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「マリンウェーヴ竹原」瀬戸内海ツーリングの拠点、広島県竹原市のマリーナ【ジェットショップ探訪】ジェットスキー(水上バイク)

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「ジェットショップ探訪」。良いお店には理由がありました。
ログハウスが目印。瀬戸内海の拠点マリーナ

WJS 瀬戸内海の拠点として、本誌の取材でも、何度もこちらのマリーナにお世話になっています。「マリンウェーヴ竹原」をオープンされて、何年になるのですか?
山村 30年です。

WJS マリーナの外観は、とても素敵なログハウスです。これは、オープン当初からの建物ですか?
山村 いや、違うよ。これは2001年からだから、20年前だね。そのころ、「お客さんを、どんな感じで迎えて遊んでもらうか」というのを真剣に考えていて、それでログハウスにした。自分の家より、お客さんが優先。「ああ、あの建物ね」って言われるような外観が良いと思って建てたんです。

WJS マリーナの雰囲気もアットホームで、とても居心地がいいです。「さあ、たくさんジェット売りますよ」的な感じは全くありません。
山村 もともと、ボートとかジェットは、私の趣味ではなかったんです。マリーナを始めたきっかけは、商工会議所の有志交友グループというのがあって、その仲間たちとの会話の中で「竹原の近くに、新しく空港ができるよ」、「竹原としては、何で売り出す?」という話から、「やっぱり、美しい海でしょう」となって、海に近いこともあって、ウチがマリーナを始めることになりました。レンタルボート事業を勉強するために、いろんなマリーナやハーバーを見学させてもらいました。だって、船やボートのような高いものは、いきなり買えないでしょ。「だったら、レンタル艇が良いのでは?」と、いうところからだね。

「マリンウェーヴ竹原」オーナー、山村道信氏

ジェットの取り扱いを始めた当時、シードゥ艇は珍しかった。
エンジンを掛けるのに、油差しを持っていったよ

WJS マリーナを始められたころは、ジェットではなく、ボートや船がメインだったのですか?
山村 そうですね。最初はジェットよりも船だった。そのとき、竹原の外にボートを預けていた人たちが、「お前がやるんなら」と、船を預けに来てくれたんです。預かった以上、キチンとやりたいですから、船の勉強もかなりやりました。

WJS 開業当初は船の保管がメインで、そこからジェットを扱うようになったのですね?
山村 今もそうだけど、当時から、このあたりはヤマハを扱うマリーナやショップが多い。近所の業者の邪魔をするわけにはいかないからね。ウチは、ヤマハ以外のトーハツ、ヤンマー、スズキや洋艇など、ヤマハ以外の船を扱ってきました。そうはいっても、売れません。でも、修理などのサービスなら提供できる。当時、静岡県の浜松市にあったマーキュリージャパンで、いろんな講習があったんです。大体、2泊3日で、船外機やインボートなどの講習をやっていたのですが、そのほとんどを受けてきました。そのとき、一緒に学んだ人たちとの交流が大きいですね。


WJS いつから、シードゥ(SEA-DOO)艇を取り扱うようになったのですか?
山村 一緒に講習を受けたメンバーから、いろいろな情報が入ってきた。トーハツのディーラーだった人が、シードゥ艇を私のマリーナに持ってきて、「安くするから扱って」って。「とにかく広めてほしい」ってことで、「じゃあ、置いていきなよ」みたいなところから、ジェットの取り扱いが始まりました。当時は、トーハツがシードゥを扱っていたんですよ。

WJS それが、30年前ですか?
山村 そうそう。私が31歳のころ。今、62歳になるから、30年前だな。

WJS 1989年か1990年ごろですよね。そのころ、ジェットといえば、カワサキの550ばかりですよね? 当時、シードゥ艇は珍しかったのではないですか?
山村 そうだね。たまに見ても、3人乗りのGTX。あれだけ。あの当時、キャブレター仕様のロータリーバルブで、ロータリーバルブ自体が、シードゥのオリジナルだったから、誰も直せなかったんだ。

WJS ヤマハ艇や、カワサキ艇と違うからですか?
山村 そうだね。油差しにガソリンを入れて、ジェットに行ったもんだよ。理由は、「エンジンが掛からない」から。ガソリンが、エンジンにまで上がってこない。だから、油差しを使って、キャブレターにチョンチョンとやって、エンジンを掛けたもんだよ。

WJS コツが分からないと、エンジンすら掛からなかったのですね?
山村 壊れてるかどうかも分からない。

WJS 失礼ですが、それなのに、シードゥ艇の何が良かったのですか?
山村 実際に乗ってみると、燃費がすごく良かった。グルグルと瀬戸内の島々をまわれるわけ。「これ、すごいね。船とは違う世界だね」って。

WJS 今から考えると、よくそんな性能のジェットで遠出しましたよね。最高速は、どれくらいだったか覚えていますか?
山村 時速80㎞出たら、「すごい」って言ってたよ。大体、60~70km/hくらいかな。ガソリンは、満タンで30リットル。それで1日中遊べたものだよ。

WJS 当時の本体価格はいくらだったのですか?
山村 70~80万円くらいかなぁ。

WJS それで、1日中遊べたら、楽しいですよね。
山村 当時のGTXは、今のスパークと同じような感じなんよ。安くて、燃費が良くて、1日中楽しく遊べる。

WJS それから、シードゥ艇をメインに扱うようになったのですね?
山村 このころから、ジェットがメインになりました。船一隻分で、ジェットが2~3台置けるからね。瀬戸内海の干満差は4mと高低差が激しいけど、自家製のクレーンのお陰で、ジェットはいつでも出航できる。船だと、出せる時間帯があるからね。


