キャデラック・エスカレード
威風堂々、武骨なのにエレガンス。
今回は、高級SUV「キャデラック・エスカレード」の登場です。
その前に、SUV(Sport Utility Vehicle、スポーツ・ユーティリティ・ビークル)の話をしましょう。
SUVとは、自動車ジャンルのひとつ。スポーツ・ユーティリティ・ビークル(Sport Utility Vehicle)を略したものです。「スポーツを楽しむ人が、主に利用する車」とされており、アメリカでは政府各省で使われています。
あくまで、SUVは用途上の分類にあたるため、駆動方式や車の構造・構成などによる明確な定義はありません。今でこそ、高級ブランドのSUVは珍しくありませんが、1990年代後半までは、SUV、特にオフロード性能の高いクロスカントリー車での高級車は特殊なものでした。
「SUV」の発祥はアメリカです。1940年代に発売された「ウィリス・ステーションワゴン」、1960年代に発売された「ジープ・ワゴニア」が、初期のSUVとされています。当時、「SUV」という概念が定着していなかったため、遡ってカテゴライズされました。SUVというジャンルが確立されたのが1990年代前半。それまで、「家族で乗る車」といえばミニバンでしたが、アウトドアレジャーを楽しむためのオフロードの走行性能が高いことから、SUVが好まれるようになったのです。
それ以降、「日常でも、レジャーでも使えるクールなSUV」として、人気を博していきました。さらに、フォードから発売された「リンカーン・ナビゲーター」のヒットにより、「高級SUV」というジャンルが切り開かれました。
特徴的だったのが、乗用車ベースのクロスオーバーSUVではなく、ラダーフレームを持つクロスカントリー車をベースに高級化したことです。ラダーフレームとは、「ハシゴ型の強固なオフロード専用車両フレーム」のことです。クロスカントリー車とは、オフロード、つまり舗装されていない道や砂地や岩場など、普通の車では行けない場所に行ける「車の名称」です。
キャデラック・エスカレードは、最高級車なのに、ラダーフレームの強固なクロスカントリー車でもあります。悪路走破性より、オンロード時の快適走行に力を入れています。
このエスカレードは、全長5m、全幅2mを超える巨大なボディ。3列シートでも、車内空間は十分に広いのが特徴です。座席の2列目と3列目は電動格納シートで、スイッチひとつで広大なラゲッジスペースが瞬時に作れます。大型ドアなので、乗り降りもラクラク。乗り降りの際、両手が塞がっていても、リアバンパーのセンサー下で足を動かせば、自動でゲートが開く「ハンズフリー・プログラマブル・パワーリフトゲート」が装備されています。
駐車時も、センサーがスキャンして自動的にステアリングを操り、ドライバーは、アクセルとブレーキ、シフト操作のみで駐車できる「オートマチック・パーキング・アシスト」を採用。大柄ボディでも安心です。
エンジンは、6.2リッターV8OHVエンジン、426馬力と超パワフル。2WDと4WDの切り替えが可能なセレクタブル4WDシステムにより、抵抗の少ない2WD走行から、安定したトラクションを発揮する電子制御4WDまで選択が可能です。
特徴的なのは「マグネティック・ライド・コントロール・システム」と呼ばれるGM独自の可変ショックアブソーバーです。内部に磁気を帯びたオイルを使用し、電気を流してオイルの粘性を変化させられます。機械的な可変サスペンションより動作が速く、コルベットなどスポーツカーにも採用されているこのメカニズムにより、活発な走りと高級感ある快適性を両立しました。