本誌7月号で掲載している「イルカの海」天草ツーリングの「番外編」です。ツーリングの鉄人・斉藤智祐氏のショップ、「パルアップ」のお客さんで、「ミニ鉄人・“ダーさん”」さんと言われる方がいます。
我々の天草ツーリングとスケジュールが合わず不参加。「我慢できず」に、チーム・パルアップと取材班が帰ったあと、入れ違いで、何と「1人で行ってきた」とレポートが届きました。大変、面白いので、掲載させていただきます。本誌7月号と併せて読むと、楽しさ倍増です。
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兵庫県西宮市を早朝(6:30)に出発し、新幹線と在来線を乗り継いで熊本県天草市の三角駅へ。そこでレンタカーを借りてジェットスキー専門マリーナ「スペンド」に行きます。天草諸島と島原半島を巡る、2泊3日の単独ジェットツーリング体験記です。
旅 人:パルアップ・Ddaa(ダー)【子供からの呼び名:ダディ(父)の略】
目 的:ジェットでイルカウォッチング
日 程:2019年5月29日(水)~31日(金)
持ち物:ウェットスーツ、フェイスマスク、グローブ、シューズ、着替え、タオル、ライフジャケット、携帯電話、各撮影機材(マビックプロ、insta360、オスモアクション)、モバイルバッテリー、充電器・ケーブル、運転免許、船舶免許、キャットフードなど
内訳 | |
交通費 | 49,400円 (グリーン車往復・14,500円含む) |
レンタカー | 14,040円(軽自動車) |
ジェット レンタル |
45,000円 |
スペンド 利用費 など |
15,024円 (ガソリン代含む) |
宿泊費 | 22,861円(2泊分) (飲食5,961円含む) |
その他 | 10,000円 (食事代、タクシー代、私鉄交通費含む) |
総費用 | 合計:156,325円 |
※編集部注:飛行機ではなく、新幹線と在来線を乗り継いで行っているので、大名旅行ではありません。合計金額を考えても、結構な大盤振る舞い。
興味深いのは、グリーン車と豪勢な旅館です。ちなみに、WJS取材班は、鉄人紹介の1泊5,000円の朝食付きのビジネスホテルでした。編集部は思いました。「本当のお金持ちの使い方だ……」。皆様、いろんな意味で興味深いですぞ。
今回の天草ジェットツーリングは、前日の5月28日の昼食時、妻と相談のうえ、了承を得ることができたので、行けることになりました。悲しい話ですが、チーム・パルアップが行くときは、妻の了承が得られませんでした。すぐにパルアップの斉藤さん(ツーリングの鉄人・斉藤智祐氏)に相談すればよかったのですが(昼に勝手に決まったので)、用事が立て込み、夕方になってしまいました。
この日、最後の用事「車で子供を塾へ送る」途中、原付バイクに当て逃げされてしまいました。警察を呼んで事故処理を行いましたが、かなりヘコみました。そのときにはもう18時近くになっていたので、正直、もう天草は諦めようと思いました。しかし、どうしても諦めきれず、とりあえずパルアップに向かいました。
ちなみに、斉藤鉄人は、前の日の27日(月)に、天草ツーリングから戻ってきたばかりです。その翌日に、斉藤社長に「天草に行きたい。妻のOKが出た……」と話をして、無理を承知で「どうしても、明日から行きたい」と伝えました。斉藤さんらしく、いろいろ気を使いながら、帰ってきたばかりの天草のマリーナ、スペンドの平山氏に電話をかけて頼んでくれました。そして、了解を得てくれたのです。
行くと決まれば、ウキウキと宿泊先を探します。なんと、ネットでは空室がなかった。諦めきれず、直接、宿に電話をしたところ、2軒目の「小松屋渚館」に空きがあるとのこと。子供の塾の迎えに行きつつ、待っている間にJRの予約。帰宅して、ウキウキしながらスーツケースに荷物を入れ、準備完了です。
6:30 西宮市の自宅を出発。
7:53発 新幹線・みずほ603号新大阪で乗車。
新幹線のなかから、レンタカーを借りる電話をして軽自動車の予約をする。
10:51 3時間弱で熊本駅に到着。
デッカイくまモンの頭部がお出迎えしてくれます。
11:35 熊本駅発。
三角線(ディーゼルカー)に乗り換えて、三角駅へ向かいます。ローカル色が強くなり、日常から非日常へ切り替わっていくのを感じます。座席は進行方向右側に座ったので、有明海や島原半島を見ることができました。
12:27 三角駅へ到着。
車を借り、目的地を「スペンド」にセットします。
13:30 天草のジェット専門マリーナ「スペンド」に到着。
