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全国の良いジェットショップだけを紹介するコーナー「シーゼットカンパニー」ジェットスキー(水上バイク)

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あなたの街のジェット屋さん

10件のジェットショップがあれば、10通りの考え方がある
シーゼットカンパニーが支持され続ける理由

編集部では、全国各地のジェットショップに行く機会が多い。いろいろなショップを見てきたが、ジェットユーザーから長く愛されているお店には、愛され続ける理由があると思っている。

ショップは「人」だ。いくらキチンとしているお店でも、最初から最後まで「売り売りの店」なんて行きたくない。オーナーの考え方が、そのジェットショップの雰囲気、全てに影響していると思っている。

今回は、関西屈指の老舗ジェットショップ「シーゼットカンパニー」を紹介する。代表の西村晋也氏は、若いころバイクショップで働き、趣味でジェットスキーに乗っていたそうだ。自身がジェットユーザーだったから、「自分がしてほしかったこと」をお客さんにしようと思っていることが良く分かる話だった。
スタッフも皆、感じがよく、超アットフォームでほっこりとした雰囲気のジェットショップである。

「シーゼットカンパニー」は、ジェットユーザーに長く遊んでもらうため、ショップは何ができるかを、常に模索している。「シーゼットレーシング」という名門レースチームを持ち、ユーザーが主導となって運営する「シーゼットマリンクラブ」と連携しながら、ユーザーに長く楽しくジェットライフを送ってほしいと心から願っているのだ。

シーゼットカンパニー代表、西村晋也氏。

「ユーザー第一主義」・お客さんが、やりたいことをサポートしたい

シーゼットカンパニー・西村晋也社長インタビュー

WJS シーゼットカンパニーは、「シーゼットレーシング」という名門チームを持っていて、レースのイメージがあります。カワサキ系のお店と思いがちですが、実際は、ヤマハ、シードゥと3メーカー全て取り扱っているのですよね?
西村 ウチは、「ヤマハを売りたい」「カワサキを売りたい」っていうのはないんですよ。それまではシードゥは少なかったのに、「300馬力が出た」っていったらシードゥを買うお客さんが普通に増える(笑)。

WJS お客さんが求めるものを売るのですね?
西村 そうです。お客さんが喜ぶものを売りたい。どこかのメーカーに肩入れしているつもりは全然ないし、トータルでどのメーカーも売れてくれたら、それにこしたことはないと思っています。
「ヤマハが、故障やトラブルが少ないって友達から聞いたから」って、ヤマハを買う人が、ここ1、2年増えてるかな。パーセンテージ的に言ったら、全台数の4割~5割くらいがヤマハ。それだけ売ってても、店の前に並んでいるお客さんのヤマハ艇は、「オイル交換してメンテナンスしといて」「全塗装したい」「スピーカー付けといて」っていうのばっかり。実質、「壊れた」っていうのがほとんどないですね。

WJS 以前から、「ヤマハは壊れない」というのを、いろいろなショップで聞いています。
西村 でもね、それって結局はメンテナンスの話。買う人の客層があるんじゃないかと実は思っています。

WJS どういうことですか?
西村 ヤマハ艇を買う人ほど、「ホンマはカワサキが欲しい、シードゥが欲しいんやけど、壊れないって聞いたからヤマハにしようと思ってます」って言います。海で乗って、帰る途中にウチに寄って「ちゃんと、中まで洗えてるかな?」って聞きに来るのもヤマハを買った人が多い。まめに几帳面に洗ってくれる人ほど、もともと壊れにくいであろうヤマハを買っているんかなという気もしますね。

WJS 壊れないっていうのはもちろんあるけれど、壊さない人が買っているということですか?
西村 そう。性格的に心配性な人ほどヤマハが多いかな。

お客さんから預かったジェットスキーが店先に並ぶ。でも、メンテナンスばかりで修理はほとんどないという。

「海に行ってほしい」っていうのが基本で、ジェットはそのなかのオモチャのひとつでいいと思っています

WJS 由良川でお会いしたシーゼットマリンクラブの皆さんもそうですけど、シーゼットのお客さんは、とてもジェットスキーの取り扱いがキレイですよね。
西村 ホンマやったら6年。定期検査までは持たせてほしいんやけど、ひどい人は、3年でもうクッタンクッタンで、どこもかしこも錆びてる人もいます。「これ、洗ってます?」って聞いたときに、「えー、ちゃんと洗ってんで」って相手に言わすのか、仲がいいからこそ「実は、しんどいから、よう洗わんと帰ることあんねん」って言わせられるかですよね。「ああしたらいいよ、こうしたらいいよ」ってアドバイスしたときに、「次に買い換えたら気を付けるわ」って、ちょっとでも思ってくれたらいいかな。

