昔から街にあった「メガネ屋店」の“廃業・倒産”が激増しているなか、東京・吉祥寺(東京都武蔵野市)にある「 opteria-Glassias( オプテリア グラシアス、以下グラシアス ) 」という メガネ店(個人店)は、高い顧客満足度と圧倒的な支持を受けている。
オーナーの伊藤 次郎さんは、「眼鏡作製技能士 1級」の国家資格を持つ「メガネ」のプロフェッショナルだ。
伊藤さんは、こんな直接的な言い方をしないが、要約すると「メガネ屋の仕事とは、“お客様の満足するメガネを作ること”。
なのに、今のメガネ屋さんは、まともなメガネを作っていない」という。
「私が訴えるのは、メガネは医療器具であること。あなたを大切にするメガネを使えば、暮らしの質が上がるのです」。
みんなが良いメガネをかければ、使用者の快適性や疲労感が著しく軽減される。
日本人の仕事の生産性や快適性が格段に向上する。
しかし、自分の店だけがそういった信念で良いメガネを作っても、顧客数はたかが知れている。
日本全国のメガネ屋さんが“同じ志”を持ってくれれば、より多くの眼鏡使用者が救われると、伊藤さんは訴える。
伊藤さんの話す「良いメガネ」とは、「本人に 適合」した メガネだ。
“目”は、人それぞれに違う。
さらに同じ人でも、右目と 左目で それぞれ 大きく違うケースも多い。
だから、左右の目を徹底的に調べて把握しないと、「本人に 適合する」レンズは作れない。
『メガネという商材は半製品で、それらを私たちが“仕立て”て初めて製品化します。
仕立てる手間とは「視力測定/加工/フィッティング」に大別されます。
これらを経てメガネは“医療器具”としてのスペックを満たす道具になるのです』 言われてみれば、当たり前の話である。
メガネを作る場合、まず眼科医に行って検査を受け、作成してもらった処方箋をメガネ店に持って行ってメガネを作ってもらうという流れだ。
しかし伊藤さんは、「眼科医からの処方箋通り作ると、私の思ったような眼鏡には仕上がりませんが、それでもよろしいですか?」と聞く。
眼科医の処方箋は、患者の目の現状を記載してあるもので、メガネを作るための検査ではない。
あくまでも目安の「ひとつ」でしかないという。
この処方箋を使ってレンズを作成するということは、「日本中のどのメガネ店でも同じレンズ」しか出来上がらない。
それ自体は決して悪いことではないだろうし、薄利多売な大手のメガネチェーン店の要求にもピッタリ合う。
しかし、「街のメガネ屋さん」が生き残るには、「お客さん本人に 適合した良いメガネ」を作らなければ生き残れない。
それが「本来のメガネ屋さんの仕事です」と伊藤さん。
かくいう私も、伊藤さんのお店「グラシアス」でメガネを購入したひとりだ。
最初にグラシアスに行き、「 メガネを 作ってください 」と、眼科医からもらった 処方箋を渡したとき、伊藤さんは言った。
「 眼科医からの処方箋を見ると、僕にはそれを “忠実に再現する義務” が生じます。あなたは、処方箋通りに作ることをお望みですか? もしそうではないのであれば、私に任せて頂けませんか? 」。
それから1時間以上もかけて、徹底的に 私の“目”を 調べてくれた。
1人の客にこれほど時間をかけて採算がとれるのかと、逆に心配になるほど入念に調べる。
「 あなたの 目の“現状”が 分からないと、あなたに“合う” レンズが 作れない 」と伊藤さんは真剣な表情で言う。
前述したが、人間の“目”は、右目と 左目で 大きな違いがある。
本人も全く自覚がないし、処方箋にも書かれていなかったが、伊藤さんの検査で、私の片方の目に少し斜視があることが分かった。
眼科で単に「 近視 」と 診断された人でも、詳しく調べて行くと「 乱視 」や「 斜視 」の 症状が 含まれているケースは多いそうだ。
あまりに詳しく調べるので、つい尋ねてしまった。
「 伊藤さんの検査で分かることが“10”とするなら、眼科で 行っている検査では どれくらいのことが分かるのですか? 」と。
伊藤さんの答えは、「 3です 」だった。それもショックだった。
たった「 3 」の検査内容で作ったメガネを、今まで自分は掛けていたのか。
眼科で行う検査は、「 メガネを作るための検査 」ではなく、あくまでも“目”の検査である。
その数値は、“目安”にしかならない。
私が一番感動したのは、「 目的に合わせた距離 」で レンズを作ってくれることだ。
