ライフジャケットを着ていなかった場合、着ていた人と比べて、死亡率が約5倍というデータもある。ライフジャケットを着ることで、落水しても沈むことなく、呼吸を確保することができるのだ。
国土交通省の型式承認試験基準に「鉄片を7.5kg吊り下げた状態で、24時間以上浮き続けられること」とあるので、承認されたものであれば、最低でも24時間浮き続けられる。ただし、ホームセンターなどで売っている安価なライフジャケットは、安全基準をクリアしていないものが多いので要注意! そこまでの浮力は期待できない。
ライフジャケットは法定備品なので、ジェットスキー(以下、ジェット)はもちろん、船に乗るときにも、必ず国土交通省の認証を受けたものを着用しなければならない決まりとなっている。
小型船舶で使われるライフジャケットは、用途に応じて数種類ある。そのなかでも、ジェットに使えるのは「Type D」「Type F」「Type G」タイプの3種類だ。
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3種類の中でも、特にジェットで使われることが多いのが「Type F」である。
「Type F」タイプには、頭からかぶって着用する「プルオーバー」と、前開きでバックル留めする「フロントバックル」の2種類がある。
WJS 今回、プロライダーの皆さんに伺いたいのが、「プルオーバータイプ」と「フロントバックルタイプ」のライフジャケットについてです。レーサーやフリースタイラーは、ほぼ100%、頭から被るプルオーバータイプを着用していますが、ジェットショップに聞くと、レジャーユーザーほど「フロントバックル」が人気だそうです。
倉橋 言われたら確かに、初心者やレジャーユーザーの方ほど「フロントバックル」を着ていますね。僕らレーサーは、体の前面にバックルがついていると、何かアクシデントが起こったときにバックルが引っ掛かりそうで嫌なんです。だから僕は「プルオーバー」タイプですね。ガバッて被るだけなので着るのも楽ですし、ライフジャケットに守られている気がします。
濱中 僕はフリースタイルで、エアリアルや連続コンボといった激しい動きをするので、「プルオーバー」でないと怖いです。
中川 レジャーの人に「フロントバックル」が多いっていうのは、理解できます。レンタルジェットでも、免許スクールでも、置いてあるのは、大抵、フロントバックルですからね。きっと、プルオーバータイプっていうのを知らないと思うんですよ。でも、あきらかにプルオーバータイプのほうがスポーティでカッコ良い。サイドのストラップを絞ると、「さあ、乗るぞ!」って気になります。
WJS 言われてみたらそうですね。でも、ジェットショップに買いに行ったとき、両方のタイプがあったら、私なんかは圧倒的にプルオーバーのほうがカッコ良いと思うのです。
中川 普通のレジャーで遊ぶ人にとっては、ウェットスーツやライフジャケットというのは、非日常の極みなんです。レーサーのように「商売道具」ではない。僕らは、「このグローブで、このシューズでなきゃヤダ」みたいなコダワリがありますが、普段から使っていなければ、ライフジャケットに種類があることまで気がまわらない。見慣れたフロントバックルを、手に取るでしょうね。
WJS なるほど、それで理解できました。免許教室やレンタルジェットに乗るときに着たフロントバックルを買えば、間違いもないし安心ですもんね。見たことのないプルオーバーに手が伸びにくいですよね。
倉橋 でも、アメリカやヨーロッパは、日本よりマリンスポーツが身近な存在です。ジェットのレースに、ローティーンが出場する「キッズカテゴリー」があるくらいだから、小さな子供のころから、プルオーバータイプを見慣れています。だから、機能的でカッコ良いプルオーバーが、欧米では売れるんでしょうね。
濱中 そういう意味では、日本では、プルオーバータイプの「心理的な敷居」がちょっと高い気がします。でも知らないだけで、一度着てみると、体にもフィットするし、実は着脱も楽なプルオーバーが手放せなくなると思いますよ。機能的にも見た目にもね。
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