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『コロナ渦であっても、「来週レース」って言われたら、戦える準備はできています』 砂盃 肇プロが語るレースへの想い トップレーサーの熱い冬! ジェットスキー(水上バイク) 

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コロナ禍のなか、世界と戦うトップライダーたちの現在

プロランナバウトクラス、国内絶対王者・砂盃 肇の冬

大寒波に襲われた12月20日。茨木県の霞ヶ浦では、来年3月にタイで行われる「ジェットスキーワールドカップ」に向けて、コンストラクター・今﨑真幸氏を始め、ライダーの砂盃 肇プロなどチーム員が集まり、マシンのセッティングが行われた。

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チームマリンメカニックでは、ここでセットアップの最終調整をし、年明け早々にはタイに向けてマシンを送るそうだ。
今回、2018年の世界チャンピオンでライダーである砂盃プロに、現在の様子を聞くことにした。

プロライダーとして高い意識を持つ砂盃プロ。

世界タイトル奪還に向けて、今、何を行っているのか

週に1度、徹底的にフィジカルを追い込むトレーニングをしています

WJS もともとジェットスキーワールドカップは今年(2020年)12月に開催される予定でした。それが今回のコロナでの影響で、来年3月に延期になっていますが、モチベーションを保つのは大変ではないですか?
砂盃 今回のタイでのレースは、正式に参戦するかどうか、まだ決まっていません。しかし、よく言うんですけど、「来週、レースね」って言われても、いつでもレースできるように、体は常に仕上げています。

WJS 今年の国内シーズン中、「マシンもいいし、自分もいい。だから今すぐにでも海外でレースをやりたい」と仰っていましたよね?
砂盃 マシンもライダーも万全だと感じていました、だからこそ、このままの状態で世界のトップと戦いたい。いい線まで行ってると感じているからこそ、確認したい。「勝つ、勝てる」ではなく、「この感覚が正しいのか?」を知りたいんです。だから、やれるならすぐにでもレースをやりたかった。

WJS それは、手応えがあるからこそですね。もし海外のライダーが去年と変わらないのなら、勝てるはずだと思うわけですよね?
砂盃 そうですね。自信はあります。マシンのパワーも上がっているし、足まわりもよくなっているので。それと、海外勢がどこまでスキルアップしているかも見てみたいですね。

WJS 2018年に世界タイトルを獲得したときの「GAKO(ガーコ)1」よりも、今のマシンの戦闘力はかなり上がっているのですか?
砂盃 安定感が増している船体なのに、よく曲がる。だから、スラロームや平水っていう条件なら、同じような感じかもしれない。でも、レースってなったら、そんなベタな水面はないですから、トータルで考えても新しいガーコは速いですよ。

WJS 砂盃プロ自身も、マシンと一緒に進化していると感じますか?
砂盃 自分は同じくらいですかね、去年と。フィジカル部分では、スキルアップはできてます。

WJS ここまでライディングが上手くなったら、劇的な進化はないような気がしますが?
砂盃 それでも、頑張って進化しようとはしています。
弱い部分を徹底していじめ抜いて、強化しています。ただ、嫌なことばかり無理して続けると、燃え尽き症候群じゃないですけどモチベーションを落として、全てが嫌になってしまうので、それは避けるようにしています。

WJS トレーニングが嫌になることもあったのですね?
砂盃 昔、気合入れてワールドファイナルに勝ちに行ったとき、フィジカル的にも、自分を徹底的に追い込んだことがありましたが、かえって良くなかったことがあります。
自分の本質の部分、「レースが大好き」っていうのがなくなってしまった。好きだから頑張れるのに、好きじゃなかったら「もういいや」ってなるじゃないですか。だから、本当に嫌になる手前で止めるようにしています。

WJS ここまでならOKで、それ以上はダメということが分かるのが経験ですね。
砂盃 マシンのパワーアップに伴って、それを乗りこなすために必要な筋肉や、強化すべき体のパーツが見えてきます。実は、僕は、地味なフィジカルトレーニングがあんまり好きじゃない。練習でも、ジェットに乗るほうが好きなんです。
でも、勝つためにはフィジカルトレーニングが必要です。だから、週に1度って決めて、ジムに行って徹底的に肉体を追い込みます。週に1度、そのトレーニングをすると「ああ、これで今週も1週間が終わった~」って。本当にしんどいんで、だから週に1度なんです。

WJS 話を聞くだけでも、ハードそうですね。
砂盃 週に1回だけど、メニューを思い出すだけでも、ため息がでますよ。でも、身体を追い込んで週末にジェットに乗ると、楽なんです。以前なら耐えられなかった部分の筋肉が強化されている。病気や体調不良でジムに行けなかった週末は、全然、乗れません。

