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冬の達人! 2021年、真冬の銚子は熱かった Winter Master (水上バイク)ジェットスキー

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みんな凄く頑張ってる、冬の達人たち。

一年中、冬も変わらず毎週練習するジェット乗りたち

目的は、皆同じ「上手くなりたい!!」

1月最後の日曜日、銚子のゲレンデで行われているレーサーたちの練習に参加させていただいた。朝8時半に集合。少し早めに来たはずなのに、ビーチに到着すると、もうすでに準備を始まっていた。

この練習の中心的存在は、2013年のJJSF ウィメンスキークラスで全戦優勝して年間チャンピオンに輝いた小林 愛選手である。小林選手は、現在はレースに参戦していないが、水上バイク(以下、ジェット)には毎週乗っているという。
「若い選手に、自分の知ってることを教えてあげたい。私も、先輩たちにしてもらってきたことを、若い選手にしてあげられれば、それが恩返しなのかなと思います」と言う。その真摯な姿勢に共感し、多くのライダーが、ここに集まって来ているのだ。

典型的な関東の冬。気温は低いが、最高にいい天気。気分が上がるぜい!!

写真左上が、この日のコース図。左下写真が、コースの説明をする小林 愛選手(写真右端)。皆、真剣にコース図を見て覚えている。


何時間もかけて、銚子の海に来る理由

早速、ドライスーツに着替え、皆に挨拶をしに行く。2020年はコロナの影響で、中止になったレースも多く、久しぶりに会う選手も多い。話が弾む。会話が楽しい!

夢中で話し込んでいると、小林選手から「とりあえず、1度乗りましょう。15分+1周を走ってから、ゆっくりと話をしましょう」と言われる。
私は、素晴らしいと思った。皆、ここに練習に来ているのである。ビシッと締めてくれる先輩がいてくれないと、いつまでもダラダラしてしまい練習にならない。

私の耳元で、佐々木宏樹選手が「愛ちゃんは厳しいっすよ! ここじゃ “小林監督” って呼ばれてるんです!」と、そっと耳打ちしてくれる。それを聞いて「その厳しさが欲しくて、わざわざ湘南から2時間半もかけて通ってるくせに!」と、心の中でつぶやいていた。

ブイは手分けして、全員で設置する。

コース図に、自分が担当するブイに名前が書かれている。これを見て、所定の場所に置いていくのだ。

レース本番のようなスタートシーン。ここから15分+1周が始まる。


「15分+1周」の洗礼

ここでの練習は「短期集中型」。1日の練習の中で、レースと同じく「15分+1周」を、午前2本、午後2本の計4本走る。

ブイの設置が終わると、1本目のスタートだ。
スターターの合図で、一斉にスタート。まるで、本当のレースのようだ。レイアウトも、レースコースと同じくインとアウトに分かれた選択コースもある。

スタートすると、水面は結構荒れていた。初参加の私は、周回する以前に「転ばずに走ること」に全神経を使った。15分が、どれくらいの体感時間か分からないだけにビビッていた。
勝手が分からないのでコースに入らず、大回りの外周を走る。転ばずに走れる速度なので、それほど疲れない。

「最初は様子を見ることにした」と言ったら、余裕があってカッコ良く聞こえるが、実際は、自分の体力が持つのか心配なので、様子見にまわっただけだ。コースの外側を普通に走るのだけで必死だった。でも、楽しかった。ルンルン……と走っていたら、あっという間に15分が過ぎていた。

これでも、「この日の水面は穏やかだ」といわれた。十分、荒れている……。

本番さながらのバトル。

それぞれが15分間を走り切る。

1本目の練習が終わり、一度、ジェットを陸に上げる。真剣に走るから、体はクタクタだ。


娘のために、父は休日を返上!

ウィメンクラス新進気鋭のレーサー湯島 楓選手。彼女の父親は、プロランナバウトクラスに参戦している湯島浩一選手だ。楓選手は、普段は川で練習しているそうだが、銚子の海での娘の走りを見た浩一選手は「全然乗れてない。川ではもっと乗れてると思ったのに。来週から、毎週ここで練習させます」と、少し憤慨していた。

現在、23歳の楓選手は、ちょうど1年前にジェットを始めたという。父親がレースをやっていて、お嬢さんも「ジェットをやりたい」と言ってくれたら、可愛くて仕方がないのは当たり前だ。
しかし、湯島家は結構、厳しい。「トレーラーぐらい、自分で引っ張って練習に行かなければダメだ。やるからにはトップを目指さないと!」と、スパルタ全開である。
可愛い娘に、厳しくて甘い。父親心は複雑である。

湯島 楓選手(写真右上)と、父・浩一選手(左下)。練習中、プロライダーであるお父さんの目は厳しい。


本日の2本目。「こんなはずじゃなかった」感がものすごい

ようやく、何となく海に慣れてきたので、コースを走らせてもらうことにした。
普段、相模川で走っているときは、直線で少しだけアクセルを開け、ちょっとの間、アクセルを全開にし、レーサー気分を味わっている。

