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「硬派な漁協」と優良な「ジェットショップ」の素敵な関係・「スズキマリン」と「新富津漁業協同組合」が手を組み、“漁港”で免許講習会を開催している理由

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漁業協同組合とジェットショップの理想的な姿

「新富津漁業協同組合」は、なぜ漁港を使っての免許講習を受け入れてくれたのか

全国的に見ても、「漁港」は「ジェット」を嫌っていることが多い。

それは、一部の悪質ジェット乗りの行いに起因することは間違いない。

悪質ユーザーのために、普通のジェットユーザーまでも排除されている現在、ジェットの免許講習のために漁港を使わせてくれる漁業協同組合があるという。


今回紹介する「新富津漁業協同組合」では、地元のジェットショップ・スズキマリンと連携し、年に2回、漁港の水面を使って免許講習を行っている。


ジェットに対して歩み寄る姿勢を見せてくれる新富津漁業協同組合の組合長・小泉 敏さんと、参事・平野芳典さん、そして何年もかけて信頼を勝ち得てきたスズキマリン代表・鈴木雄生さんに話を伺った。


新富津漁業協同組合さんで話を聞いた。


「漁業協同組合」と「ジェットショップ」の理想的な関係

WJS 本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございました。

今回、富津市のジェットショップ・スズキマリン代表の鈴木雄生さんから、「新富津漁業協同組合さんの協力により、ジェットの免許講習を漁港で行っている」というお話を伺いました。

昔からジェットは漁協から嫌われているのですが、どのような経緯でジェットの免許教室の会場として漁港を使わせていただけるようになったのですか?


鈴木 ジェットの免許講習に漁港を提供してくれることは、全国的にも非常に少ないと思います。

もともと組合長の小泉さんは、ウチ(スズキマリン)の船外機のお客さんで、何十年も前からお付き合いをさせていただいています。

それで10年ほど前から「漁のオフシーズンに、特殊小型船舶免許の講習で使わせていただけませんか?」と、ご相談させていただいていました。


小泉 鈴木さんから相談されて、「組合員を守るために、漁港の有効利用の一環で収益が上がるんであれば」と考えました。

スズキマリンさんは、悪質水上バイク問題で「富津岬を守る会」などを通じ、安全・啓蒙活動にボランティアで取り組んでいたのを知っていますから。


WJS 平野さんは、ジェットに対して悪いイメージはないのですか?


平野 ニュースを見ると、飲酒で暴走したりみたいな悪いイメージばかり誇張されている。

でも、人命救助のようないいことは出ない。富津は海の町ですが、水上バイクがいっぱい人助けをしています。

今日も水上バイクでパトロールしていただいて、おかしな船を取り締まってくれていますよ。



WJS ジェットが取り締まりをするのですか?


平野 例えば、富津市民花火大会では漁港を花火の打ち上げ業者に貸しています。

この場所から花火があがるんですけど、パーティボートのようなプレジャーボートが集まってくるんです。

その人たちが、漁船の往来の邪魔をしたり、入っちゃ困る場所に来ちゃう。

それを地元の有志の方々が、機動力のある水上バイクでパトロールしてくれています。



新富津漁業協同組合・組合長・小泉 敏さん


「海はみんなのもの」。だから、共存する道を探している

WJS それでも、ジェットのために漁港の施設を貸して下さることに驚きます。


小泉 水上バイクも、全部が悪い人ではない。その中の一部がクローズアップされているだけだと思っています。

何より、何十年も長い付き合いをしている地元のジェットショップ・スズキマリンさんの紹介だから始めた。



WJS お互いの信頼関係があるから実現したお話ですね。


小泉 海は、「漁師だけのモノ」って世間的には思われている。

でもそうではなくて「みんなの海」。共存していかないとね。


WJS 特に漁港がある場所では、「海は漁師のものだと思っている」と思ってました。

でも、組合長である小泉さんが「みんなの海」と言ってくれるのは嬉しいことです。



小泉 たしかに昔はそうだったかもしれない。でもこれからは変わっていかないとね。

海水浴もあるし、潮干狩りもある。みんなが海で楽しんでもらえる。

都会から海にきて、1日遊んでもらってって、そういうふうにしていかないと、漁業組合はドンドン時代から取り残されていきます。



新富津漁業協同組合・参事の平野芳典さん


「漁業協同組合」の役割とは?

WJS 小泉組合長は、どうしてそんなに柔軟な考え方が出来るのですか?


平野 小泉組合長もそうですし、彼の息子さんも漁師です。

若い人のことを考えると柔軟な考えでないと組合の継続も難しい。組合員も、辞めていく人が増えちゃいます。


小泉 今も現役の漁師です。海苔が終わったから、今の時期は漁閑期で海に出ないけど、冬場は毎日海に出てますよ。


WJS よく知らなくて申し訳ありませんが、「漁業組合」というのは何をするところなのでしょうか?


