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カワサキ ジェットスキー2020年モデル「STX 160」(2/2)速報(水上バイク)

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開発に携わった金森 稔氏。

「STX-15F」のエンジンとアンダーハルを使いながら、全く新しいモデルへと作り変えられた「STX 160」

最も大きな変更点は「ライディングポジション」

WJS 新しい「STX 160」について教えてください。このニューモデルは「STX-15F」とエンジンとアンダーハルをそのまま使っていると聞いたことがあります。 失礼ですが、2020年の今、STX-15Fをモデルチェンジするというのは、僕らからしたら安く買えるからいいのかと思っていました?
金森 もちろん、プライスポイントも重要なところです。それに、もともとあのSTX-15Fのアンダーハルは、根強いファンがいますので、そこはそのままにして、上だけ意匠変更できないかということでできたのが「STX 160」です。

WJS 意匠変更というのは、見た目ということですか? アンダーハルが同じということは、STX-15Fと乗り味は変わらないのですが?
金森 ライディングポジションを変えることによって、ウェーブショックとか、水面の叩きは、「STX 160」のほうが楽になりました。

WJS 同じエンジンで、同じアンダーハルなのに、そんなに違うものなのですか?
金森 ライディングポジションで、乗り味は大きく変わります。

WJS レジャーユーザーの場合、低速で走ったときに「濡れる、濡れない」というのは重要ですが、その点も変わっているのですか?
金森 もちろん気にしました。ライダーのポジションも全体的に上にあげています。


もともと高いポテンシャルの本体を使って、より乗り心地が良く、快適性を上げたモデル

WJS STX-15Fが発売されたときもそうでしたが、レースが盛んなころは、「レースに勝つ艇が売れる」というイメージがありました。でも今は、レースで勝ってもマーケットで売れる艇でない気がします。
金森 好みや趣向も変わっているんで、それはそれに合わせましょうということです。

WJS レースとレジャーでは、船体はどう違うのですか?
金森 レース艇は尖っている。例えば、レース艇のようにハンドリングをメチャクチャクイックにしてしまい、「レジャーで乗ったときに3人で乗ったら乗りにくいですよ」とか、「気を遣うよ」っていうのはダメなんです。車でいえば、サーキットで速いスペックで、サスペンションもカチカチにしてあるものを、そのまま一般道で毎日乗ったら、ずっとガタガタいってて、カップホルダーのコーヒーもこぼれる。そんな硬いセッティングは売れないですよね。そんな感じです。

WJS STX-15Fは、レーシーなイメージで販売につながったと思っていたのですが、今は違うのですか?
金森 あの当時もそうですよ。レースはレース。プロダクションはプロダクションです。分けて考えているのだけれども、お互いにクロスオーバーさせている。ご存知のように、STX-15Fというジェットスキーは、レースで培われたスポーティなイメージが強いと思います。今回の「SXT 160」は、もともと高いポテンシャルのある本体を使って、より乗り心地良く、快適性を上げることに主眼を置いたセッティングを行いました。


もし「STX 160」でレースに出るなら、どちらかといえば耐久レース向き

WJS 新しい「STX 160」は、レース向きの艇なのですか?
金森 「STX 160」でレースに出るとしたら、どちらかといえば耐久レースですかね。ライディングポジションも思い切って上にあげて、快適なほうに振っています。低重心じゃなくて、人間が上にいるから、逆にコーナーはしんどいかもしれません。その分、直線は楽ですね。

WJS もともとポテンシャルがあるSTX-15Fの船体を使って、さらに快適性に振ってセッティングしましたよ、ということですか?
金森 前よりも快適です。

WJS 以前、雑誌の記事で「STX-15Fは、一番素直な船で、乗り手が上手くなるランナバウト」と書いたことがあります。高性能なのに値段も安価。船体を水平にすることを意識してコーナリングを行う重要性を教えてくれる、最もシンプルなランナバウトなのですが、この印象も変わるのですか?
金森 変わらないです。この「STX 160」を海で乗って、ラフウォーターでも真っ直ぐ走る。よく、ラフウォーターでバンバン跳ねて、水の食いつきもよくない船っていうのがありますが、結局、それって安定性も良くないし、不安なんですよね。「STX 160」にはそれがありません。

直線が長い耐久レースでは、いかにマシンを跳ねさせないで走るかが勝敗を決める。

求めたのは「水の食いつき」。いかに楽に、跳ねさせずに走るか

WJS 話は少し飛びますが、近年、大きな耐久レースの大会ではカワサキのULTRAが勝っています。ULTRAよりも最高速が速いマシンが出場しても、フランスのチームカワサキが勝つケースが多いように思います。「STX-15F」の船体からフィードバックされている技術もあるのですか?
金森 それは、カワサキのハルの特徴です。先ほど、「食いつき」という話をしましたが、特にULTRAは、ラフウォーターで跳ねにくい。安定性が良いということに繋がります。当然ですが、跳ねるとジェットは減速します。耐久レースは長丁場なので、いかに楽に、跳ねさせず走れるかが勝敗を決めます。「跳ねる」うんぬんは、かなり意識して開発しています。

WJS だから、エンジンから船体まで、非常にお金をかけたマシンで出場している選手たちと一緒に走っても、ノーマルのULTRA艇が負けないのですね。
金森 結局のところ、安定性が確保できていないと、どんなライダーでもスロットルをずっと開け続けることは難しいですからね。

WJS 最後に、今、金森さんが思う、一番理想的なランナバウトはどういうものですか?
金森 何でしょうね……。レジャーでも使えて、レースも使えて……。両方なんですよね。

2019年のワールドファイナルの耐久レース。スタートシーン。

耐久レースのスペシャリスト、フランスのパスタレロ選手。マシンはほとんどノーマルのULTRA310。

1998年のワールドファイナル。ランナバウト1200クラスにSTX船体で出場した金森稔氏。

2004年に登場したSTX-15Fに乗る金森氏。



※カワサキ STX 160に乗ってみた ニューモデル試乗インプレッションはコチラ


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