私の場合、「 パソコンを使う 」ときに、快適になりたかった。
仕事がら、日がな一日パソコン画面に向かうことも少なくない。
しかし、長時間画面に向かっていると、夕方になると目の奥が痛くなり、頭痛までしてくることもしばしばだ。
そうなると、作業効率が格段に下がる。
それを伊藤さんに相談したところ、いつも パソコンに向かうときの「 顔の位置と 画面までの距離 」を知りたいという。
それをきちんと測って、それに合わせたレンズを作るのだ。
私の目を調べ、「その目で何センチ“先”の 距離 のものを見る」かを考えて作られたレンズが最高なのだという。
もし、それ以外の 距離のものが 見たかったら、それに合わせたレンズが “別”で 必要になるのだが、「1本のメガネ」で全ての焦点距離を賄えるものではない。
メガネは、単に「 見えれば良い 」という わけではない。
余談だが本誌スタッフのなかに、左目が弱視で、メガネをかけても十分な視力が出ないため、大手メガネチェーン店で、左には「素通し(度なし)のレンズ」を入れて、右目だけ“度の入った”メガネを作ったという者がいる。
結構な金額をかけて作ったのに、「メガネを掛けると疲れるし、余計に見にくい」と、全く掛けていないという。
しかし伊藤さんは、「全く見えていないのなら別だが、そうでないのなら改善する」と、入念な検査を行った。
グラシアスの検査は「両目で物を見ること(“両眼視機能”と伊藤さんは言う)」による効果を追求し、より良い視生活の提供を目的としている。
だから、左目にも“度”が入ったレンズにし、両目でキチンと見えるメガネを作ってくれたそうだ。
そのメガネをかけると「楽に文字が視えるようになった」と言っていたから、「本人に 適合した メガネ」に なればなるほど、仕事の生産性は 格段に上がるのも理解できる。
また、伊藤さんは格闘技のK-1の「ビジョントレーナー」としても活動している。
ビジョントレーニングとは、『目の見るチカラ「視覚機能」』を高めるためのトレーニングのことである。
このビジョントレーニングと「相性の良い競技」には、格闘技をはじめ、球技やモータースポーツ、eSPORTSなども含まれる。
本誌は水上バイクの専門誌であるが、モータースポーツである「水上バイク」のレースでは、10数台の水上バイクが一斉に走る。
このため、刻々と水面の状況が変化する。
その変化を一瞬で見極められる“スキル”が、レーサーには求められる。
人は情報の約80%を目から得ている。
それだけに、“視える”だけで、選手にとってもものすごいアドバンテージとなるのだ。
今、日本全国にメガネ店は約1万2000店舗ある。
そのうち大多数を占めるのが、「眼鏡市場」、「ALOOK」をチェーン展開するメガネトップや、「JINS」でおなじみのジンズホールディングスなどの大手チェーン店で、そういったチェーンではない独立したメガネ専門店が約2割だという。
残り2割の「昔からある街のメガネ店」の経営が、青色吐息だという。
かつて、メガネはレンズとフレーム合わせて数万円するのが当たり前だった。
しかし、巨大な資本を持つ大型チェーン店の登場によって、いまや数千円から買うことができるようになった。
商品を5000円・8000円・12000円といった“3プライス”に分けるチェーン店も多く、格安メガネにバリエーションがついている。
メガネ本来の目的である『「本人に適合」した「良いメガネ」を作る』という意味においては、お客様一人一人に丁寧な対応ができる街のメガネ店の方が、本来は有利なはずだ。
しかし、大手メーカーの金額と比べると、個人店では採算が取れないし、とても太刀打ちできないのも、日本のメガネ業界の現状だ。
「大きく分けると眼鏡の機能は、フレーム、レンズ、検査、加工、フィッティングに大別されます。
その1つでも欠けると眼鏡は機能しないんですよ」と伊藤さん。
丁寧な検査を受け、自分に合わせてもらったメガネの快適さを一度知ってしまうと、もうそれなしの生活には戻れない。
メガネ業界の健全な競争とは、価格やファッション性だけではなく、「よりお客様一人一人が快適に見えるメガネを作れるか」という部分であって欲しい。
今回、私はグラシアスで作った「自分に合ったメガネ」のおかげで、作業効率が上がったことを実感している。
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