結論から言えば『水上バイク(ジェットスキー、以下「ジェット」)で、日本1周は可能です』。
しかし、法律によって守らなければいけない走り方があります。ジェットが走れる区域は法律によって、「陸岸から2海里(約3.7km)」以内と決められています。だから、チャレンジするのなら海岸線に沿って、「陸岸から2海里以内」を”走り続ける”ことになります。 さらに「15海里(27.78km)」以内に1度、上陸しなければなりません。
(条文:出発してから「15海里(27.78km)以内」に、水上バイクが安全に出入りできるゲレンデに上陸すること。)
漁師の法律で、出発してから「15海里(27.78km)以内」に1度、漁港に立ち寄り、自分の”居場所を報告する”というものがあります。これは、漁に出て、もし何かトラブルが発生したら、すぐに救助に向かうためです。その法律がジェットにも適用されています。
本来なら、ジェットも同じように漁港へ立ち寄らせたかったのでしょうが、断られてしまったので「安全な場所に上陸する」ことになったのだと思われます。
ジェットに乗ってロングツーリングに行きたいと思いながら、いつも頭をよぎるのが「そういえば、ジェットが走れる距離って、何か決まってたよね?」です。特殊小型船舶免許を取得するとき、「2海里」とか「航行区域」という言葉を習ったと思いますが、実感としてどこまで行けるか良く分からないというのが本音です。
航行区域とは、船舶が航行する区域を指します。船舶安全法では、すべての水域を「平水区域」「沿海区域」「近海区域」「遠洋区域」の4種類に区分しています。
この4つ以外に、「沿岸区域」と「国土交通省令で定める近海区域」の2つの区分も法定されています。
このうち、ジェットが関係あるのは、「沿岸区域」です。 沿岸区域とは、沿海区域のうち、海岸から5海里以内の水域と平水区域を指しています。
今回、ジェットの航行区域に関して許可を出している日本小型船舶機構(JCI)に、どこで、どう乗ればいいのか聞いてみました。ロングツーリングの計画を立てる際の参考にしてください。
まず最初に頭に入れておかなければいけないのが、ジェットは「船舶」ということです。どこを走ればいいのは、「船舶安全法」で決められています。航行区域については、ジェットの船舶検査証書に書かれているので、一度、確認しておきましょう。
一般的には、船舶検査証書に次のように書かれています。
「沿海区域 ただし、安全に発着できる任意の地点から15海里以内の水域のうち当該地点における海岸から2海里以内の水域及び船舶安全法施行規則第1条第6項の水域内の陸岸から2海里以内の水域に限る」
航行していい区域については、特殊小型船舶免許を取得するときに、学科講習で習ったと思いますが、ここで再度おさらいします。
[1] 平水区域:航行区域は陸岸から2海里以内。平水区域内で陸岸から2海里以内なら、どこでも航行できます。
[2] 沿岸区域:安全に発着できる任意の地点から、連続最大速力で2時間以内に往復できる範囲(最大15海里)のうち当該地点における海岸から2海里以内。
[3] 母船搭載:母船を中心とした半径2海里以内。
もう少し噛みくだいていうと、平水区域で走っていいのは、陸から2海里(約3.7km以内)。
湾の外でも、陸から2海里以内なら走行可能。ただし、出発してから15海里(27.78km)以内に、ジェットが安全に出入りできるゲレンデに上陸すること。
母船とジェットをセットにして、JCIで登録すれば、陸岸から2海里離れて走ることも可能です。その際、母船を中心に半径2海里以内を走行すること。登録した母船以外の船に搭載する場合は、再度、登録し直す必要があります。
上記はあくまで日本の海域内の法律です。日本の海域から出てしまうと領海侵犯船になってしまいます。くれぐれも気を付けてください。
今回、ジェットの航行区域について説明してきましたが、各地域の条例で航行区域や禁止事項を定めている場合もあります。海岸や一部の川には、その水域にのみ通用するルール、「ローカルルール」が定められている場合もあります。
ローカルルールは、特定の水域を安全に使用するために、地元の人たちが作ったルールです。初めてジェットに乗る場所では、必ず事前にローカルルールを確認してから乗りましょう。その場所を守っている地元のプロジェットショップに相談すると一番確実で、最新の情報が手に入ります。
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