スーパーチャージャー付きモデル　エンジン不調の原因は「インタークーラー」の破損！　ここが全てのトラブルの始まり!?　ジェットスキー（水上バイク）

インタークーラーの破損が全てのトラブルの元凶

「インタークーラー」の役割を一言で言えば、「加圧によって熱せられた空気を冷やす装置」のこと。
スーパーチャージャーなどの過給器で加圧された空気は、非常に温度が高くなる。エンジンに入る前にその空気を冷やさないと、加圧した効果が半減してしまう。それを冷やす役目をしているのがインタークーラーである。過給器（スーパーチャージャー）とエンジンの間に配置されるのが一般的である。

エンジンの不調の原因には、「インタークーラー」が大きく影響していることが多いという。ここでは、分かっているようで、意外と理解していないインタークーラーについて説明する。

インタークーラーは「エンジン内部に送り込まれる“空気”を冷やす」役割

①　新鮮な空気（外気温）20℃〜35℃を、スーパーチャージャーによって強制的に送り込む。空気は、圧縮され高温化する。
②　スーパーチャージャーを通過し、約130℃になった空気が、インタークーラーに送り込まれる。このなかを通過することで空気が冷やされる。
③　インタークーラーを通過した空気は、約40〜45℃まで下がる。その空気がエンジン内部に送り込まれる。

130℃くらいあった空気の温度は、インタークーラーを通過する間に40℃前後にまで下がる。

もっと教えて！　インタークーラーのこと

スーパーチャージャーで加圧され、熱くなった空気を、なぜ冷やす必要があるのか。簡単に説明していこう。

Q　どうして空気を冷やさないといけないの？

空気を冷やすと「エンジンパワーが上がる」から。

Q　空気（吸気）を冷やすと、なぜエンジンの性能が上がるの？

空気中の「酸素濃度」が上がるから。

「エンジン内部に大量の空気を送り込む」のも、「エンジン内部へ送る空気を冷やす」ことも、同じ理由だ。エンジン内部に大量の酸素を入れたいからである。

空気の温度が高いと、酸素濃度が低くなる。空気は、酸素と結合して燃焼するので、空気の温度が低ければ、酸素濃度が高まるのでたくさん燃えることになる。

従って、エンジン内部に同じ量の空気が送り込まれても、空気の温度が低ければ燃焼効率が高まり、パワーが上がるということだ。

インタークーラーの破損の大きな原因は「塩害や電蝕」

ジェットの走行中、外部から取り入れた水が、冷却水としてインタークーラーの内部に流されている。

特に海水で乗ることが多い場合、ジェットの使用年数が長くなると、塩害や電蝕によって穴が開いたりするのだ。

「インタークーラー」の破損が、やがて「全てをダメにする」

インタークーラー内部に穴が開くと、空気を冷やすための冷却水が漏れて、圧縮された空気と一緒にエンジン内部に送り込まれることになる。
といっても、いきなり大きな穴が開いて、大量の水がエンジン内部に入ることは稀である。最初は、小さな穴が開いて、少しずつ水が流れ出すのだ。

インタークーラーの内部に穴が開いた場合、ジェットはどうなるかを、本誌でおなじみのマシンコンストラクター・藤江功一氏に聞いてみた。

一度に大量の水がエンジン内部に浸入すれば、当然、エンジンは停止し、内部に多大な損傷を与える。
しかし、少量ずつ浸入すると、ジワリジワリとエンジンやスロットルボディなどに悪影響を及ぼしていく。「ジェットが中途半端に走るので、原因が掴みにくい」と藤江氏は言う。

しかし、スロットルボディが塩で固着したり、エンジン内部のオイルが乳化して、本来の性能を果たせなくなり、エンジンおよびその周辺のパーツが確実に劣化していく。後になって、どんどん被害が拡大するケースが多いので要注意だ。

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