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大盛況なイベント! ヴィンテージ ジェットスキーに乗れる 「Out a Time Sports #4」が開催された。伝説の名機でスラローム&タイムアタック 「Blaster」クラス  (水上バイク)

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第4回「Out a Time Sports」に参加した皆さん。

第4回「Out a Time Sports」

現代に甦る「往年の名機」。その魅力は、今のジェット乗りも夢中にさせる

1990年代に活躍した、古き良き時代のジェットでレースコースを走り、最速タイムを競うイベント「Out a Time Sports #4」が、11月7日(日)に、神奈川県平塚市のジェットフィールド湘南で開催された。この日は、関東最大の中古艇即売イベント「湘南合同PWCフェア」も併催されていた。
当日は午前中が薄曇りだったが、午後からは晴天で、暖かい1日となった。この日、総台数52台のエントリーがあり、大阪をはじめ、遠方から参加しているライダーもいた。

今回で4回目の開催だが、回を重ねるごとに人気となり、参加希望者を断らなければならないほどになっている。大盛況の理由は、このイベントが「マジでガチ。だけど遊び」という部分に魅力を感じているのだと思う。

エントリー費は6000円で、お弁当も提供される。これほど、参加者が「1日中笑っているイベント」は、なかなかお目にかかれない。「人に見せるためのイベント」ではなく、「参加者が楽しめる内容」となっているのだ。

会場に設置された「Out a Time Sports #4」のサインボード。

チャンスは2回! ワンミスでタイムが大きく変わる『一発勝負のスラローム競技』はドラマに満ち溢れていた

「Out a Time Sports」は、決められたコースを1人ずつ走る「タイムアタック競技」である。今大会、「550A」「550 B」「X-2」「Blaster(ブラスター)」の4クラスにカテゴリー分けられていた。

イベントは、午前1回、午後1回の計2回を走り、その合計タイムで決勝進出者を決め、決勝戦でもう1度タイムトライアルをして勝者が決まる。
朝のライダースミーティングでコース図の説明があり、練習走行として1周コースを走る。陸上で見ているとブイの位置が分かりやすいが、実際に走ってみると、コースを間違えて覚えている人も何人かいたようだった。ちなみに、ミスコースは失格となるから、なかなかシビアだ。

「お昼休みのショータイム」。ワールドファイナルの名物”応援団長”、2代目・ネドラさんの襲名披露。

「Blaster(ブラスター)」クラス。大会のベストタイムは、このマシン

大会の一番手は「Blaster(ブラスター)」クラス。日本では「MJ-700TZ」「MJ-800TZ」という名前で販売されていたが、「Wave Blaster(ウェーブ ブラスター)」というのが、アメリカでの販売機種名である。

Blasterクラスは、「一家言ある強者たち」7名がエントリーした。一見、和やかな雰囲気だが、実は全員、火花がバチバチ飛んでいるのも面白い。

JJSBAの元チャンピオンの芳賀 毅選手や、ヤマハS-1グランプリ「TZクラス」の無敵のチャンピオンであり、アメリカで行われたワールドファイナルのスラローム競技で世界チャンピオンとなった関 泰光選手、S-1ライダーの知久健一選手をはじめ、レースをかじったことがあれば誰でも知っているレジェンドレーサー・岩森一也選手、「嵐を呼んで切り裂く男」こと市川浩二選手など、実力者ばかりだ。

数年前なら、「TZに乗って、僕が負けるわけありません」と言い切ったはずの関選手だが、今は言わない。世界最強のS-1レーサーであることに間違いはないが、この大会で勝てるかどうか分からないのだ。
S-1大会のように水面が穏やかになるまでスタートを待っていると、MCのDEVIL村尾氏から「セコイ奴!!」と容赦のない叱責が飛び、会場から笑い声が沸き起こる。

全く違う“文化”の中で、ジェット大好きの人たちが集まって、プロもビギナーもしのぎを削る不思議な大会だ。そして、楽しい。
ビギナーが「今日、俺は世界チャンピオンと走った」と言える戦いなんてどこにもないのだから、楽しいのは当たり前だ。

世界中のレースに取材に行っているが、これほど参加者全員が「競技者の走り」を見ている大会も珍しい。DEVIL村尾の「禁断の放送禁止・暴露トーク」の面白さも、大会の盛り上げにひと役買っているのは間違いない。

今回のコース図

コースを間違えないように練習走行で1周する。コース図を見るだけで、すでにドキドキだ。

55HEVENの加藤店長が、桟橋でスタートとゴールのフラッグを振る。文字通り、今大会の『旗振り役』となってイベントをまとめてくれた。

写真左が芳賀 毅選手、右が名物MCの村尾“DEVIL”高明氏。DEVIL村尾氏は、「愛のあるイジリ」で大会を盛り上げてくれた。

Blasterクラス・全選手のライディング

1位 知久健一選手/合計タイム2分08秒33

1位となった知久健一選手。2017年のワールドファイナルのスラローム競技では関選手に負けて2位となったが、今大会では雪辱を果たして優勝。「TZって、こんなすごいコーナリングができるんだ!」と、改めて感じさせてくれた。

今大会のベストラップは彼!優勝した知久選手のタイム。 「(HEAT1)1分02秒06」「 (HEAT2)1分05秒87 」「トップ2・決勝戦タイム59秒14」決勝戦は1分を切る59秒14だ。タイムアタック競技のスペシャリスト「S-1戦士」の面目躍如。