小泉 漁師や業業従事者が組合員なんですが、基本は「彼らを助けること」だね。


WJS 「助ける」というと、水揚げした魚を組合が集めて販売するといったことですか?


小泉 共同出荷っていうのもあるけど、一つの組合で管理することで「付加価値」をつけたりする。

例えば「ブランド化」だよね。

海苔の場合は、組合が集めて県に出荷し、県が問屋さんを呼んでくれて競りをやって売ってくれる。


WJS 新富津漁業協同組合の主力商品は「海苔」なのですか?


小泉 そうですね。「海苔」に特化した組合っていうのは全国でも珍しい。

それが今、ネックになっている。

それで、カキの養殖を始めたりもしています。長い間、海苔の養殖が主な仕事でしたが、「水上バイクの免許講習に場所を貸す」のも、「カキの養殖を始める」のも、漁業を守るためにやるんです。



千葉県富津市の優良ジェットショップ スズキマリン


「海苔の養殖」は、環境の変化をまともに受ける

WJS 海苔の養殖だけでは、組合員の生活が守れないということですか?


小泉 温暖化による東京湾の変化が、海苔の養殖事業に大きく影響しています。海苔が獲れるのは11月~翌4月ごろまでの寒い時期。

それが、温暖化の影響で11月ではなく12月にならないと獲れなくなった。

春も4月まで獲れていたのが3月に早まった。2カ月~2カ月半も漁期が短くなっています。カキの養殖は、それを補うためです。


WJS それほど海苔が獲れなくなっているのですね。


小泉 昔は半農半漁で、冬場は海苔を作り、夏場は米を作っていました。

昔は、海苔の養殖だけで食べていけた良い時期もありました。

私が子供のころは、クラスの半分以上が海苔の養殖の息子や娘だったのに、今じゃ1学年に1人くらいしか関係者の子供はいない。

海苔だけでは食えないので、お店を経営する人もいます。

温暖化や環境の変化で海苔の生産が落ち込んできて、他の産業をやらなければいけなくなった。

私は年寄りだから「これで終わり」で良いんですが、若い人のことを考えると先が心配です。

日本全国、漁業から離れて行く人が増えている。

やっぱり、自然を相手にしている仕事は環境変化で、ますます大変になっていきます。


WJS いつごろから、海苔の養殖が厳しくなってきたのですか?


小泉 昭和40年前はいい商売だったんですよ。海苔の時期が終わった後に、みんなで北海道にゴルフに行ったりね。だけど東日本大震災の後は、ドンドン悪くなっている。


WJS 東日本大震災が、富津の海苔養殖に関係するのですか?


小泉 あれで海が変わっちまった。海底の地形が変わってしまったんです。

恐らく液状化のようになったんでしょうね。石とかが出てきて、「海が変わった」と確信しています。

それまでは5月に入るまで、良い海苔が獲れたんです。

でも今年は、4月になったらとたんに栄養源がなくなっちゃった。そうなると市場に出しても値段がつかないような品物になってしまう。

以前は春から秋まで栄養源がなくなるということがなかったし、いつでも「黒い海苔」が獲れたのにね。コストがかかるのに、量が獲れないから、漁師は苦しいんです。


WJS 東日本大震災が、東京湾まで影響するとは思いませんでした。


小泉 海苔って難しいんです。

気候の変動にすぐ左右されるし、漁業じゃない部分がある。

海から海苔を摘んできたら、今度は加工しなくちゃいけない。1次産業と2次産業が入っている。

例えば、海で「100円の海苔」だと思っていても、加工したら「50円」になる場合もある。

もちろん、その逆もあって、加工で倍の値段になることもある。摘んできても加工が遅れれば品質が落ちるし、加工の仕方で高くも安くもなる。だから難しい。


WJS 加工までを組合でやるのですか?


小泉 全部ではありませんが、9件が組合事業でやっている。あとは自宅でやっている。

今は機械でやってますが、昔は天日干しでした。昭和40年代になってから機械化が進みました。それがまた設備投資の金額を押し上げて大変なんです。

具体的に言うと「実入り」が少ない。

設備投資が上ったのに漁獲高が横ばいだと、実質的に利益率は落ちてしまう。

高額な漁船や設備は、メンテナンスも含め維持費も上がります。


平野 だから最近は、新規で海苔の養殖事業をやりたいって人があまり出てこないんです。


WJS 平野さんはまだお若い参事ですが、海苔の養殖についてどう思われているのですか?

平野 私は、東京湾で海苔が獲れることを知ってほしい。

だから地元の小学校に海苔を無償で配ってもらう活動をしています。最初は施設に寄付、それから市役所を通じて小学校に寄付しています。

地元の子供に食べてもらって、この富津の海で美味しい海苔が獲れるのを知ってもらいたいと思っています。



新富津漁業協・ノリ網を洗っている漁師さん。


急激な時代の変化に対応するために、変わる必要がある

WJS 組合長ご自身も漁師でありながら、激変する時代に対応するための組合を引っ張る舵取りは大変だと思います。

小泉 私たち年寄りの出る幕ではなく、参事(平野さん)や若い組合員が中心となって時代に合わせた漁業組合に変えていってくれればいい。

だから、スズキマリンさんのような地元でキチンと仕事をしている人の意見を聞きながらやっています。


平野 ウチの組合が助かるのは、組合長の考えに柔軟性があること。そんな組合長は少ないですね。


WJS いつから組合長をされているのですか?


