ選手の独壇場となったようです。
プロスキーグランプリクラスは、日本人ライダーの参戦はありませんでした。
優勝したのはベルギーのクエンティン・ボッシュ選手で、全ヒートでホールトゥフィニッシュの完勝。2位のジェレミー・ポレット選手を大きく引き離し、圧倒的な強さと速さを証明しました。
現在、世界中のスタンドアッパーのターゲットは、彼だと確信した大会になりました。
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