2位 関 泰光選手/合計タイム2分07秒56

「ミスターTZ」の異名を持つ、S-1スラローム最強王者の関泰光選手。ヒート1、ヒート2の合計タイムでは1位の知久選手を0.77秒上まわっていたが、決勝戦で0.93秒の差で知久選手に負けた。1周約1分のコースで、コンマ数秒の争いをするのだから、見ている方も盛り上がる。「(HEAT1)1分06秒28」「 (HEAT2)1分00秒88 」「トップ2・決勝戦タイム1分00秒07」決勝タイムは大会2位。 (HEAT2)と決勝戦のタイム差は0.01秒!「S-1戦士」恐るべしだ。

2位の関 泰光選手(写真左)、右は小原将聡選手。2人は「走り」も「裏方」でも頑張った。関選手は、ヤマハが主催する「S-1スラロームグランプリ」で、2004年~2008年のスポーツクラス5連覇。2017年のワールドファイナル「Ski Modified Slalom」クラスで世界チャンピオンを獲得している。編集部は、彼が「世界最速のTZスラローマー」と確信している。

3位 芳賀 毅選手/合計タイム2分09秒23

優勝候補の芳賀毅選手。前評判どおりのハイレベルな走りを見せてくれた。芳賀選手は「Blaster」「X-2」「550A」の各クラスにエントリー。全てのカテゴリーで優勝候補である。何にでも乗れて、どれに乗っても速い。

写真右:芳賀選手。芳賀選手を「X-2ライダー」だと思っている人は多いが、実はスポーツクラスのレーサーである。後ろでカウベルを持って応援しているのが、「2代目ネドラさん」こと久米由紀子選手。

市川 浩二選手/合計タイム2分11秒11

市川浩二選手は、今大会のマスコットGIRLならぬ、マスコットBOYとして大活躍。走りもさることながら、大会を盛り上げるため、裏方でも尽力していた。

お茶目なエンターテイナー・市川選手。みんなに愛されている”ナイスガイ”だ。それにしても、良くお似合いです!

山岸 孝善選手/合計タイム2分15秒26

山岸 孝善選手は、DEVIL FREERIDEのメンバーで、モトクロス出身レーサー。

左から2番目が山岸選手。

岩森 一也選手/合計タイム2分17秒56

岩森 一也選手は、ジェットレース業界の兄貴分的な存在。「44/55」から「X-2」「Blaster」まで何でもござれ。今回は、自前のTZを持参しての参戦である。一体、何台ジェットを所有しているのだろうか? とてもヴィンテージとは思えないほどキレイなマシンで、現行モデルのようだ。

「Mr. ジャパニーズ・レース レジェンド」岩森 一也選手。とても、還暦を過ぎているとは思えない「年を取らない男」。

菊永 淳一選手/合計タイムDNR

実はこの「菊永淳一」という名前は、ビーバップハイスクールに登場する不良の名前で、本名ではないそうだ。“悪いMC”のDEVIL村尾氏が付けたニックネーム。元フリースタイラーである。

”キクリン”と呼ばれていた、菊永 淳一(仮名)選手。

Out a Time Sports・Topics

ジェットスポーツの応援団長・ネドラさん追悼

カウベルを持って、熱狂的にレースを応援する姿が印象的だった。ワールドファイナルでは超有名な「ネドラさん(Ms.Nedra Atwood)」。「The Cowbell Lady(カウベルレディ)」と呼ばれて皆に愛されていたが、昨年、新型コロナウイルスによりお亡くなりになられた。

ネドラさんと親交の深かった世界チャンピオンの久米由紀子選手が、ひどく悲しんでいる姿を見て「久米ちゃん、2代目ネドラさんになりなさい」と、襲名披露式を企画したという。

会場にUSAの派手な音楽が鳴り響いた。

音楽とともに、ピックアップトラックの荷台に乗った「2代目ネドラさん」こと久米由紀子選手が登場。

会場のボルテージはMAX!!

突然のサプライズイベントに、会場も困惑の色が隠せない。

ネドラさんのご主人・ブラッドさん(Mr.Brad Atwood)からのビデオレターを、加藤店長が日本語に訳して読み上げる。久米選手は、感極まって号泣した。

ここにいる皆さんへ
この場を借りて、特別なお礼を言いたいと思います。
ユキコは、ネドラにとって最も特別な友人の1人でした。 私たちは、ユキコを「日本の家族」と呼び、ユキコは私たちを「アメリカの家族」と呼んでいましたね。 ネドラも今、天国でとても喜んでいると思います。
ワールドファイナルのときに訪問してくれた、私たちにかけてくれた言葉が忘れられません。 あの日、ユキコの存在が、いかに私にとって大きな意味を持ったのか、どのように説明すれば良いのでしょうか。
ユキコに、私から大きな愛を送ります。
そして、ネドラも天国から、常にユキコを見守っています。本当にありがとう。

このメッセージは、昨年12月にお亡くなりになられた、久米由紀子選手が大好きだった「ハバスのお母さん」こと、ネドラさんのご主人からのビデオレターです。

「2代目ネドラさん」を襲名した久米選手(写真中央)。

世界中のジェットレース関係者から愛されたネドラさん。ご冥福をお祈りいたします。

イベント当日、ブースを出展していたファクトリーゼロの今泉祐輔氏。

ヴィンテージマシンの現役時代を知らない若いライダーも、楽しそうにエントリーしていた。

BRP ジャパンの平沢氏。

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