自宅を出発してから、すでに約7時間経過しています。オーナーの平山さんご家族に出迎えていただきました。
スペンドさんで、船舶免許提出などの手続きを行い、ローカルルールや注意事項、目測による2海里の目安、イルカポイントとウォッチングのコツなど、ツーリングに必要な情報を教えていただきます。
14:00 ウェットスーツに着替えて、斉藤鉄人が預けて行った、初めて乗るYAMAHA FX HOの操作説明を受けて出発です。今日の目的は、天草の海とジェットの操作に慣れること。イルカは見られればラッキーくらいでした。
波は全くなく、鏡のような海です。2海里ルールに気をつけながら、約35分でイルカポイントの鬼池沖に到着しました。
イルカのスポットに来ると、海が荒れて、風も出てきました。釣り船が1隻いるだけで、イルカ観光船は見当たりません。この付近は、水深5m以上あるのですが、底が透けて見えます。すごい透明度でした。
ドローンでイルカを撮影したいと思っていたので、イルカが見つかる間、練習しました。しかし、結果は散々。風も吹くので、海面は波立ち、電波状況はよくありません。離発着はジェットから行いましたが、陸から近いところで行い、回収が困難になったときには、陸への着陸を考慮しました。5回ほど飛ばしましたが、毎回、すぐに通信断絶が起こるので、早々に撤退しました。
天草2日目です。朝6時前から目が覚め、温泉に入りました。露天風呂ではありませんが、朝日を浴びながら浸かり、大満足です。7時に朝食を摂って、ウェットスーツに着替えてから、宿を出て、スペンドを目指します。
9:20 1人でツーリング開始。
スペンドを出発し、世界遺産の三角西港を目指します。天草の穏やかな海を北進します。撮影しながら進みましたが、不覚にも三角西港を行き過ぎ、道を間違えた(海を間違えた?)ので引き返しました。
三角西港の、整然と並べられた石積みに人間の英知と歴史を感じます。船の先端が入り込む窪みがあったり、当時の建物や水路が見学できました。
三角西港から北西に抜けると、目の前に島原半島や雲仙普賢岳が見えてきます。野釜島、黒島を経て、湯島に向かいます。途中、海面を泳いでいるワタリガニを発見しました。網があれば獲れたのに!(編集部注:このときは、子供も嫁も忘れている)
10:40 湯島の「湯島海水浴場」付近に到着。
海上から、ドローンによる自撮りを行いました。結果は、前日と同じく画像通信断絶により、満足に撮影できません……。昼食は12時の予約ですが、早めに上陸します。(編集部注:早いにもほどがある……)。
湯島に上陸すると、「にゃ~ん」と、白黒のハチワレさんがお出迎えしてくれました。キャットフードを忘れたことを後悔しました。食事の用意ができるまで、ネコと遊んで、撮影をしました。ネコに囲まれて幸せです。
11:30 食事のテーブルには、フグとサザエの刺身、ワタリガニ、メバルの唐揚げが準備されていました。あとから、殻つきの生ウニとご飯もいただきました。何を食べても、とても美味しかった! 女将さんに「途中でワタリガニを見た」と話したところ、「網で捕まえてくれば2匹食べられたのに!」と、ワタリガニ漁の方法を教えていただきました。
会計の前にキャットフードの追加をお願いして合計1,300円でした。大阪だったら、ワタリガニだけでも1,500円以上すると思います。これだけでも、行く価値は十分あると思います。購入したキャットフードをネコに与えます。ネコ同士がケンカしないように、それぞれにキャットフードを盛ると、ケンカをせずに食べてくれます。
海水浴場でドローンの空撮を再開しました。順調に飛んでくれます、良かった、良かった。ウミガメ形の湯島も空撮できました。
ジェットの係留場に戻る途中の椅子の下で、超レアなオッドアイの白猫に会えました。キャットフードも美味しそうに食べてくれ、普通に甘えくれます。ニャンコたちに囲まれながら撮影し、幸せで満たされます。湯島でネコと交流する場合、キャットフードがあると楽しさと幸せが倍増します。使用済みペットボトルでいいので、真水を入れておくと手洗いや非常飲料水になります。夏期は虫除けがあると、快適に食事ができますよ。
14:00 楽しかった湯島を出港です。出港時、自撮りをするため、ドローンを桟橋から離陸させました。
海水浴場付近まで航行したとき、ドローンの操縦は可能ですが、画像転送が切断しました。さらに、ジェットにトラブル発生。海藻がジェットポンプに詰まりました。慌てずエンジン停止します。海藻で固定され、アンカリングしたような状態なので流されません。安定してドローンを回収できましたが、次はジェットに絡まった海藻の除去です。