WJS 失礼ですが、レース歴も長く、年々、年齢は上がります。それでも進化しているのは地味なトレーニングを続けているからですね。
砂盃 努力を続けていれば、年齢の面での衰えは感じないです。練習やレースとか、ガーコに乗ったときのイメージとかも、落ちてる感じはないです。逆に、地味なフィジカルトレーニングのおかげで、持久力は上がっている感じですね。

頭のなかでは、常に海外のライバルの走りをイメージしているという。

マシンも仕上がり、人間もそこそこ乗れたら「負けない」

WJS 国内のランナバウトクラスでは絶対王者として君臨していますが、日本で意識しているライダーはいますか?
砂盃 ランナでは、あんまりですかね。

WJS 海外はどうですか?
砂盃 ボッティ(2019年のランナバウトクラス世界チャンピオン、ジャン・バチスト・ボッティ選手)かなぁ。

WJS 何年か前までは、ジェームス・ブッシェル選手を目標にしていた時期もありましたよね?
砂盃 ブッシェルにやられたときは、目標にしてきましたけどね。彼を目標にして、それを抜いて、「ああ、これぐらいまで抜けるようになったんだ」って。自分もマシンもレベルが上がったのかなって思って。
あとは、去年GPランナバウトのチャンピオンを獲ったデンマークのマーカス・ヨルゲンセンとかね。彼もタフですからね。すごいですよ。

WJS マーカス選手は、そんなに速いのですか?
砂盃 速いです。

WJS 他には誰かいますか?
砂盃 アクアバイクのチャンピオン? ボッティの弟子っていうライダーも速い。中国のレースのとき、追っかけられましたからね。俺がホールショットで逃げ切ったんですけど、「よく、俺のこのペースについてくるな」って。しかも、あっちはスーパーチャージャーで。俺もエコ運転だったんだけど、「よく付いてくるな」って思ってたら、何年もチャンピオンを取っていたライダーだっていう。「あいつ上手いな。イケメンだし。格好いいなコイツ」って思ってた。

WJS 普段の練習でも、世界のトップライダーの走りと比べることはあるのですか?
砂盃 イメージですよね。「ボッティなら、これくらいのペースで、こういうふうに走っているな」とか、「ラップを落とさずにこうやっているんだろうな」っていうのをイメージして走っています。

WJS 頭の中にボッティやマーカスを置いて、自分を鍛えるわけですね?
砂盃 そうですね。負けないように。負かせるようにって。

WJS 一度、世界タイトルを獲っていますし、次も勝ちたいですね。
砂盃 そうですね。マシンも克服できて、加速力もスタートもよくなって。操安も良くなって。あと、人間もそこそこ乗れてっていったら、負けないかなとは思っているんですけどね。

WJS レースが楽しみですね?
砂盃 そうですね。だからやりたいです。自信あります。

5年後、10年後のレースが楽しみだと、砂盃プロは語る。

5年後のランナバウトはどのように進化しているのか

WJS 現時点で、ランナバウトのマシンはかなり進化していると思うのですが、これから先、どこまで進化していくのですか?
砂盃 これ以上、どこに進むんだろうな。今﨑さんと話をするんですけど、「どうなるんだろうな」って。1年後の差はあまり見えなくても、「5年先のランナバウトのレース、10年先のランナバウトのレースってどうなるんですかね?」って考えると、変化がないわけはない。馬力ってどこまでいくんだろう、操安ってどうなっていっちゃうんだろうなって。今のラップから、何秒くらい速く走れるようになるんだろうって。
結構、今、いいところにきているんだと思うけど、これ以上、どうなるんだろうなっていうのは、ちょっと思っています。今この場所を見ているんじゃなくて、常に先を見ていますよね。

WJS なかなかイメージできませんよね、これ以上の進化っていうのは。
砂盃 でも、イメージするようにしてます。もっと操安が良くなって、もっとコーナー速度が速くなって。もっと簡単に、(アクセルを)握ったままダーッと走れるようになるんだろうな。

WJS そうすると、マシンと人間、両方とも進化しないといけなくなりますね。
砂盃 そうですよね。5年後のランナバウトは、もっと船がデカくなって、軽くなって馬力上がって、加速がめっちゃくちゃ速くなって……とかね。人間の耐えられるGなんて決まってます。それを、どう乗りこなしていくか、どうやったら速く走れるかとか考えるとね。

WJS ますます楽しみですね。
砂盃 いろいろ試したいですね。

WJS 砂盃プロはジェット歴も長いですが、ずっと変わらず楽しいですか?
砂盃 ずっとずっと楽しくやってます。嫌いって思えずに来ていますよね。まだまだ、来年も再来年もレースがありますから。


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