WJS いろいろなお客さんがいらっしゃると思うのですが、ショップとしては、どういうお客さんを増やしていきたいですか?
西村 とりあえず、楽しんでくれる人。海を楽しんでくれる人。自分が好きだから、「海に行ってほしい」っていうのが基本で、ジェットはそのなかの、いちオモチャ。僕の中では、ジェットを買ったからジェットをしに行くんじゃなくてもいい。ジェットを買ったから、家族を連れて浜でBBQをして遊んでいたら、結局、ジェットは5分しか乗ってないわ、10分しか乗ってないわでOKだって思うんです。ただ、「買ったけど、どこで乗ったらいいやろ」とか、「どうしたらいいやろ」っていう人には「こんな遊び方がありますよ」っていうアドバイスはしてあげたいですね。

WJS 「こうしなさい」という押し付けはしないのですね?
西村 ないですね。全く。

WJS 西村社長はご自分でSX-Rのトランスフォームキットを購入したり、遊びの可能性のあるパーツは自腹で購入されているそうですが、それをお客さんには勧める気はないのですね?
西村 とりあえず僕がやってみたいし、使ってみたい。どうなるのか知っておきたい。全く知らない人だと困るけど、ある程度しょっちゅう来ているお客さんなら、「それ、どないやろ?」って聞かれたら、「ウチの船に付いてるから、付けてみますか?」って貸してあげることもできますからね。試してもらって「あれ、よかったわ」ってなったら、「それなら注文しときましょうか?」って。そうやって、ちょっとでも乗ってくれる人が増えてくれたらいいなって思ってます。

WJS それなら、買ってから「失敗した」と思うことはないですよね。
西村 パーツにしても、フィッシングラックにしても、実際、それが便利なのかどうなのかっていう話になったとき、僕らが助けてあげられるのは、そこなのかなって思います。全部のパーツは無理かもしれないけど、自分のできる範囲のなかでやっておきたいんです。さすがに、ランナバウトはパーツの種類が膨大すぎるから無理があるんやけどね。

お客さんが話しやすい空間を作ってくれるスタッフの方々。

「どうしたらいい?」と聞かれたら、思い付くことを全部教えてあげたい。僕らが助けてあげられるのは、そこなのかなって思います

WJS お客さんの遊び方を広げてあげるということですか?
西村 ランナバウトは、釣りやツーリングとか遊び方がいっぱいある。でも、シングルやスポーツクラスの船って、純粋に自分が乗って楽しむしかないでしょ。だからって、今はどこでもブイを打てるわけじゃない。そうなったとき、純粋にそのスポーツを楽しむ方法として、「このパーツを付けたらこうなった」とか、「俺の船、何キロ出るようになった」っていうのを助けてあげないとね。

WJS でも、自前でパーツを買って試すのは、損得ではできないですよね。
西村 損得じゃないですね。SX-Rが月に3台も4台も売れるんやったらそういう話もできるのかもしれないけれどね(笑)。

WJS 西村社長自身がSX-Rを面白いと思っているからですか?
西村 そうです。でも、皆が面白いと思うかは分からない。だから、お客さんが「乗ってみたいな」って言ったら乗らせてあげたいし、メーカーが試乗会をやっていたら、「いついつやるから乗りに行きましょう」って誘います。

WJS 遊び方を押しつけたりしないのですね?
西村 だって「釣りは面白いよ」っていっても、そもそも釣りをしない人からしたら、それは遊びにならないでしょ。でも、「どうしたらいい?」と聞かれたら、思い付くことを全部教えてあげたいです。

WJS 自分が面白いと思うものが、全員が面白いと思うわけじゃありませんからね。
西村 そうなんです。ツーリングでも、「遠いところまで行って、しんどいだけやん」っていう人も実際にはいます。なんであんなに黙々と何キロも走らなあかんの? っていう人も当然いますから。

トランスフォームキットを装着したSX-R。パーツも全て自前で購入している。「ウチの船に付いてるから、付けてみますか?」って貸してあげることもできると西村社長は言う。

最初に最低限必要なものだけ買って、必要になったら1個ずつアイテムを増やしていったらいい。1~2年するうちに全部揃いますよ

WJS 去年、船舶免許を取った人が約2万人いるそうですが、ジェットスキーの新艇は3,000台弱しか売れていません。でも、ジェットスキーに乗りたくて免許を取っているはずですし、買いたい人も多いですよね?
西村 実際の話、買いたい人だらけだと思う。でも、「高いから買えないだろうな」って思ってて、最初から「レンタルで乗る」とか、「友達が持ってるから乗らせてもらう」ために免許を取っているのかなって思う。それを、「自分で始めてみよう」っていう気持ちにさせるには、どうしたらいいかですよね。

