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  3. Harley-Davidson(ハーレーダビッドソン)が、「格好いい」と思われる理由


みんな大好き「ハーレーダビッドソン」

「ハーレーダビッドソン」は、大型バイクしかないメーカーなのに、世界第3位の販売台数ってご存知ですか? 1位がホンダ、2位がヤマハ、3位がハーレーダビッドソンで、4位がカワサキなのです。50ccのスーパーカブも、250ccのYZFも何にもない高排気量の製品しか販売していないにもかかわらず、これだけの販売台数を誇っているのです。

アメリカでも、大型バイクのカテゴリーでは、ナンバーワンの販売台数を誇ります。確かに、ブランドイメージを考えても、理解はできますが、製品クオリティだけを考えると、日本のメーカーの方が優れているような気がしてなりません。カワサキのNinjya、スズキのハヤブサなどがすぐに頭に浮かびます。

いくら格好が良くても、「オートバイ」という工業製品である以上、機能が高い製品のほうが「格好がいい」と私は思うのです。しかし、「サウンドがいい」「重厚感がある」など、本来の機能ではないところで評価されている不思議な製品です。

ハーレーダビッドソンの人気の秘密を探ると、ブランドイメージに行きつきます。そのブランドイメージ構築に大きく影響したのが、1971年公開の映画「イージー・ライダー」だと思います。奇しくも、この原稿を書いている2019年8月17日、主演のピーター・フォンダ氏の訃報がニュースに流れました。たった1本の映画が、いまだに世界第3位の売り上げに貢献していることは、驚異的な事実です。今回、このことを掘り下げていきたいと思います。


「ハーレーダビッドソン」を不動の人気にした金字塔シネマ「イージー・ライダー」

本誌は、ひとつの企業の製品を瞬く間に世界3位に押し上げた映画「イージー・ライダー」を掘り下げたいと思いました。理由は、「内容を理解することができなかった映画」だからです。イージー・ライダーという映画は、社会現象になりました。内容が分からないのは私だけだと思っていました。今になって聞いてみると、皆、「よく分からない」と、言います。当時、「分からない」というと、「お前、この格好よさが分からないの?」と、間違いなく言われました。面白かったのが、分からないくせに、「何となく分かった気になる」。「分からない」と、言いにくい雰囲気の映画だったことです。

ストーリーが分からなかった私には、「長髪で、ワイルドなアメリカ人の若者2人が、大音量のロックサウンドをバックに、ハーレーダビッドソンに跨って、ひたすら走る続けるプロモーションビデオ」というイメージしか残っていません。しかし、当時、「おぼろげに格好いい」と、思っていたものは、皆、この映画にありました。ハーレー、金髪のグラマラスなオネーさん、アメリカの荒野、ドラッグ。ただし、ロックサウンドとともに、映像はひたすら流れていきます。どこで「格好いい」と思っていいのか、分からなかった。見終わってから、茫然と「格好よかったよな」。反面、「野垂れ死にじゃん」みたいな、何となく落ち込む要素も味わいました。だから、よく分からなかった映画です。

「イージー・ライダー」は、当時の若者に熱狂的に受け入れられた

1970年前後、「アメリカン・ニュー・シネマ」という、若者が低予算で反体制的な映画を撮るムーブメントがありました。その代表作が「イージー・ライダー」です。アメリカの大俳優、ヘンリー・フォンダの息子ピーター・フォンダが製作と主演を、デニス・ホッパーが監督と主演を務めました。

「イージー・ライダー」の主役は、ワイアット(ピーター・フォンダ)とビリー(デニス・ホッパー)という若者2人。ものすごく要約すると、「若者がバイクで旅する」映画です。

映画には、物語の冒頭のシーンが分かりにくいものがあります。しかし、途中で理解できることが多いものです。なのに、この「イージー・ライダー」は、最後まで、冒頭のシーンの内容が分かりませんでした。最初のシーンで、メキシコもしくはメキシコ人が多い国境付近あたりの怪しい店で、ワイアットとビリーが、怪しい男から麻薬を買い付けます。それを空港間近の場所で、怪しげな別の男に売る。麻薬で大金を稼ぐ2人の映像が流されます。でも、ここまでの間、彼らが何をしているかという説明が、字幕にも、セリフにも、全くありません。白い粉を鼻から入れて、麻薬だろうなと思われるシーンはありますが、麻薬であることも明確にされていないのです。これが、景色のように流されているだけなのです。

初めて見たとき、私には難解すぎました。「何を言っているのかよく分らないけれど、斬新で、格好いい雰囲気」は感じる映画でした。当時の社会現象に鑑みて、「今、この映画を見ておかないといけない」という、強迫観念に似た感覚で無理やり最後まで見たことだけは確かです。この映画は、とても「感覚的」なのです。全編にわたって、ロックミュージックが流れるなか、ハーレーを改造した “チョッパーバイク”に乗った若者が、アメリカを旅をする。長い音楽プロモーションビデオだと思いました。今から考えると、麻薬の密売で稼いだ売人が、大金を得て、自由を謳歌するため、ハーレーダビッドソンで旅に出る物語だったのです。