小泉 11年前です。本当はね、やりたくなかったんです。大の男が1人抜けると、一緒に漁に出ていた子供たちが大変になるから。


WJS それでも組合長をされているのは、「自分がやらなければ」と考えたからですか?


小泉 私の場合、初代の組合長が同じグループにいて近所だったんです。

その人を見てたから、まわりの人たちが後押ししてくれた。正直、こんなに長く続けるとは思っていませんでした。


WJS 前の組合長というのはどういう方だったのですか?


小泉 素晴らしい人でした。この組合を作った方で、組合長を40年以上続けられていました。



ボランティア活動で、人助け「富津岬を守る会」の皆様



「新富津漁業協同組合」は特別。「海苔を作りたい」と、心ある人たちが集まってできた組合

WJS 新富津漁業協同組合というのは、昔からある組合ではないのですか?

小泉 「新富津漁業協同組合」というのは、ちょっと特別な事情があるんです。

昭和46年3月、富津岬南側の漁場を基盤に236名で発足しました。もともと私たちは、東京湾の別の場所で海苔の養殖を行っていたんです。

国の東京湾臨海地域埋立計画を進める中で、漁師に当時1000万円の補償金を渡して「陸に上がれ」と言って、富津地区4漁協(青堀・青堀南部・新井・富津)の組合員1,400名が、漁業権の全面放棄に追い込まれました。

そのとき、「内湾を埋め立てるので、金を払うから海苔の養殖事業は辞めろ」って国から言われたのに、それを断って「海苔を続ける」って言った人が4漁協から集まり、富津岬北画の漁場から、現在の南側の漁場に移りスタートしたんです。


WJS 一般的に、東京湾の埋め立て事業で漁師はたくさんのお金をもらったと思います。

補償金をもらうために漁師だった人もいるとも言われています。

それなのに小泉さんたちは漁師を続ける選択をしたんですね?


小泉 確かに高額の補償金も出たんですが、こちらに移った人は半分以上のお金を国に返してこっちに来ています。

当時、私はまだ学生で学校に行ってたので、それは前の組合長や親の世代の決断です。



スズキマリン、良い店には良い人が集まる・「富津岬をまもる会」のメンバーは、この店のお客様だった。



国に補償金を返しても、「海苔」の養殖をやると決めた。その火を消すわけにはいかない

WJS 補償金を返却したのですか?


小泉 こっちに移ってきた236人全員が、1,000万円の補償金の半分の500万円を国に返して、新たにこの組合を作ってこっちに来た。

変な言い方ですけど「お金は要らないから、海苔をやるんだ」って。

最初、東京湾の真ん中に「中の瀬」っていう水深の浅い場所があって、「そこでやる」って県に言ったらしいんですけど、「中の瀬で養殖をやられちゃうと、大型船が入れない」という理由で断られた。以前この場所には、富津組合というのがあったけど、補償金をもらって全面放棄されていた。

それで県の方から、「漁場を放棄した組合があるのでこっち(富津)でやんなさい」って、親世代が「新富津漁業協同組合」を作りました。

そんな経緯を先輩方から聞かされてきました。だから、ここは特別なんです。


WJS 「海苔を守っていかなければならない」というのは、先代の組合長の意思でもあるんですね。


小泉 それもありますが、我々の親の意思でもあります。

県の方が「廃業して陸に上がりなさい」という方向性で話を作ってきたのに、「ダメだ。我々は海で飯を食っていくんだ」ってこっちに移ってきた歴史がある。だから、そんな歴史の火を自分たちが消すわけにはいかない。

海苔を守っていかなければいけないんです。



何度も人命救助などで、メディアにも取り上げられている「富津岬をまもる会」。有志


長い年月をかけて、信頼関係を結んできたからできたこと

今回、新富津漁業協同組合・組合長の小泉さんと、参事の平野さんに話を伺って、我々が持っていた「漁業協同組合」というイメージと全く違うことに気付かされた。

しかし通常、漁閑期だからといって、どこの漁協でもジェットのために漁港を使わせてくれるはずはない。

地元の漁協と絶大な信頼関係を築いているスズキマリンだからこそ、免許講習が可能となっているのだ。

「ジェットを買う」のはどこでもできるが、本当に「ジェット遊び」をしようと思ったら、「信頼できるジェットショップ」が不可欠なのだ。


写真左・新富津漁業協同組合 参事の平野芳典さん、中央・組合長・小泉 敏さん、右・スズキマリン代表の鈴木雄生さん、



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