レジャーユーザーも、楽しく安全にレースができる
それが「アイランズカップ竹原」です


アイランズカップで行われた、呉海上保安部による水難救助訓練(2017年、アイランズカップ撮影)

WJS 毎年9月に、竹原市が主催するイベント「アイランズカップ竹原」という、4時間耐久レースが行われています。それ以前には、「瀬戸内ジェットラリー」や「大崎上島4時間耐久レース」が行われていました。行政が中心となってジェットのイベントを行うのは、全国的にも大変に珍しいです。「アイランズカップ竹原」は、山村さんが発起人ですよね?
山村 瀬戸内ジェットラリーや大崎4耐がなくなって、竹原が消沈したことがきっかけだね。せっかく何年もやってきたのに、この海域をアピールした町おこしイベントを絶やすことはできないという使命感と、危機感からスタートした。ジェットの幅広いユーザー層に対して、「ここでこういう競技をやっているから、変なところで息を抜くよりも参加してほしい」、「ここで、精一杯走ってくれ」という思いもあります。

WJS 竹原の海は、本当に素晴らしいです。「他島美」の名にふさわしく、まさに「日本の海」という景観です。反面、島が多くて、慣れないとすぐ迷ってしまいます。みんな同じ景色に見えてしまいます。
山村 そうだよね。私もマリーナを始めた当初に、クルージングしていたころ、「あれ? 俺、どっちから来たんだっけ」ってことがよくありました。「北へ行けば、本土があるよな」って。見慣れた景色が出てきて、それで位置確認していましたから。

WJS この地域に精通している山村さんがそうなら、全員、迷いますよね。
山村 だから、ツーリングにはコンパスはいるなって(笑)。

WJS ツーリングに行くとき、マリーナでの出航前のミーティングで、海図を広げてくれてコースを説明してくれますよね。
山村 今はね。普通、ジェットでツーリング行くとき、海図を広げることなんて、ほとんどないでしょう。

WJS ありませんね。
山村 今は、スマホで自分の位置が分かるからいいよね。


シードゥ艇なら、どこで買ったものでも直すのが
ディーラーの務めです

WJS マリンウェーヴ竹原のお客さんは、県外からいらっしゃる方も多いですよね。
山村 広島空港から30分でマリーナに来られるから、関東からのお客さんがよくいらっしゃいます。「瀬戸内海で乗りたい」って、ウチの艇庫にジェットを預けて、年に何回か飛行機で来る方もいます。レンタル艇もやっているので、シードゥディーラーさんからの紹介があれば使えますよ。

WJS それは嬉しいシステムです。マリンウェーヴ竹原は、シードゥの専売店ですが、それ以外のメーカーは扱わないのですか?
山村 はい。最近のシードゥ艇はハイテクになって、我々ディーラーが常にスキルアップしなくてはなりません。だから他のメーカーを扱っている暇がないんです。ユーザーさんたちの貴重なお金を、修理やメンテナンス代としていただいている限り、ディーラーとして責任を果たすのは当然だと思っていますから。

WJS こちらのマリーナで購入していなくても、修理をしていただけるんですか?
山村 もちろん、シードゥ艇なら、どこで買ったものでも直すのがディーラーの勤めです。

WJS 山村さんが、お客さんに対して、一番、心を砕いている部分はどこですか?
山村 この瀬戸内で、いつでも乗れる。そのために、メンテナンスを欠かさず、万全の状態にしておきたい。ウチらみたいな保管業だと、メンテナンスに関して言えば、船以上に手を入れなきゃならない。要は、「乗りたいときに乗れる」ようにしておいてあげないといけないと思っています。昔は、ジェットのチューニングをすることなんかも考えたけれど、そうすると、壊れやすくなる。今は、ノーマルできちんとメンテナンスを教えて、長く楽しく乗ってほしい。ジェットは、安いものではないのだから……。

ウチで買ってくれたお客さんには「保管料1年間無料」にしています。
ジェットに乗る前、乗った後に、壊れないように、ちゃんと使い方を教えられるからです。

WJS 「ジェットの取り扱い方」は、話を聞くだけではダメで、実際に、自分の目で見ないと分からないものです。山村さんと一緒にツーリングに出かけると、乗り終わってから、かなりキッチリ洗っていますよね。
山村 オークションで買ってきた人たちのジェットを直すと、中がひどいモノがあります。まともに洗っていない。ウチで買ってくれたお客さんは、「1年間、保管料無料」にしています。それは、ジェットに乗って、帰ったときにいろいろと教えられるから。壊れないように、ちゃんと使い方を教えたい。せっかくジェットを買って、楽しんでくれるお客さんに、余計な金はかけさせたくないから、初乗りの操作手順、ローカルルールやマナーの確認、乗り終わった後の水洗いからメンテナンスまで、細かく説明しています。使用後のメンテナンスを怠ると、新艇で買っても翌年には乗れないこともある。だから、最初にきちんとアドバイスさせてもらってます。

WJS こちらのマリーナのメンバーさんは、皆さん、素晴しい方たちばかりですね。上下架でもお客さん同士で助け合って、水洗いを見ていても楽しそうです。
山村 そのためにも、私が最初にやってみせて覚えてもらって、あとはお客さん自身にやってもらう。だから、うちのお客さんのジェットは壊れないんです。

WJS こちらのマリーナは、ビジターの方でも受け入れていただけるのですか?
山村 はい。ですが、瀬戸内海はローカルルールもいろいろあります。マナーをルールを守ってくださる方なら歓迎です。事前に、予約の連絡を必ずしてください。こちらの言うことを聞いていただけない場合は、お断りすることもあります。

WJS この素晴らしい瀬戸内海で、いつまでもジェットに乗りたいですね。
山村 誇れることは、「ロケーション」。世界に誇れる「瀬戸内海」です。

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