メルセデスベンツと2艇積みMAX トレーラー。悔しいが、外車は強い。
何でも、プロには敵わない。健康な人に、「今、流行っている病気は何ですか?」と聞いても、まともに答えられるわけがありません。しかし、皆が頼る名医に聞けば、今、気を付けるべき病気と、その対策を教えてくれます。トレーラーも同じです。
「どこが弱点?」「どこが壊れる?」と聞いても、自分のトレーラーが壊れなければ、分かるわけがありません。だから今回、国内一流トレーラー「タイトジャパン」の中村哲社長に、トレーラーの弱点とその対策を教えていただきました。目からウロコ。「そこが弱点か!?」と、驚きます。トレーラーユーザーは、ぜひ、ご一読を!
日本車の車体は、柔らかいことをご存知ですか?
車には、「衝突安全基準」というものがあります。追突されたとき、車体を柔らかくすることで衝撃を吸収し、クッションの役割を果たすため、国産車の車体は柔らかくできています。その柔らかい部分にしか、ヒッチを取り付ける場所がない車が多いです。ヒッチは、車のフレームよりも肉厚で頑丈。なので、ぶつけた場合、最もダメージを受けるのは、車の「ヒッチ取り付け」部分なのです。
近年特に、ハイブリッド車や電気自動車などは、軽量化をどんどん進めるので、薄い鉄板が使われ、さらに柔らかくなっています。
まず、「ヒッチ」とは何かを説明します。ヒッチボール、ヒッチメンバーのボールマウント、ヒッチメンバーのメインフレームを全て含めて、「ヒッチ」と呼びます。各名称は、下の写真を見れば一目瞭然です。
前述のような理由で、トレーラーの弱点は、「ヒッチ」です。「ヒッチボール」は、車の後方から少し飛び出ているので、ぶつけやすい。トレーラーを引っ張っているときにも負担はかかりますが、むしろ「トレーラーを外しているときが危険だ」と中村社長は言います。
トレーラーを引っ張っていない安心感から、ドライバーが油断します。バックして後部の壁に軽く接触したり、位置が低く見えにくいので、人がヒッチマウントにぶつかったりと、小さなダメージを受けるケースが多いそうです。自分が、車から離れているときに起こるトラブルは、防ぎようもないし、確認のしようもありません。
本人の全く身に覚えがない状況でダメージが蓄積され、ある日突然、車のヒッチ取り付け位置が壊れて、大事故となるケースも十分に起こりえます。この場所に関しては、トレーラーメーカーとしても対策がとれません。なので、トレーラーを牽かないときは、ヒッチメンバーのボールマウントを外して、出っ張りをなくしておくことが一番です。
――トレーラーの取り扱いで、「これはやってほしくない」ということがありましたら教えてください。
中村 怖いのは、ヒッチをずっと付けっぱなしにしているユーザーさんです。トレーラーを引っ張っていないとき、コンビニかなんかに入るとき、ヒッチが縁石に当たったり、下を擦ったりすることがありますよね。そのときは、「うわっ、やった」と思うけど、すぐに忘れてしまう。でも、実は車に負担がかかって、ヒビが入ることがあります。そういうのが蓄積されて、強度が落ちます。
ただ、いつそうなったか憶えてないから、「普通に使ってたら壊れた」みたいな言い方をされることが多いです。車のモノコックよりヒッチメンバーのほうが分厚い。だから、車の取り付け部分が先に潰れてしまいます。普段は絶対にヒッチを抜いておくほうが良いんです。使わないときのボールマウントは「邪魔な突起物」以外のナニモノでもありません。ボールマウントを外したあとの穴を塞ぐのに、「ヒッチカバー」というドレスアップ部品もあります。