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本音を言えば、立ち乗りが1番楽しい だからジェットスキーに乗るんです (水上バイク)ジェットスキー コラム

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ジェットに乗るなら「1人乗りが最も楽しい」という私の持論

ランナバウトのツーリングは、『非日常』との出会いでもある

夏が終わり、秋が過ぎ、真冬の寒さに凍える今ごろ、ゲレンデに行くと、水上バイク(以下、ジェット)はスタンドアップだけだ。これは、なぜだか分かるだろうか?
それは、寒くても「ジェットに乗る楽しさ」が変わらないからだ。

ランナバウトも、もちろん楽しい。しかし今の時期、グリップヒーターなどの防寒対策をしていないと、水の上は罰ゲーム以外のナニモノでもない。
「冬の雪景色を見に行く」とか「冬にしか釣れない魚を釣る」といった特別な理由があれば、冬にランナバウトに乗る楽しさは理解できる。

数年前、真冬の山中湖にツーリングに行ったことがある。岸に近いところは、氷を割りながら進めたが、湖の真ん中に近づくにつれて、氷が厚すぎて先に進めなかったことがある。
そのとき氷の上では、穴を開けて「ワカサギ釣り」を楽しんでいた釣り人たちが、ジェットで近づいてくる私たちを見て、目を丸くしていたことを覚えている。

あのとき私は、割れた氷が船体にぶつかって傷つくのが怖くて、時速20km以上、スピードを出すことができなかった。終始、緊張しながら乗っていた。普段のツーリングでは、絶対に見られない景色を堪能することはできたが、「乗ることが楽しい!」と感じることは、最後までなかったのである。

寒さは、ランナバウトを楽しもうとする心を「容赦なくへし折る!」。氷を割りながら進んだ軌跡が残っている。【富士五湖】山中湖、河口湖でジェットに乗るには届け出が必要

スタンドアップで、日がな一日、同じコースを走っていることが、どうしてこんなに楽しいのだろう

レーサーたちは、夏でも冬でも、一年中、日がな一日、ブイを張って同じコースを走って練習している。口の悪い人は「ハムスターの回し車」などと揶揄するが、やってみるとこれがメチャクチャ楽しいのだ。

同じコースを走っても、毎周回ごと、水面状況もコーナーへ進入するスピードも変わる。
このあたりが、道路を走るのと決定的に違う点だ。周回ごとに路面が変わるサーキットなんてありえない。
常に変化し続けるシチュエーションの中で、上手く乗れないジェットを思い通りに操るべく奮闘するのだ。

ライディングが上手い人ほど「飽きない」と言う。それは、上手くなるほど「手に入れたいテクニック」が見えてくるからだろう。それを極めるのは、果てしない道のりだ。どこまでいったら「極めた」ことになるのか、やっている本人たちにも分からない。

左が日本最強スタンドアッパー“KING”竹野下正治プロ。すごい人ほど、本人には自覚がない。それが魅力!


やればやっただけ自分の経験値になることを、上級者ほど知っている

以前、カワサキから「ULTRA 300」が発売されたとき、波間を走る写真が撮りたくて、国内ウェーブライドの第一人者・村尾“DEVIL”高明氏にライディングをお願いしたことがある。そのとき、彼から「俺、これでバレル(ロール)できますよ。撮影してくれますか?」と言われて驚いた。
ジェットと人間込みで重量は500kgを超える。そんな鉄の塊が、空中で1回転して無事でいられる保証はない。取材班の立場からすれば、確実に安全である保証ができないことをやってはもらえない。残念だが、丁重にお断りさせていただいた。
他人から見れば無謀で危険なことでも、本人には成功する自分の姿が見えているのだ。


波のジャンプ台と、これだけのパワーがあれば「絶対、バレルロールができます!」と言う、国内ウェーブライドの第一人者・村尾“DEVIL”高明氏。初めてULTRA 300に乗った感想が「バレルロール」とはなぜだ? 「フットホールだけは付けさせて下さい」と言われたが、絶対にダメ!


審査員を頼まれた「国内最強スタンドアッパーの本音」

それに関連して思い出したのが、数年前、フリースタイルの大会に、日本最強スタンドアッパー“KING”竹野下正治プロが審査員として呼ばれたことがあった。大会終了後、コメントを求められた竹野下プロが言った言葉は、「僕にそのマシン(フリースタイル艇)を2カ月貸してくれたら、世界チャンピオンを獲ってあげる」であった。
予選も含め、丸2日間、フリースタイル競技を審査した感想がそれだ。私は、心底、笑ってしまった。まぎれもない、彼の本音だと思ったからである。

竹野下プロにとって、最も辛いのは、「ジェットに乗れないこと」だ。いくら審査員として呼ばれたといっても、自分は全然ジェットに乗れないのに、2日間も目の前でジェットに乗っている選手たちを見せつけられ続けた。彼にとっては、辛抱でしかなかったのだろう。そして、「これなら出来る!」と確証できるだけの何かを感じ取ったのだ。

村尾氏、竹野下プロともに、こんな発言がとびだすのは「ジェットに乗ることが楽しい」からにほかならない。これだけ長くジェットに乗っていても、まだまだ自分の限界が見えていないのだろう。「もっと乗ったら、もっと上手くなるかもしれない」。そんな可能性を秘めた乗り物が「ジェット」なのだ。


日本最強スタンドアッパー“KING”竹野下プロ。2012年6月17日 JJSF第5戦、蒲郡大会にて。

STAND UP LOVE!


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