トレーラーの牽引については、「トレーラーの基本的な構造」を説明すると、大抵のトラブルは防げます。トレーラーの仕組みさえ理解していれば、様々なトラブルを回避できます、ジェットユーザー全員に知っておいてほしい知識です。
「カプラー」とは、牽引するクルマとトレーラーを連結する際に、必要な連結装置のことです。
トレーラーをクルマと連結する際、トレーラー側のボールカプラー(以下、カプラー)を、クルマ側のヒッチボールに嵌めます。このとき、きちんとヒッチボールに嵌まっていなければ、走行中に車とトレーラーが離れてしまい大惨事となる可能性もあります。
しかし、カプラーの内側は、普段、見ることはありません。そこで、カプラーがどのようにヒッチボールに嵌っているのか、その構造を説明しましょう。
ロックレバーが下がっている状態状態でカプラーを下げたことのほかに、カプラーのストッパーの下にヒッチボールが重なると、ストッパーの下にヒッチボールが当たり、ロックレバーが下がります。ヒッチボールの上に、カプラー側のストッパーが乗っている状態なので、当然、連結されていません。ロックが掛かっていると思って、そのままクルマを走らせてしまうケースも多いです。
カプラーのの構造上の問題です。カプラーの先端から滑らせるようなイメージでヒッチボールに被せていくと、確実に嵌ります。少しでも後方にズレていると連結されていないので、横からも確認しましょう。
カプラーの先端から滑らせるようなイメージでヒッチボールを被せていくと、確実に嵌る。
ストッパーがヒッチボールを抱え込んでいる。この状態になっていればOK。
トレーラーの連結で、一番多いトラブルが、カプラーとヒッチボールの連結によるミスです。
上から見ると、カプラーがヒッチボールの上に被さっているので、一見、キチンと連結できているように見えます。そこでロックレバーを降ろしてしまうと、実はボールが嵌っていないこともあります。このままの状態で走ると、クルマがバウンドしたときにカプラーが外れ、トレーラーとクルマが離れてしまうことがあります。
まず、連結する前に、ヒッチボールをグリスアップしておきます。実は、曲道などでトレーラーが左右に振られるたび、ヒッチボールがカプラー内で削れていきます。そのため、長く使っているヒッチボールは、削れて小さくなっていることが多いのです。
事前にグリスを塗布しておくことで、走行中、カプラーとヒッチボールがぶつかったときに、ボールが削れたり、変形するのを防いでくれます。
近年、クルマのバックモニターが高性能化し、ヒッチボールまで良く見えるようになりました。そのため、カプラーの真下にヒッチボールが来るまで、車をバックさせる人が増えています。ちゃんと連結していなくても、上から見たら繋がっているように見えるので、きちんとトレーラーを連結していない状態で、車を発進させるケースが多発しています。
このトラブルの原因は、「カプラーの高さ」です。カプラーとヒッチボールは、クルマの低い位置にあります。
連結する際は、ギリギリまでクルマをバックしてトレーラーに近づけないことが第一。少し手前から、人力でトレーラーを引っ張って運ぶようにしましょう。手動で移動させることで、ヒッチボールとトレーラーをぶつける心配もないし、正確に連結することができます。
連結する際、ギリギリまでクルマをバックしてトレーラーに近づけないこと。少し手前から、手で動かして運びます。
1. トレーラージャッキを使って、カプラーの高さをヒッチボールの少し上になるように調節します。
2. 手でトレーラーを引っ張っていく。クルマをバックして近づけると、「カプラーにヒッチボールが嵌っていない」「サイドブレーキ―を解除していない」など、トラブルの元凶になります。
3. カプラーの先端部分をヒッチボールを接触させ、徐々にトレーラージャッキを下げていきます。
4. 完全にヒッチボールにカプラーが嵌ったら、ロックレバーを下げ、カプラーピンを差して鍵をかけます。
5. 上から見ると、ヒッチボールが嵌まっていなくても連結しているように見えてしまう。目線を下げて、横からも確認しましょう。
6. 忘れずにトレーラージャッキを格納すること。トレーラージャッキを格納し忘れて走ってしまうと、大抵は壊れます。特に坂道や段差を走ったら、まずアウトだと思ったほうがいいでしょう。「運が良ければ壊れません」というレベルで壊れます。
今回は、カプラーとヒッチボールを確実に繋ぐ方法を紹介しました。電気配線コネクタの接続については、順次、紹介していきます。
カプラーが嵌っていない状態でクルマを走らせると、最悪の場合、トレーラーが外れてしまいます。高速道路などでクルマと切り離されたら、大惨事になります。セーフティチェーンだけでは安全とはいえません。くれぐれもカプラーがキチンと嵌っているかを確認して走り出してください。
取材協力/ビーチマリン(埼玉県久喜市)、タイトジャパン
下記の、この記事の「後編」もお読み下さい。誰にも聞けない、
ジェットを牽くトレーラーの取り扱い方法 基本②「電気配線コネクターとセーフティチェーンの正しい接続方」
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