「Can-Am（カンナム） スパイダー」は、スノーモービル（Ski-Doo）や水上バイク（SEA-DOO）、ATVを製造する、カナダのBRP社より発売されている三輪トライクである。
「かつてない解放感を味わえる、まったく新しい乗り物」をコンセプトに、1996年にプロジェクトを発足。2007年に発売が開始され、2013年から日本国内での販売が始まった。
日本では、最初にシリーズ最上級のラグジュアリーツアラー「RT」シリーズを発売し、2015年からスポーティな「F3」シリーズが追加されている。
2020年には、7年ぶりに「RT」シリーズがフルモデルチェンジとなった。
スパイダーの特徴は、前2輪、後ろ1輪の通称「リバース型トライク」と呼ばれるタイプだ。現在、テレビで放送中の特撮ヒーロー「仮面ライダーセイバー」が乗っている三輪バイクが、まさにこのスパイダーである。バイクでもクルマでもない独特のライディングフィールに、愛好者が増えている。
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「トライク」とは、シートにまたがった状態でハンドルバーを操作する、ドアのない三輪車のこと。同じ三輪車でも、シートが着座式、丸ハンドル操作式、ドア付きのものは「トライク」とは呼ばない。
スパイダーは「自動車」扱いになるため、公道で運転するには「普通自動車」以上の運転免許が必要となる。パドルシフトのセミオートマなので、AT限定免許で運転できる。ちなみに、二輪免許では運転できない。
高速道路での走行ももちろんOKで、通行料金は軽自動車やバイクと同じである。高速道路料金は、401cc以上のバイクと同じである。
自動車扱いなのでヘルメット着用義務はないが、飛び石や虫などから頭部を守るため、被ることをおススメする。
サイドカーと同じ「側車付きオートバイ」に分類されるので、購入時に車庫証明は必要ない。税金、自賠責、任意保険も、バイクと同じ扱いになる。
法定最高速度は、一般道が60km／h、高速道路は80km／h（三輪自動車扱い）となっている。
トライクの場合、排気量によって変わってくる。排気量が250ccを超える場合は「側車付オートバイ」となり、車検が必要。
排気量が50cc超～250cc以下の場合は「側車付軽二輪」となり、車検は不要。
ちなみに、スパイダーは1,330ccなので、車検が必要である。
| 全 長 | 2,833mm |
|---|---|
| 全 幅 | 1,554mm |
| 全 高 | 1,464mm |
| シート高 | 755mm |
| 乾燥重量 | 464kg |
| 定 員 | 2名 |
| 搭載エンジン | Rotax 1,330cc 水冷4ストローク直列3気筒 DOHC 4バルブ |
| 最高出力 | 115hp（85.8kW）/7,250rpm |
| 最大トルク | 130.1N・m/5,000rpm |
| トランスミッション | 6段セミAT |
| 燃料タンク容量 | 26.5L |
| 燃料タイプ | 無鉛ハイオクガソリン（プレミアム） |
| 最大収納容量 | 177L |
| メーカー保証 | BRP限定保証 2年ロードサイドアシスタンス付き |
| メーカー希望小売価格 （消費税込） |
350万円（SPYDER RT LIMITED） |
Rotax 1330 ACEエンジンは、どのギアでも最大のトルクを発揮する並列3気筒。優れた加速とレスポンスを発揮する。燃費に優れ、燃料満タン時に最高で406kmの走行が可能。
自動車のテクノロジーを採用したこのシステムは、BOSCHとのパートナーシップによって開発。ABS、トラクションコントロール、スタビリティコントロールを統合した車両スタビリティシステムが、優れた安心を提供してくれる。スパイダーのコーナーリング性能は、これらのシステムと、トライクという形状、ならびに車両重量の軽さにより、非常に高い。
7.8インチ（19.8cm）の大型パノラマ液晶ディスプレイ。BRP Connectを搭載したワイド液晶カラーディスプレイ。ライディング用スマホアプリ「BRP CONNECT」を入れることで、ナビゲーションでルートを確認したり、好きな音楽を聴いたりできる。スパイダーのディスプレイに直接表示できるので、利便性と安全性に優れている。USB経由で接続すると、スマホの充電も可能だ。
フロントには広いカーゴスペースを装備。さらに、リアに16ガロン（60L）の「LinQリアトップケース（ヘルメットを2個収納可能）」を装着することで、総収納容量は177 Lにもなる。リアトップケースを外して、他のLinQアクセサリーを装着することもできる。
メモリー機能付きの調整可能な電動フロントガラス。優れた風除け効果を発揮する。メモリー機能により、停止すると自動的に一番低い位置まで戻してくれる。
リアのショックは、乗員と荷台の重量を自動的に調整してくれて、快適性を損なわない。
ライダーのシート、パッセンジャーシートともに、冬でもとても暖かく快適なシートヒーターを採用。スイッチ一つで温度調節もできる。パッセンジャーシート横のハンドルグリップにも「グリップヒーター」が採用されているので、指先はいつも暖かい。車速に応じて、多様なアシスト機能を発揮する。
高機能の油圧クラッチシステムにより、快適性と低燃費を両立。親指（シフトアップ）と人差し指（シフトダウン）によるパドルシフトを採用したセミオートマチック・トランスミッション（後退ギア付き）で、低回転数域で快適に走行できる。
ブレーキ技術の世界的先駆者「ブレンボ」が、スパイダー用に特別に設計した高性能ブレーキ。どんな状況でも優れた制動力と安定した性能を発揮してくれる。スパイダー RTという乗り物を一言でいえば「至れり尽くせり」である。「スポーツカー」的な要素と、オートバイのような「開放感と爽快感」。それらを存分に味わうために、スパイダーの装備は作られている。走行性能についてのインプレッションは、別の記事で詳しく紹介しているので、ここでは装備についての感想を言いたいと思う。
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乗っていて感じたことは、シートの快適性だ。適度に柔らかく、長時間のツーリングでも苦もなく座っていられる。サスペンションの働きが上質なので、とても気分がいい。スマホをスパイダーに接続することで音楽を聞けたり、ナビゲーションを設定することもできる。スパイダー本体にナビゲーションシステムはないが、全く不便を感じないのもこういった装備が充実しているおかげだ。
スパイダー RTは、今までのバイクやクルマとは異なるスポーツ性能やクルージング性能を持った乗り物である。
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