クルマはランニングコストの高い乗り物にされている。8月1日現在、ガソリン平均が1リットル169.9円になった。それだけでも家計を圧迫している。
日本では、新車購入時の初回だけ3年後、以降は2年ごとに「車検」を受けることが法律で決まっている。
「車検」という制度があるおかげで、日本を走るすべてのクルマが定期的に整備を行い、安全な状態を保てるようになる。
「整備不良のクルマを走らせない」未然に事故を防げるという意味からも「車検」は必要な制度だと思う。
クルマは、一歩間違えれば大事故となり他人を死に追いやってしまう可能性がある。ブレーキの効きの甘さやタイヤのすり減り、エンジンの不具合などのわずかな整備不良でも大惨事になる危険性をはらんでいる。
しかし「車検」に数万円~数十万円もかかるのは、さすがに高すぎる。世界的にみても、これほど「車検」が高額な国は他にはない。
海外と比べて日本の車検は高いが、本来の“クルマの安全を確認”する費用、「検査手数料」は“高くない”のだ。国土交通省の発表(抜粋)によると、検査手数料は以下のようになっている。
■日本:合計3,000円前後
■ドイツ:約10800円
■イギリス:最高で約9800円
■フランス:約7800円
■スペイン:約5200円
■スウェーデン:負担なし
■アメリカ:州によって異なるが、ニューヨークで約2000円(安全検査と排ガス検査)、カリフォルニアで5000円前後(排ガス検査)
■韓国:約1700円
日本の車検が高いのは、車検の際に“車検以外の費用”、「自動車重量税」を支払い、「自賠責保険」を更新する義務があるからだ。
他の部分はともかく、値引きを絶対に受け付けてもらえないのが「法定費用」だ。「自賠責保険」「自動車重量税」「印紙代」の3つがある。
自賠責保険は、普通自動車は2年間で20010円。軽自動車は2年間で19730円。
自動車重量税は、自分の車種の車体重量によって異なる。
自動車重量税と自賠責保険だけで、自家用車なら最低でも5~6万円はかかる。新車から13年経過したクルマは、さらに値段が上がる。これを2年に1度、受けなければならない。
不思議なのは、他の自動車税と違って自動車重量税だけは「車検時」に支払うことになっていることだ。
推測になるが、自動車税や軽自動車税は地方税だが、自動車重量税は「国税」である。車検は定期的に受けなければならないので、車検時にひとまとめにすれば、取りっぱぐれないということなのだろう。
自賠責保険は万が一のときに必要だと思うが、「自動車重量税」に関しては、すでに「道路のために使っていない」うえに、何十年前に決まった「上乗せされた税金」を払わされ続けている。
「車検」の名を借りた「税金徴収」システムにしか見えない。
技術が日進月歩進化し、世界ナンバーワンの信頼性を持つといわれている日本車だが、車検に関する法だけが“60年前の基準”を引きずっている。
車検は1930年(昭和5年)にタクシーやバスなど、人を乗せる目的で使用するクルマについて、安全性確保を目的に制度化された。一般車両に対する車検制度は1951年(昭和26年)に適用された。
当時は今より技術的に未成熟な自動車が走行しており、車道で故障を起こすことも少なくなかった。確かに昔のクルマは壊れやすかったが、今のクルマはそうそう不具合を起こさない。
平成18年中に全国で発生した交通事故(物損事故を除く)の件数は「83万2454件」。そのうち、整備不良が要因の事故件数は「1517件」というデータもある。
車検は安全のために絶対に必要だと思うが、クルマが進歩している分、受検期間をもっと延ばすことはできないのだろうか。
車検時にお金がもらえる人たち、例えばパーツを降ろす大手自動車メーカー、整備業界、政治家、みんな一緒に車検の期間を延ばすことを反対している。
車検は、車検専門店や民間の車検工場、ディーラーやカーショップ用品店、ガソリンスタンドなど、さまざまな場所で受けられる。業者に依頼しない場合は、自分で陸運局(軽自動車は軽自動車協会)に持ち込めば検査をしてもらえる。
車検が延長できない理由のひとつに、「自動車整備業界の保護」がある。
車検期間が延長されれば、自動車整備業界の「整備収入や補修部品収入が激減すること」だといわれている。
日本自動車整備振興会連合会によると、2020年の総整備売上高は5兆5510億円。このうち、自家用乗用車が対象となる「2年車検整備」が1兆6487億円、「1年車検整備」が6384億円という。車検を2年から4年に延ばしたら、単純計算で売り上げが半分になってしまう。
いずれにせよ、今の時代に「おかしい」と思われる制度はドンドン改善されるべきだと思う。
理不尽な制度を「改善することに取り組む人」「変化を止めようとする人」を見極めるべき時代に突入した気がしている。
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