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インターネット オークション 騙す方が悪いのか、騙される方が悪いのか 高い授業料を払わないために ジェットスキー(水上バイク) コラム

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「騙し合い」が、日常的な空間

ネットオークションに絡む話をひとつ。

定価で買うと何十万もするような一流ブランドのレザージャケットを、〝新品〟ということで半値以下で落札した人がいた。届いたジャケットは確かにキレイだし、「これはいい買い物をした」と喜んでいた。

ワンシーズン着たあとクローゼットにしまい、翌年になって「さあ、今シーズンも着ようか」と出してみたら、なんとカビだらけ。そのジャケット以外の服にはカビが生えてないから、湿気にやられたわけではなさそうだ。

クリーニング店に持っていったところ、「ドライクリーニングをすれば、表面のカビはきれいに取れますが、内部に菌が残っているから、また生えますよ」と言われ、「他の服が大丈夫なら、もともとカビがあったジャケットだったんですね」とも付け加えられた。
インターネットオークションは、相手の顔が見えないだけに、どんな商品が送られてくるのかは出品者の〝良心〟に頼るしかない。

洋服ならまだしも、これがジェットスキー(以下、ジェット)だったら、もっと深刻な事態となる。ネットオークションとはいえ、ジェットは高額商品である。

スカを掴まされたとき、修理をするといくらかかるか?

これは、知り合いのジェットショップの店長から聞いた話だ。
この夏、あるお客さんが「ジェットが走らない」と、4ストロークランナバウトをショップに持ってきた。オーナーはネットオークションで買ったと言わないが、エンジンルームを見て「はは〜ん、これはネットでスカを掴まされたな」と、店長は思ったという。

素人目には分からないが、もともとついているパーツとは違う型番のものがいくつもある。スーパーチャージャーは塩で固着しているのに、そのほかの部分は塩害が少ないとか……。同じ環境で乗っていたにしては、パーツの劣化具合が違いすぎるのだ。

ジェットを持ち込んだオーナーの10人中9人が最初に聞くのは、「直すのに、いくらかかりますか?」だという。
「それは分かりません。どうしたいんですか?」と逆に聞いてみると、「普通に走るようにしてください」という答えが返ってくるのも、皆、一緒である。
ちなみに、こういうユーザーにとって〝普通〟とは、新艇と同じように走ることだ。
どういう不具合か聞くと、「エンジンはかかるけれど時速70〜80kmしか出ない」のだという。

ジェットの状態を見た店長は、「快適に遊びたかったら、新艇を買ったらどうですか?」と聞いてみるそうだ。
これは決して、商売で新艇を売ろうとしているわけではなく、長い目で見て、そのほうが楽しいジェットライフを送れると思っているからこその提案だ。
それでも、「直せるなら、直してほしいです」と頼まれることのほうが多いという。お客さんに頼られる以上、むげには断れないし、最善を尽くしたいと思う。

そこで店長は、ランナバウトの船体からエンジンを降ろし、全部バラすと、その作業に丸1日以上かかる。その作業だけで、工賃は10万円を超えると説明をする。
「あくまで修理ではなく、エンジンをバラして状態を確認するだけですが、それでもいいですか?」と聞くと、ほとんどの人が「お願いします」と言うそうだ。

エンジンを分解し、交換や修理が必要なパーツの見積もりを出していく。不具合が見つかるたびオーナーに連絡を入れて「○△×のパーツは、交換が必要です」とデジカメで撮った写真を送り、説明して修理するかどうかの確認をする。

調べていくと、あそこも、ここも、と、修理が必要な箇所が見つかる。オーナーにすれば、ショップから連絡は「悪魔からの不幸な報せ」と思うだろう。なにしろ着信があるたびに、払わなければならない金額が増えていくのだから。

このお客さんの場合、修理代をできるだけ安くしてあげても、最終的に60万円を超える請求金額になってしまったそうだ。もともといくらで購入したかは分からないが、それだけ修理代がかかるなら、最初から信頼できるショップで、程度のいい中古艇を買ったほうがどれだけ得だったか分からない。

 

売り主によっては、値段のつかないジェットを処分する場として、ネットオークションを利用している

この話には先がある。このお客さんが、このジェットを売ろうと思っても、それまでにどのような使われ方をしていたのか素性の分からないジェットは、ショップでもそれほど高い価格で下取りはしてもらえない。
店長は「お客さんが満足できるほどの金額は出せませんが、それでもいいですか?」と聞くと、その金額で納得いかなかったオーナーが、ネットオークションで売ることが多いのだ。

「僕はジェットの〝ネットオークションは騙し合いの場所〟だと思っています」と、そのショップ店長がキッパリと言い切った。

オークションでの出品が、全部そうではないにしろ、「業者が引き取ってくれない(もしく値のつかない)モノは、ネットで売ってしまえ」と思う人は少なからずいる。自分で直せる自信のある人にとっては、安く買えるのでお買い得かもしれないが、そういうことも全部承知したうえで購入するかどうかは、自己責任で決めればいい。

ネットオークションの基本は「ノークレーム・ノーリターン」だ。何を掴まされても文句を言う場所はどこにもない。

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