「腐ったもの」を食べると「食中毒」になるわけではありません。
子どもころ、「腐ったものを食べると食中毒になる」と言われたことはありませんか? でも、腐ったものを食べたからといって、その全てが食中毒を起こすとは限りません。
「食中毒」とは、食べ物に付着した細菌やウイルス”を食べることによって、下痢や腹痛、発熱、嘔吐などの症状が出ることです。見るからに腐った食べ物でも、そこに「食中毒になる菌」がいなければ中毒症状は出ないのです。
逆に言えば、腐ったように見えなくても、食中毒になる菌がいれば食中毒になります。
食中毒は、その原因になった因子・物質によって5つに分類されます。
・細菌性食中毒(黄色ブドウ球菌、ボツリヌス菌、カンピロバクター・ジェジュニ/コリ、サルモネラ菌など)
・ウイルス性食中毒(ノロウイルス、ロタウイルスなど)
・化学性食中毒(ヒスタミン、アミン、殺鼠剤、農薬など)
・自然毒食中毒(チョウセンアサガオ、有毒キノコ、貝毒、フグなど)
・寄生虫性食中毒(アニサキス、クドアなど)
その他(カビ毒など)
このところ、「アニサキス」による食中毒のニュースを目にすることが多くなりました。スーパーで買った刺身の盛り合わせを食べたら腹痛を起こした、居酒屋で食べた刺身で腹痛を起こした、海で釣ったサバを食べたら腹痛を起こした。原因は全て「アニサキス」による食中毒でした。
飲食店の責任問題。アニサキス食中毒が出たら営業停止になります。
昨年の食中毒発生数は717件、そのうちアニサキスが原因となったものが344件。他の原因に比べて群を抜いて多くなっています。ちなみに、2018年から4年連続で「アニサキス」が原因のトップです。
1965年頃ごろまでは、海産魚介類の寄生虫は無害とされ、生きた寄生虫は「鮮度の証」と見なされていました。それが1999年に食品衛生法で「アニサキスは食中毒の原因物質」とされ、2012年からは保健所への届出が義務付けられました。
そのことも、アニサキスによる食中毒が増えた原因といわれています。今までもアニサキスによって腹痛を起こした人がいても、保健所へ届け出る義務がなかったので話題になることが少なかったのでしょう。
アニサキス食中毒は、刺身などで食べた際に、アニサキスがヒトの胃に刺入することによって引き起こされる食中毒です。水産業界では、アニサキス食中毒を防ぐことが長年の課題となっています。
先月31日、埼玉県の飲食店で刺身を食べた男性が、深夜に腹痛を起こしました。体内からアニサキスが摘出されたことから、今月3日に市の保健所に通報。食品衛生法に基づき、この飲食店は8月5日の1日間、「生食用鮮魚介類の調理と提供の範囲で、営業停止処分にした」と発表されました。
「アニサキス食中毒」は、胃カメラで人間の胃からアニサキスの虫体が摘出されて、初めて確定します。
アニサキスは、魚を捌く人にとってはほぼ毎日出会う生き物です。しかし、このままアニサキス食中毒が増えれば、お店では営業停止が怖くて、生の美味しい刺身を店頭に出せなくなるかもしれません。
ニューヨークでは魚の寄生虫を防ぐために、生や十分に加熱処理されていない状態で魚を提供する場合、一度冷凍することが義務付けられています(一部除外あり)。
「どうしてもアニサキスを食べたくない。でも美味しい刺身は食べたい」という人が増えてきたら、資格制度が好きな日本のことだから、そのうちフグの調理師免許のように、アニサキスを取り除いて捌くための免許ができるかもしれませんね……。
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