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SPARKのみが出場できるレースで、1番になったレーサーの物語 その1

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2018年「SPARKクラス」シリーズチャンピオン・大岡嗣典選手。

「SPARKクラス」とは?

JJSF全日本選手権シリーズのレースカテゴリー「SPARKクラス」、2018年のシリーズチャンピオン・大岡嗣典選手の特集です。「SPARKクラス」は、メーカー(BRP)が主催するレースで、改造範囲が狭く、マシンの差があまり出ないカテゴリーです。

レースに全く興味がないとおっしゃる方でも、誰にでも共感できる内容となっています。少々マニアックな内容ですが、ぜひご一読を。

Rider/大岡嗣典(おおおか・つぐのり)
2007年~2011年まで、Runabout 800クラスで5連覇を達成。このクラスで、通算6度の優勝を手にしている。2017年のシリーズ途中から、SPARKクラスに転向。2018年、同クラスのタイトルを獲得した。1965年11月生まれ、53歳。RACING FACTORY UNION所属。

自称「ごく普通の、貧乏暇なしサラリーマン」

この特集の主役・大岡嗣典選手は、自称「ごく普通の、貧乏暇なしサラリーマン」です。実際は、日本人なら誰でも知っている、有名企業のエリートサラリーマンなのです。彼は、ごく普通の社会人で、自費でレースに参戦し、日本チャンピオンになれることを証明してくれた、稀有なライダーです。

大岡選手のレースキャリアは長く、20年近いレース歴を持ちます。さらに、「ランナバウト800クラス」では、2007年~2011年まで5年連続、計6回のタイトルを獲得。このクラス最強のチャンピオンでした。普通のサラリーマンとは思えないほどの経歴の持ち主なのです。

余談ですが、彼が2018年に獲得した「スパーククラス」のタイトルは、この年のレースシーンで、最も多くのライダーが欲した称号だったことを付け加えておきます。新設2年目のスパーククラスでは、レギュレーションの内容からも、マシン性能の差が少なく、誰が勝つのか分からないし、また、誰が勝ってもおかしくなかった。参加台数も多く、実力伯仲。毎戦、白熱したレースが繰り広げられていました。そんななかで、シリーズタイトルをもぎ取ったのが、大岡嗣典選手なのです。

ワールドジェットスポーツマガジン2018年3月号を読む大岡選手。

この記事が、大岡選手のハートに火をつけた。

「挑戦者、出て来いや!!」っていう記事を見て、火が付きました

ワールドジェットスポーツマガジン2018年3月号に、「長良川基地」という、SPARKライダーを特集した記事が掲載されました。日本最速を自負するSPARKライダーたちの、「挑戦者、出て来いや!!」というフレーズに、大岡選手のテンションが上がったそうです。

「最高速81km/h」しか出ない僕がやりましょう!

大岡選手は、今まで他のレーサーたちが考えもしなかった方法(お金をあまり使わないで、速いマシンを調達する)で、独自のレース人生を突き進んできました。等身大の正直な話は共感できるし、面白い限りです。

WJS JJSFのSPARKクラスチャンピオン、おめでとうございます。
大岡 今、53歳なので、年齢的にはもう限界です(笑)。

WJS レースを見ている側からしたら、全然、そんな感じはしません。
大岡 ペース配分をしてますよ。その分、走りが地味になります。絶対に落水しないって決めていましたから。

WJS 攻めた走りをすると、落水するのですか?
大岡 ほとんどしたことはないですけど、危険性はあります。

WJS ずっとランナバウト800クラスに出ていた大岡選手が、スパーククラスに転向したのはいつですか?
大岡 2017年からです。

WJS クラスを変えた理由は何ですか?
大岡 ズバリ、人数がもう限界だった。声をかけても、3、4人しか集まらない。人数が少ないところで勝っても、つまらない。

WJS SPARKクラスに参戦した、初年度の成績はどうでしたか?
大岡 ボロボロです。シーズン途中の6戦目くらいから参戦しましたが、表彰台はゼロです。

WJS 2017年シーズンは、当初、ランナバウト800クラスに出ていましたよね?
大岡 はい。でも、チームのオーナーが「SPARKを1台買うから、お前、それで出ろや」って、言ってくれました。「ECUから何から、藤江(功一)さんに頼め。ウチは分からないから、お前に任せる」って、始めたのがきっかけです。

WJS チームは、どちらですか?
大岡 「RACING FACTORY UNION」っていう大阪のチームです。

WJS ずっとチームはRACING FACTORY UNIONで走っているのですか?
大岡 はい。社長をはじめ、チーム員には、よくしてもらっています。一緒に手伝ってもらわなければ、本当に自分1人では何もできなかった。とても感謝しています。

WJS チームに恵まれたのですね。それで、SPARKに乗り始めてどうだったのですか?
大岡 中部の林口(忠雄)君や藤江さんに相談しながら、いろいろやったんですけど、まあ、これが走らない、走らない(笑)。

WJS それは、ランナバウト800と比べて走らないということですか?
大岡 いや、他のSPARKクラスの皆さんとのレベルが……。中部の方たちに、「僕の船、81km/hしか出ないんですけど……」って言ったら、「大岡君の最高速、81km/hやって。ノーマルのSPARKよりも遅い! わっはっは」みたいな。メチャクチャ悔しいな、この人たちって思って。いろんな人に教えてもらいながら、頑張ったんですが、どうにもならなかった。

WJS そういえば、今年の本誌3月号で掲載した、「長良川基地」という記事を見て、いろいろと思うことがあったそうですね?
大岡 そうなんですよ。中部のライダーの皆さんが並んで、「挑戦者、出て来いや!!」ってあったでしょ。あれを見てカチンときて、「じゃあ、僕が! 81km/hの僕が!」って、火が付きましたね。 絶対に、見返してやろうって……。

―第2回に続く―

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