「1番速い水上バイク」。それは、簡単に答えられる話ではありません。車やオートバイのように、いつもコンディションが変わらない陸上を走るのと違って、ジェットスキーは、刻一刻と水面状況が変わります。例えば、「鏡のような水面を真っ直ぐに走るだけ」の場合と、「荒れた大海原を長時間ぶっ飛ばす」場合では、「あてはまる機種」が変わります。
2020年モデルでいえば、各メーカーのフラッグシップの馬力は、ヤマハが260馬力、シードゥが300馬力、カワサキが310馬力です。でも、それがそのまま最高速の違いになるとは限りません。
ショップによって、答えは違うはずです。それは、「お客様のライディングスキル」によって、選ぶ機種が変わるからです。ジェットショップの店長が困るのは、質問したお客さんの真意が、「仲間内でよーいドンをして、負けないジェットスキーはどれ?」と言っているのが分かるから。例えば、「鏡のような水面を真っすぐに走るだけ」の場合と、「荒れた大海原を長時間ぶっ飛ばす」場合では、選ぶ機種が変わります。だから、「水面コンディションと、競う距離の長さと、乗り手の腕で変わります」という答えが、正確で最高の答えだと編集部は考えます。
天下の公道で、日産GTRとホンダNSXが、いきなり「よーいドン」の最高速競争を始めるなんてことは、まずないですよね。サーキット場以外で、この2台が最高速を出せる場所などありません。
では、最初の質問の答えです。「どのメーカーの水上バイクが一番速いの?」
信頼できるジェットショップが、「あなたなら、このジェットスキーが1番速く走れます」と勧めてくれた機種が、「最速」ということです。そして、なぜ自分にはその機種がいいのか、そのジェットショップに理由を聞くのが1番です。
面白い話を聞きました。10年ほど前は、購入時に「とにかく仲間に負けないジェットスキー」というリクエストが多かったそうですが、最近では、そういったリクエストは滅多にないそうです。それは、1日中、ずっと鏡のような水面など滅多にない。普通のユーザーでは、昨今の高馬力ジェットに乗って、「少しでも水面が荒れたら、最高速で走り続けることは肉体的にキツくて無理」ということが分かってきたからだそうです。
老婆心ながら、ジェットスキーは「スポーツ」です。いくら自分が最新モデルに乗っていようと、高馬力モデルだろうと、一番勝つのはライディングスキルの高い人です。あまりに性能差があるマシンでよーいドンをするなら別ですが、同じような性能のジェットスキーに乗っている場合、「何に乗っているか」が問題ではないのです。仲間に勝ちたかったら練習するしかありません。「最も乗った人」=「1番速い人」。この法則は、今も昔も絶対に変わらないようです。
ちなみに、レースの世界でいえば、改造範囲の広いクラスでは「シードゥ」。純正に近いストッククラスでは「ヤマハ」、エンデュランスレースでは「カワサキ」のマシンが勝つことが多いのが現状です。
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