しかし、荒れたこの海ではアクセル全開は無理だ。それについては、自分なりのいいわけというか、弁解がある。
そろそろ慣れたので「行ったれ!!」と思ってアクセル握ったら、波のジャンプ台に乗っかってしまい、かなり飛んだ(!?)気がした……。思いがけず飛んでしまった代償は大きい。体力という名の電池がすぐになくなる。
「俺、ヘボい、くそ!」と思ったころに、15分間が終わった。

写真手前:山本陽平選手、奥:塩田智晴選手。プロライダー同士のバトル。

サイドバイサイドの激しい争い。練習だからこそ手を抜かない走り。

今、話題のマシンKOMMANDER。写真:左、日高瑞夫選手 写真:右、伊東憲太郎選手。


自分が「動くブイ」になった3本目

3本目ともなると、転ばずにコースを走れるようになってきた。他のライダーも練習に熱が入ってきて、かなり激しくバトルしている。邪魔にならないように、と心がけるが、同一コースにいる以上、関わらないわけには行かない。

一度、激しく競い合う2台のジェットに両側から抜かれた。余りのスピードの違いに笑ってしまったのと、抜かれたときの迫力で、関係ないのに転んでいた。
良い体験ができた。みんな一生懸命練習しているのだ! と改めて感じた。

写真手前:日高瑞夫選手、奥:佐々木宏樹選手。こちらも激しいバトル。

ぶつかりそうに見えるが、絶対にぶつからない。

写真:左上より、伊豆真仁選手、児玉智裕選手、山本陽平選手、田中邦彦氏。 写真:左下より、塩田智晴選手、佐々木宏樹選手。 女性3人、写真:左より、田中エミ選手、小林愛選手、湯島楓選手。 


「親の背中を見て子供は育つ」は本当だ

こちらも、親子でレースに参戦している釘崎ファミリーだ。父はプロランナバウトクラスのライダー、釘崎真治選手。息子の勇真選手は現在19歳だ。
勇真選手に「どんな選手になりたいですか?」と尋ねたら「お父さんみたいなレーサー!」と即答だった。隣で聞いていた真治選手のとろけそうな笑顔を見て、本当に息子を愛しているのが伝わった。

今のジェットは高額で、19歳の若者では簡単に買えない。親の理解と協力がなければ無理だ。自分のレースを見て、憧れてくれた息子に惜しみない援助をするのは理解できる。勇真選手は非常に好青年だが「トンビが白鳥を生んだ」と真治選手に言われたときは返す言葉がなかった……。でも、自分の息子でなくても「お父さんみたいになりたい」と答える青年に悪い気はしない。お父さん冥利に尽きる。

釘崎親子。19歳の勇真選手は、将来が楽しみなライダーだ。


「もうちょっと頑張ろうよ、俺」の4本目

最後だから思いっきり頑張ろうと考えていたが、体力うんぬん以前に、この波の中でハイスピードで走る技術が私にはない。完全燃焼以前の問題だ。

4本も走っているのだから、少しは上手くなっているだろうと虫の良いことを考えていたが、キチンと足腰はヘタって踏ん張りもきかない。「もう少し攻めた走りができないのか?」と自分に問いてみたら、「分不相応。急に言われても、すぐに上手くはなりまへん」と返されてしまった。

ここにいる人たちは、雨の日でも雪が降っても、毎週、ちゃんと練習を積み重ねてきている。ましてや、全日本チャンピオンが2人もいる。「アホ! お前、無理をぬかすな!」みたいな会話を、自分自身で楽しんでいる間に、15分が過ぎてしまった。

終わったときの感想は、「本当に、皆、すごく上手い!」である。こんなレーサーたちと一緒に走ることができて、今日はとても幸せだった。

小林選手は「レジャーユーザーの方でも、誰でも、一緒に走るのはOKです」と言ってくれた。
しかし、「上手くなりたい」という向上心があり、礼儀をわきまえた人でないと無理だと思った。ここは、「上手くなろう」という気持ちで、一生懸命の人の集まりである。同じ情熱を持って、何かしら貢献できる仲間が増えることを望みながら帰途に着いたのである。

4本走り終え、この日の練習プログラムは全て終了。

ものすごく手際よく、後片付けが進んでいく。皆さん、かなりお疲れの様子。

湯島楓選手と田中エミ選手は陸上でも競争?あれだけ乗っても平気なの?

近隣に迷惑をかけないように、自作の消音装置で環境を守る。このゲレンデは、良識あるステキな大人の集まりだ。

太陽が沈み始めるころ、ジェットを水洗い。海は塩が強いので、ソルトアウェイは必須だ。最後の最後まで、みんな笑顔、「冬の達人」たちでした。

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