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もともとおかしい「ガソリン価格」。“かたくな”に続ける石油元売り会社への「補助金」は、10月以降も続く見通し。それでも下がらないガソリン価格に疑問を感じる

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「トリガー条項」が発動されるべきでは!?

下がらないガソリン価格に、家計も悲鳴を上げている。 直近の4週間は連続でガソリン価格が下がっているとはいえ、まだ170円を切るところまでいかない。

ガソリン代の高騰について意見として挙がっているのが「トリガー条項の発動」である。トリガー条項を簡単に言えば、「ガソリンにかかっている高い税金の一部を免除する」ことが、旧民主党政権下の2010年4月に成立している。

「レギュラーガソリン1リットルあたりの価格が3カ月連続して160円を超えた場合、翌月からガソリン税の上乗せ分(旧暫定税率)25.1円の課税を停止し、その分だけ価格を下げる」ことが決められたが、翌年3月に東日本大震災が起こったため、復興財源を確保するという名目で、現在も運用が凍結されたままとなっている。

トリガー条項の復活について萩生田光一経済産業相は「トリガー条項が発動された場合、ガソリンの買い控えやその反動による流通の混乱や、国、地方の財政への多大な影響の問題がありますから、凍結解除は適当でないと考えております」と、反対の意向を示している。

もともとおかしいガソリンの価格

ガソリン価格の中には「ガソリン税(本則税率)28.7円」と「当分の間税率(旧暫定税率)25.1円」の2つの税金が課せられている。
仮にガソリン1リットル170円の場合、金額の内訳は、ガソリン自体の価格は98円。
ほかはガソリン税(本則税率)28.7円、ガソリン税(暫定税率)25.1円、石油税2.8円、消費税15.4円となる。4割近くを税金が占める計算だ。

「ガソリン税など」を含んだ総額に10%の消費税を課す『二重課税』方式もおかしい

以前から、ガソリン税に対する「二重課税」の問題は指摘され続けている。ガソリンに課される消費税は、「ガソリン本体に加えて、ガソリン税や石油税の合計」から算出されるため、税に税を課している「Tax on Tax」状態なのだ。
せめて、消費税は除外すべきだという意見は以前から根強い。

法律で定めているのに「トリガー条項」は発動しない。最近、不祥事が発覚している「石油元売り会社」に青天井の補助金支給の不思議

経済産業省は、「1リットルに対し上限35円」の補助金を石油元売り会社に支給しているうえに、「さらなる超過分についても1/2支給」と、補助金の追加も行っている。資源エネルギー庁によると、7月27日時点のレギュラーガソリン「1リットルの平均価格は170.4円」。「1リットル当たり35.9円」もの補助金が石油元売会社に支給されている。

「本来なら、『1リットル当たり206.3円』のところを、補助金を支給している“おかげ”で『170.4円』で買えるんですよ」ということだ。

トリガー条項を発動した場合、税収減は1年間で計1兆5700億円の試算。しかし、補助金を支給しつづければ総額は1兆6000億円を超える。税金の無駄遣いでは!?

財政負担も青天井だ。今年1月27日の補助金の開始当初は1リットルあたり5円を支給とし、昨年度補正予算に原資として800億円を盛り込んだ。それが3月10日から25円に引き上げ、昨年度予備費から3600億円超を充てることになった。

さらに、4月25日の週からは発動基準を「172円以上」から「168円以上」に下げ、上限を35円に拡充。さらなる超過分についても1/2を支援することになった。
期間も当初4月末だったものを9月末までに延長し、予算額は6~9月までで1兆1655億円に上る。財源は赤字国債。総額1兆6000億円を超え、当初予算の20倍に膨張している。

財務省の試算によると、ガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結を解除し、発動した場合、国と地方の税収減は1年間で計1兆5700億円になるという。
しかし、すでに補助金への財政負担はトリガー発動の税収減分を上回っている。我々の税金の使い道として、これが本当に正しいのだろうか?

2008年には、石油元売り会社から自由民主党に8000万円の政治献金という報道も

2008年に石油元売り会社でつくる石油連盟から、自由民主党の政治資金団体に8000万円の政治献金が行われたと一部で報道されていた。また、令和の今でも経済産業省OBの天下り先が石油関連の協同組合と言われている。

経済産業省からすれば、補助金を石油元売会社に出せば強い繋がりが出来る。悪い言い方をすれば、減税してガソリン価格が下がれば国民は喜ぶが、それ以外のメリットはない。政治家も補助金で業界に恩を売れば、選挙でも有利な支持を得られる。政官業の癒着や忖度の構図に他ならない。

9月末が期限の補助金は、「10月以降も延長する」方向で動いている

現在、ガソリンの補助金は9月末までとされているが、「10月以降も延長する方向」で調整することになった。「原油高が落ち着かない状況で補助が終了すれば小売価格が跳ね上がったり、駆け込み需要で市場が混乱したりして生活を直撃する懸念があるため」というのがその理由だ。

本来ならトリガー条項を発動して減税を行い、ガソリン価格を下げるべきところを、あえて石油元売り会社に補助金を支給する方法を選択するのも、癒着に繋がる行為になると考える。
力を持つ政治家と企業の不必要な繋がりは、悪の結果になりやすいと歴史が証明している。

国民のためになる政策とは?

このガソリンの補助金問題に対しての、私のシンプルな疑問は2点。「なぜ、減税ではなく補助金支給なのか?」ということと、「補助金の支給先が、価格を決めるガソリンスタンド(小売店)ではなく、石油元売り会社なのか?」である。
最終的にガソリン価格を決めるガソリン小売店に支給すれば、いくら補助金が支払われて、いくら価格が下がったのか明確だと思う。

ここ数年で、「石油元売り会社の虚偽」がいくつも明らかとなり、国民の不信をかっている。
有識者からも、「石油元売り会社に、青天井で補助金を支給する方法」に疑問の声が上がっている。「補助金よりも、ガソリンの減税のほうが効果ははるかに大きい」という見方が強まっているのだ。

すでに補助金への財政負担はトリガー発動の税収減分を上回っているのなら、分かりやすく減税してくれた方が、よっぽど国民も「恩恵」を実感するに違いない。「即効性」と「透明性」のある、国民が納得できる対策を期待している。
いずれにせよ、癒着や不正が行われやすいシステムは変更して欲しい。

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