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アマゾンでジェットを買う日が来る? 優良なジェットショップの憂鬱 ジェットスキー(水上バイク) コラム

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優良なジェットショップオーナーの憂鬱

先日、優良なジェットショップのオーナーと話をする機会があった。そのときに、オーナーが「社会全体が、新型コロナの影響で急激に変わり始めている。自分の商売にも、いろいろな影響が出ている。変化はさまざまで、大まかな方向性だけは掴めるけれど、どれほどの規模の影響になるのかが見えない」と不安を口にした。

今年の春先は、外出自粛要請などにより業績の悪化が予想された。我々のジェット業界はレジャー産業だ。「不要・不急」という意味では、最も日常生活と関わりのない分野である。だから「深刻な販売不振」に襲われると思っていたが、夏が終わってみると、例年と比べて、それほど大きな変わりはなかったそうだ。

しかし、そのオーナーの不安は、もっと別のところにあった。
彼のジェットショップは、わりと交通量の多い幹線道路に面している。3階建て1、2階部分がショールームで、外からもディスプレイされているジェットがよく見えるオシャレな建物だ。

都内の高級外車専門ディーラーのような佇まいである。広い駐車場もあり、トレーラーでジェットを牽いて来たお客さんも余裕で停められる。
ビルの外観がもう少し地味なら、トヨタや日産など、車のショールームにぴったり合いそうだ。

トヨタの急激な変化、クルマの世界は変わり始めた。さて、ジェット業界はどうなのか

社長の不安の種は、そのトヨタのディーラーにあるという。
昨年(2019年)6月にトヨタ自動車は、「約60年間続けてきた『販売店系列ごとに、販売車種を変える手法』を終了する」と発表した。2020年5月から、全国すべてのトヨタディーラーで、すべてのトヨタ車が買えるというのだ。

それまでは、トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店の4系列の販売店で、それぞれ販売できる車種が決められていた。欲しい車種を取り扱っているブランドに行かないと購入できなかったのを、どの車種でも、日本全国のどの店舗で購入できるようにしたのだ。

件のオーナーの近所にも、半径数キロ範囲内にトヨタのディーラー店が4件もあるという。その4件のトヨタは、それぞれ取り扱う車種が違うので、完全に住み分けができていた。ハイエースならあの店、プリウスはこっちというように、商圏が被ることはなかったのだ。

それが今回の改変で、4件のディーラーのどこへ行っても、同じ車が買えるようになった。買う側としたら、遠くの店まで行かなくても買えるからありがたいことだが、当然、売れる店と売れない店がはっきりする。将来的には、競争に負けた店がなくなるだろう。

近い将来、車もネットで買う時代になる!?

今回の業務形態の変更により、ディーラー側にすれば「1番人気の高い車種が扱えるようになることで、売上のアップが見込める」「各販売店は扱うモデルが倍増し、すべての人気車種が扱える」というメリットがある。
しかし一方で、「扱う車種が同じなので、売れ行きのよくない販売店はなくなる」という懸念がある。また、売れる車種を率先して売るようになるから、人気、不人気モデルの格差が生じやすくなり、車の種類が減少するだろう。

なぜ、トヨタはこれほど大きな改革を行ったのか?
自動車業界は、大きな変革期を迎えている。トヨタは「自動車製造の会社」だが、今は、自動車を作るだけのメーカーではなくなった。
現在の車は、「走る通信機器」ともいえる。車が故障したり調子が悪くなったら、メーカーとのオンラインで、車の状態が診断できるし、カーナビなどのアップデートも自動更新される。ドライバーはトヨタコネクティッドに通信料を払っている状態だ。それは「製造業」ではなく「サービス業」の分野である。

今回の新型コロナで、世界は加速度的に、強制的ともいえる進歩をせざるを得なかった。特にインターネット世界の進歩は著しい。これから、世間では在宅勤務はますます増え、「店舗に行かず、ネットで買う」ことが当たり前になるだろう。

何かで「将来的には、アマゾンで自動車を買うような時代がくる」というのを読んだが、このまま進んでいけば、ネットで車を買うことが当たり前になるのかもしれない。
そうなると、ディーラーの役割も変わってくる。売ることよりも、補修や修理などのサービス業としての比重が高まるだろう。

いずれはさらに進化して、家電の大型量販店のように、トヨタだろうと日産だろうと、外車だろうと、あらゆる車種の販売や修理などを扱う店が現れるかもしれない。そして、家電のように自動車も、修理するより、新しいものを購入したほうが安いという時代が来るかもしれない。昭和の時代には、ナショナルショップとか東芝だとか、メーカーの専門ショップがあったが、今は姿を見なくなった。

未来のショップ予想

確実に言えることは、自動車にせよ、水上バイクにせよ、店舗が消えることはないと思う。いくらネットの時代が来ても、車検もあれば、修理もしなければならない。しかし、サービスの差がショップの生存率を高めるようになる。

我がジェット業界の場合、メーカーは「BRP」「ヤマハ」「カワサキ」の3つである。その3メーカー全てを取り扱っているジェットショップも少なくない。
急激な変化の波が襲ってきても、販売台数にそれほど大きな変化はないことが、今回のコロナ禍で判明した。店舗による勝ち負けがはっきりしても、勝った店舗だけでまかなえる数ではない。一人勝ちする販売店があっても、すべての台数をその1件だけでケアできるわけがない。

急激な変化の真っただ中にいる今、知り合いのジェットショップオーナーが不安な気持ちも良く分かる。急激な変化は、“恐怖”を伴う行為だからだ。しかし同時に“希望”もある。これからの世の中、インターネットを怖がっても避けて通れない。誰にでも簡単に分かりやすく扱える、ネット弱者のような人が出ない社会を望みたい。

アマゾンで自動車を買う時代が到来すれば、ジェットもネットで買えないわけがない。しかし、メンテナンスや修理は、アマゾンでは無理だろう。「我々ユーザーには、信頼できるジェットショップが必要」という定義は、未来永劫、不変の真理なのかもしれない。






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