WJS シーゼットカンパニーで購入したお客さんに、損はさせたくないということですね。
西村 できれば全て納得して買ってほしい。ドライスーツの便利さも伝えてあげたいし、「ウェットスーツはちょっとなぁ……」っていう人には、「日焼けしたら、明日、仕事に行ったときにしゃがんだり立ったりがしんどいでしょ。それなら、ラッシュガードとスパッツにしといたら? 値段も安いし」っていうことを教えてあげたい。車に積んでおいたら、寒いときに重ね着もできるよって。

WJS 助言はするけれど、あくまで最終的に決めるのはお客さんということですね?
西村 そうです。最初に、「ジェット乗るのにウェットスーツがいりますよ」っていうのは簡単です。でも、「俺、7月、8月しか乗らない」って言っている人に、いらないものは押しつけられない。最初から、あれもこれもって言っても「俺、そんなのいらん」って言われるのは分かってるから、これこれこういう理由で便利だよって納得してもらいたい。

WJS そうじゃないと、長い付き合いはできないですよね。
西村 順序を踏んで買ってもらったらいいいと思うんですよ。いきなりジェットスキーの新艇を買って、ウェットスーツ買って、トレーラー買って、アレ買って、コレ買ってっていったら、莫大なお金がかかりますからね。

WJS 普通なら、「どうせなら最初に全部買っておけば」ってなりがちですよね。
西村 それはしません。最初に最低限必要なものだけ買って、それで「面白いなジェットって。でも寒いな」となったら、「ツアーコートがあったほうが便利だよ」って、1個ずつアイテムを増やしていったらいい。「足がちょっと冷たいな」って言ったら、「足用のインナーがあるよ」って。1個ずつ必要なものを足していったら、1~2年するうちに全部揃いますよ。

WJS それなら、全部、納得をして買えますね。
西村 でも、1回で全部揃えたいって言う人には、「最低限、これだけはあったらいい」っていうものを、ローンに全部入れてあげる。ツアーコートだって、お金がないって言っている人からしたら高い買い物だけど、「1枚あるだけでシーズンが伸ばせられるから」ってアドバイスはしますが、できるだけやりたいようにさせてあげたい。だから、最初に「どうしたいの?」「何したいの?」っていう、聞き取りの時間が長すぎるのかもしれないです。ランナバウトでも、「結局は、乗ってみんと分からんし」っていったら、「今度、どこどこで試乗会があるよ」とか、「いっぺん乗ってから決めたら」って言います。

ついつい長居をしてしまう居心地のいい店内。

お客さんには、やりたいようにやらせてあげたい。そのなかでアドバイスできることはしていきたいです

WJS 今後、シーゼットカンパニーというショップをどのようにしていきたいですか?
西村 このままでいい。このままで、どないか上手に潰れんように(笑)。

WJS お店の前にたくさんのジェットスキーが並んでいますが、あれはお客さんのですか?
西村 はい。「調子が悪いような気がする」とか、「色が剥げたから直したい」とか、「スピーカー付けたい」「改造したい」っていうお客さんが、「夏に預けたら、シーゼットは忙しいやろ」って冬に順番に来てくれはるんです。

WJS 「調子が悪いような気がする」っていうのが、ショップからしたら一番大変ですよね、原因が分からないんですから。
西村 何が悪いのか、本人も分かってないからね。かといって、何も悪くなかったら、料金は取れない。点検料っていってもらうのは可能なのかもしれないけど、実際、何もなかったらもらえないですよね。ただ、ウチの横ではジェットスキーを降ろせないから、マリーナで降ろす実費だけちょうだいねって。それで乗ってみて、「プラグ交換やオイル交換をやって様子をみよう」っていうときもあれば、絶対大丈夫って思ったら、そのまま「大丈夫」って言って返すこともあります。

WJS ショップの人に「大丈夫」って言われたら安心ですよね。西村社長は、ご自身は最近、ジェットスキーに乗っているのですか? もともとジェット乗りなのに、乗るヒマがないのでは?
西村 ないです。昔は、月に3回くらい行ってたからね。今は、行けても月1回くらいやもんね。

WJS スタッフの数も限られているし、ツーリングなどのショップイベントも、なかなかできないですよね。
西村 イベントをするって言うのは簡単なんだけど、それよりもお客さんの面倒をみているほうがいい。関西では、別のショップさんがツーリングイベントをしているところがあるし、そこにウチが割って入る必要がない。今までやったことがないことにトライして「ああ、ごめんなさい。準備できてないわ」ってなるくらいやったら、そのショップさんに「ウチのお客さん、お願いします」って頭を下げてるほうがいいですから。関西でのシーゼットの立ち位置としては、やっぱりレースかなって思います。

WJS シーゼットレーシングというチームもあるので、レースをやりたい人には入りやすいですよね。西村社長の目指す方向としては、お客さんの好きにさせてあげたいということですね。
西村 やりたいようにやらせてあげたい。そのなかでアドバイスできることはする。そうやって、ジェットに乗ってもらえる人が増えたらいいかなと思っています。

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