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ジェットスキー レジェンドフリースタイラーが語る「フリースタイルの楽しさ」とは? 「渡部文一氏」

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フリースタイラーが語る「フリースタイルの楽しさ」とは?

「フリースタイルの楽しさは何ですか?」。「フリースタイルに人生を懸けている」ような、フリースタイラーたちに問いかけた。正直な答えの中に、それぞれの考え方が明確に表れていた。

ジェットスキーには、これほどまでに人生を変える力があります。魅力に満ち溢れた、フリースタイラーの「生の考え」をお楽しみください。

元フリースタイル世界チャンピオン「渡部文一」氏(BUN FREESTYLE)


その時代ごとに、いろいろな「楽しさ」があります。
一番最初は、「水上バイクに乗る」こと自体が楽しかった。

WJS 渡部さんにとって、「フリースタイルの楽しさ」とはなんですか?
渡部 その時代ごとに、いろいろあります。僕がフリースタイルをやり始めたころの「楽しさ」もありますし、現在の「楽しさ」もあります。

WJS まず、フリースタイルを始めたころの楽しさを教えてください。
渡部 当時、水上バイク自体が珍しいモノでした。だから、乗る前からワクワクしていましたね。「水上バイクに乗る」こと自体が楽しかった。先輩に借りて乗っていると、自分ばかり乗るわけにいかない。独占できないし、返さないといけない。だから、「自分のジェットが必要だ」と思って買いに行くのだけれど、まず「買うまでの楽しさ」があります。

WJS ジェットスキーは、買う前から、ワクワクできる乗り物だったのですね?
渡部 それから、買って乗るまでは、「自分が乗っている姿を想像する」楽しさ。乗ってからは、「難しさ」の楽しさです。「難しい」ということは、できる人と、できない人が出てくるということ。すると、今度は「できて、脚光を浴びる」ことの楽しさが出てきます。女の子にキャーキャー言われ、同性からは「BUN君、すごい」と言われる楽しさですよね。少し話は飛びますが、上手くなってくると、今度は大会に出るようになります。当然、勝ちに行く。「勝つから格好いい」に繋がっていくわけです。


初めて出場したフリースタイル大会で、「話が違うじゃん!?」って。

自分の中で、「格好よく勝つ」シナリオができていた。
でも、結果は最高に格好悪かった。

WJS それが、フリースタイル大会に出場し始めたきっかけですか?
渡部 最初は、あるショップの社長から「BUN君、こんなにできるんだったら、大会に出たら優勝できるよ」と言われたことです。「えっ、そうなんですか!?」って。初めて出た大会で優勝できたら、それこそ格好いいシナリオができ上がってるわけじゃないですか。「それを取りに行かない馬鹿はいないよね」という、浅はかな考えから出場しました。

WJS それで、デビュー戦はどうだったのですか?
渡部 行ってみると、たくさんの「フリースタイルが大好きなライダー」たちがいた。練習を見ていると、自分がやってる技よりも、全然すごい。「これは、夢……? 話と全然違うじゃん」と思っけれど、とりあえず会場に来ているのでやめるわけにも行かず……。見事に、予選落ちという結果でした。

WJS 初めての大会は、フェラーリに乗って会場に行ったと聞いたことがあるのですが?
渡部 はい、フェラーリで行きました。自分の中で、「格好よく勝つ」シナリオができていたので。しかし、結果は最高に格好悪かった。予選落ちですから……。でも、それが良かったんです。最高に格好悪いから、逆に格好良くするには、自分の技を磨くしか方法がなかったから。

WJS そこから、勝つために自己研鑚をするようになったのですね?
渡部 はい。「技を磨くためにはどうするか」を考えました。今、自分の好きなことをやめていかなければと思い、タバコをやめて、パワーアップするために、トレーニングジムに行く。まず、「決勝に上がれるように」を目標にしました。そこから、上位ランキングを目指す。ステップアップできたら、「全日本チャンピオン」を目指し、そこから「世界チャンピオン」を目指すという段階を経ていった。最初に、「フリースタイルの楽しさは何ですか?」という質問をされましたよね? その答えなんですが、「苦しいコトのほうが多かった」です。

WJS 世界チャンピオンを獲得するまでは、大変なことばかりだったのですね?
渡部 週に7回ジムへ行くのを7年間続け、体の故障もありました。他にも、大変な出来事がいろいろありました。世界を獲るまで、楽しいことなんてなかった。でも、何とか乗り切れた。その要因は何かというと、「フリースタイルが好きだったから」になると思う。それから、「マシンをいたわる」、「マシンを可愛がる」。絶えずマシンとコンタクトを取りながら、「自分に、より一層合ったマシンに仕上げる」というところが、僕の中で楽しかったことですね。


渡部氏にとって、ジェットは「ガチで世界を獲りに行く真剣勝負」

単純にジェットに乗ることだけが「フリースタイルの楽しさ」ではなくて、
「世界チャンピオン」になることによって、人生が変わりました。

WJS 2007年、2008年の2年連続で世界チャンピオンを獲得しましたが、それからどう変わりましたか?
渡部 世界を2回獲って、その後は、2位(2009年)、2位(2010年)です。あるとき、「やり終えたな」という気持ちになりました。それまでは、ジェットは「ガチで世界を獲りに行く真剣勝負」でした。「世界チャンピオン」の称号は、途轍もなく大きいです。しかし、実感としては全くない。タイトルを獲ったときというのは、達成感がすごくあります。でも、翌日起きたら、何も変わらない日常です。大金が入って来るわけでもない……。周囲の人からは、「やったね」と言ってもらえしたけど……。

WJS タイトルを獲っても、あまり変わらなかったということですか?
渡部 でも、これって、あとからどんどん効果を表してくるんです。「フリースタイルの楽しさ」というテーマから外れるかもしれませんが、単純にジェットに乗ることだけが「フリースタイルの楽しさ」ではなくて、僕は「世界チャンピオン」になることによって、人生が変わりました。

WJS 例えば、どういうことですか?
渡部 僕のことを良く知らない人からも、「アイツ、世界チャンピオンだよ」と言ってもらえるようになった。そうすると、皆が、僕のことを知り合いだと言いだす。大それたことを言いたいのではなくて、「僕を知っていること」に価値が出始めたのです。自分が世界チャンピオンになることで、自分のまわりの人も幸せにしていると思います。「世界チャンピオン」というだけで、初めて会った人からも信用されます。頼まれて講演などでいろいろ話もしますが、結局、1番印象に残っているのは「世界チャンピオン」という事実です。言葉が不適切化かもしれませんが、他の競技から比べても、何百万円でマシン買って世界が獲れる可能性があれるなら、高くはないと思います。僕の「選手」としての戦いは終わりましたが、「フリースタイルの世界チャンピオン」という事実は一生涯続いていく。これが、僕にとっての「フリースタイルの楽しさ」なんです。自分の人生の全てがフリースタイルです。「フリースタイル」に120%の情熱を注いで取り組んで、結果を出せれば、人生が楽しくなります。

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