ジェットスキーの原点
2012年を最後に、2ストロークエンジンの「800SX-R」が販売を終了。
カワサキの「スタンドアップの火」は消えたかに思われた。
その後、毎年のように「カワサキから新しい立ち乗りが出る」という噂が、まことしやかに囁かれていた。
それから5年、2017年ニューモデルとして、待望の4ストロークスタンドアップ「SX-R」が帰ってきた。
その全貌を紹介しよう。
SX-Rは、カワサキの造った「最新のスタンドアップ」です。
事実上、800SX-Rの後継機種という位置付けになっていますが、実は全く違う乗り物です。
船体は大きくて、ハルはV型。エンジンは4ストローク。重厚感がハンパない。
最高速も約100km/h出る。
普通、ニューモデルのプレス発表会では、座学でその機種についてのスペックや特徴などが詳しく説明されるものです。
しかし、このSX-Rの場合、「とにかく乗ってください」と言われた。
ここでは、「SX-R」の各部について説明する。
バランスの良い形状と、安定性とパワーの増大により、800SX-Rを上回る旋回能力がある。
800SX-Rよりも355㎜長く、35㎜ワイドで、非常に高い安定性を実現した。
誰もが自信を持って操作できるハンドリングになっている。
4 ストローク1500ccエンジン
STX-15Fに搭載されている並列4気筒を進化させたもの。
800SX-Rの約2倍の強烈なパワーを持ちながら、扱いやすさも兼ね備えている。
パワフルだが、ピーキーさがない。
長く広くなったデッキ(特に前側部分のフットスペースが拡大)により、ライディングの自由度も高まった。
STX-15Fに装着されているものと同型のスポンソン。
安定性の向上や、シャープな旋回特性に貢献している。
スタンドアップモデルとしては、初めてカワサキ・スプラッシュ・ディフレクター(KSD)を採用。
これにより、高速域やラフウォター域で発生する水しぶきを最小限に抑えてくれる。
SX-R専用設計のアルミ鋳造。
全長102mm、87mm径。
ハンドリングの軽さに貢献する。
従来よりも容量が6リットル増えて23リットルになった。
レギュラーガソリン指定。
高回転型ジェットポンプにより、驚異的なトップスピードと鋭い加速を実現。
ウォーターインテークには、抵抗が少ない専用設計のアルミ製インテークグレードを装着。
800SX-Rの高効率インテークグレートを継承し、全長を伸ばしたデザインとなっている。
ハイパワーへの対策が各部に施されている。800SX-Rの良さを継承しつつ、インテークグレードの全長を伸ばした。
4stエンジンが生み出すパワーをロスしないためだ。
インペラーは、148mm径の3枚羽オーバルエッジインペラーを採用。
強烈な加速力を生み、キャビテーションを起こしにくい形状。
ステンレス鋳造で損傷を受けにくく、腐食にも強い。
ジェットポンプのドライブシャフトには、大型ラバーダンパーを装備。
強大なエンジンパワーによるショックを吸収し、駆動系のノイズを軽減してくれる。
ドライブシャフトは密封式のシールドベアリング支持によりハイパワーに対応。
キー操作のイグニッションスイッチを装着。盗難を抑止する。
800SX-Rのデザインを継承しつつ、ハイパワー化とトップスピードの上昇に合わせて強化した。
また、ハンドルポールを上下させた際に、ハンドルグリップが前後に移動する距離ができるだけ短くなるよう、ピポッド位置を最適化。
長時間のレースでもライダーを疲労させないための設計がなされている。
ハンドルポール下のストレージには、ロープや発煙筒などを収納可能。
落下を防ぐため、ラバーネットも装備。
ハンドルポールのパットに、燃料警告灯とエンジン警告灯を装備。
スタンドアップに初めて燃料警告灯が装備された。
※試乗インプレッションを詳しく知りたい方はこちら