海底から伸びる長い海藻で、ホンダワラかヒジキかもしれません。海藻ごときと思いますが、海藻のなかに、人工物が潜んでいる場合があります。以前、須磨海岸で、海藻に混じって大量の釣り糸と天秤錘に金属のサルカンや釣り針を引き揚げた経験があります。
ジェットポンプに手を突っ込んで、海藻を除去しました。念のため、港に戻って再チェックします。アクセルを軽く吹かすと、推進力、振動ともに問題ありません。このまま旅が続けられそうです。
14:20 再度、湯島を出港して、イルカポイントを目指します。地図上、最短で島原半島に向かうと2海里ルールから外れてしまうので、南島原市から陸に沿って進みます。途中、気になる場所があったのですが、このときは素通りしてしまいました。あとから、そこが天草四郎の眠る「原城跡」だと知りました。次回は、寄るつもりです。アーメン(本当に)。
15:00 まもなく口之津港です。港の入り口付近に、漁船が数隻います。港に入るのか? 網を引いているのか? と観察していると、漁とは明らかに違う動きです。
「???。あーっ!」、イルカの背びれが見えます。これがイルカクルーズの観光船か! 船の上では、皆がオレンジのライフジャケットを着ています。間違いありません。
斉藤鉄人のアドバイスに従って、遠巻きに観察しながら撮影を開始します。……数分後、電池切れです。ドローンは陸が遠いため飛ばす勇気がありませんし、気付けば瀬詰崎灯台近くまで来ていました。
このころになると、私の操船にイルカたちも慣れてきました。イルカは、いつどこから現れるか分かりませんが、360度あらゆるところから呼吸音が聞こえてきます。大きさも色もそれぞれ。みんな、個性を持ったバンドウイルカです。早崎瀬戸を、観光船と一緒に渡っていきます。潮と潮がぶつかって潮目ができます。鏡のような潮目の海面を目掛けてジェットを進めます。イルカたちも、魚を狙って潮目から潮目へ移動します。次から次へと現れるイルカたち。一緒に泳いでいるような感覚になって、感動は最高潮です。(編集部注:感動してたのか!?)
16:00 鬼池沖にやってきました。帰りは、高杢島を目印にします。海中水族館ワクワクシードーナツや、宿泊している小松屋渚館を眺めながら、16:45にスペンドに到着。
夕食は、斉藤鉄人の紹介で、「潮まねき」というレストランへ。テラス席で、先ほどまで走っていた海がよく見えます。刺し盛りと海老フライ定食を注文しました。ところが、注文直後、メニューに「ぜったい! 車えび A must order!」の文字が!! 海老フライ定食から変更してもらいました。(編集部注:変更したんかい!!)
まずは刺し盛り。美味しいです。次に、海老のおどりです。氷で麻痺させているので、飛びませんがデカイです。エビフライにエビの天ぷら盛り、塩焼きと、ご飯、味噌汁が続きます。斉藤鉄人に連絡して、今日の成果と潮まねきでの食事を報告しました。そこで「鯛茶漬け」の情報を聞きました。エビ三昧のご飯食べた後で、正直、迷います。エビで大満足ですが、宿に戻って飲むビールをやめればいけるでしょう! 今日は、天草最後の夜です、楽しまないとね。鯛茶漬けも美味しくいただきました、注文して良かったです。宿に戻り、温泉と洗濯後、就寝しました。(編集部注:この人、絶対に良い人だ)
今日が天草最終日。朝6:00から温泉に入り、朝食をいただきます。荷物を詰めようと思ったら、まだウェットスーツが乾いていません。換気扇をつけ忘れました……。チェックアウトし、スペンドへ行って、お礼と情報交換をしました。
11:32 三角駅から電車に乗り、三角線で熊本駅へ向かいます。雨の有明海と島原半島が車窓に広がります。行きに乗ったディーゼル車とすれ違いました。
12:27 熊本駅に到着。エスカレーターでホームに着いたとき、新幹線のドアは開いており、ギリギリでの乗り換えになりました。
15:34 自宅へ早く帰るため、新神戸で新幹線を降りて、神戸三宮から阪急電車に乗ります。乗客の服装などを見ていると、日常に戻ってきたことを実感します。
16:15 自宅に到着。天草ジェットツーリングの旅は終わりましたが、心は感動で満たされ、幸せが溢れ出るのを感じた次第であります。
急な日程調整でしたが、パルアップの斉藤社長、スペンド代表・平山氏をはじめ、関係各位のご協力のおかげで、楽しいツーリングになりました。深く感謝&御礼申し上げます。ありがとうございました!(編集部注:奥様にも感謝したほうがいいと思いますよ……)