当時のアメリカを知るドキュメンタリーでもある

「イージー・ライダー」は、都会ではなく、「アメリカの田舎」で物語が進みます。ワイアットとビリーは、カリフォルニアから、ルイジアナ州ニューオリンズで行われるマルディグラ(謝肉祭)を目指して旅に出ます。それも、あまり大きな目標には見えない。何となく自由を謳歌するために、気ままに旅している、という風情です。

途中、カトリック信者の農家で世話になったり、ヒッチハイクしてきたヒッピーをコミューン(このころ流行していたヒッピーたちの共同体)に送って、そこにしばらく滞在したりします。

あるとき、通りすがりのある街で、祭りのパレードに混じって、バイクに乗ったまま最後尾についていた2人は、「無許可のパレードに参加していた」罪で、警察に捕まり留置場に放り込まれてしまいました。そこで若い弁護士のジョージ・ハンセンと知り合います。彼のおかげで釈放され、その後、ジョージを加えて3人で旅を続けることになるのです。

当時のヒッピーたちは、アメリカの田舎では徹底的に嫌われていました。アメリカでも、田舎と都会にはずいぶんと差があるということが、この映画では再三、描かれています。当時、保守的なアメリカ南部の街を、「ただブラブラ歩いていて、いきなり誰かに襲われても不思議ではない人種」というのがありました。
① 黒人
② 黄色人種
③ ヒッピー、ゲイ

自由に生きるワイアットとビリーは、わざわざ、歓迎されないアメリカの田舎へ行き、必要のない敵意を巻き起こしていきます。中年や老年の男はもちろん、若い男も長髪を見るだけで強い反感を持つような田舎町に行きました。男には嫌われるが、地元の若い女性には、非常に好感を持たれました。長髪のヨソ者が、「格好いい」と言われ、田舎の娘たちにキャーキャー言われる姿が、地元の男たちは気にくわなかったのでしょう。徐々に、反感や敵意というレベルではなく、明確な「殺意」になっていきました。

地元の宿にも泊めてもらえず、金はあるのに野宿するしかありませんでした。ある夜、ワイアットとビリー、そしてジョージの3人が、寝込みを襲われます。拳銃は使われず、棒でひたすら殴打されたのです。ここでワイアットとビリーは大怪我を負い、ジョージは撲殺されてしまいました。残された2人は、そのまま旅を続け、目的地であるマルディグラ(謝肉祭)を、ルイジアナの売春宿で迎えるのです。

2人のラストは、「あっけなく」やってきます。トラックを運転している地元の農夫が、「気に食わない長髪の若者」が、「気に食わない形のバイクに乗っている」のを見て、ライフルで脅そうとします。挑発されたビリーは、指を立てます。それを見た農夫が怒り、ライフルをぶっ放すとビリーは倒れる。ワイアットはバイクを降りてビリーに駆け寄り、「ひどいことをしやがる」と言ってビリーに上着をかけ、自分のバイクに戻って、そのトラックを追います。

トラックも反転して、ワイアットに向かってきます。そのままワイアットがトラックに突っ込むのかと思ったところで、再び農夫はライフルを打ち、ワイアットの乗っていたバイクが宙を舞って粉々に砕け、炎上。そのシーンで映画は終わります。ライフルで脅されたので指を突き立てたら、2人とも撃ち殺された。そういう映画なのです。


今も昔も、「格好いい」の正体は、「よく分からない、ナニか」なのだ。

この時代、「明日に向かって撃て」、「俺たちに明日はない」などのワイルド系の映画が公開されたころです。しかし、この2本は、ストーリーは誰でも理解できたと思います。興味深いのは、麻薬で稼いだお金で自由を謳歌して、バイクで走って殺される映画「イージー・ライダー」が、社会現象になったことです。当時の日本でも、影響は大きく、いきなり小中学生の自転車がチョッパーハンドルに変わったことは衝撃的でした。今から考えても、皆、意味など分からず、「ハーレー=イージー・ライダー」。イージー・ライダーは、「よく分からないけれど、格好いい」という定義が成立したような気がします。

このころ、日本でも、テレビで「傷だらけの天使」などが放映され始めました。冒頭のゴーグルを付けて、朝食を食べるシーンなども、よく分からないけれど、「格好いい」という定義に当てはまっていたような気がします。そのあと、「太陽にほえろ」とテレビドラマは変わっても、皆が良く分かって格好いい石原裕次郎に比べ、「酔っ払いに、立小便の途中で刺されて死ぬショーケン」は、「よく分からないけれど、格好いい」でした。改めて考えてみると、得体のしれない、つかみどころのない「格好良さ」というのが、本当の意味で「格好いい」の正体なのかもしれません。





世界で1台のワンオフ「ハーレーダビッドソン」

この、ステキなハーレーダビッドソンは、昨年、バイク雑誌の表紙を飾りました。スポーツカーを意識して作ってもらい、ほとんどのパーツがワンオフ。分かりやすいのが、ホイールが「桜の花びら」をかたどっていること。メーター類や、細かなパーツ類は、バイクショップではなく、シルバーアクセサリーショップで特注で作ってもらったそうです。世界で1つだけのワンオフパーツのオンパレードです。金額なら、楽にレクサスが買えるそうです。

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