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全国の優良ジェットショップを紹介するコーナー「ビーチマリン」 ジェットスキー(水上バイク)

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優良ショップとそのオーナーは、お客さんに愛される理由があります

今年、創業30周年を迎える埼玉県久喜市のヤマハ正規販売ディーラー「ビーチマリン」。
新型コロナウィルスの拡大防止のため、現在は開催を控えていますが、毎月、精力的にショップイベントを主催している老舗のプロショップです。

創業当時からお店を切り盛りしている小森谷明子チーフは、免許講習からツーリングの水先案内人まで、1人で何役もこなしています。
水上バイク(以下、ジェット)業界初の海上保安庁認定「海上安全指導員」であり、女性ならではのキメ細かな対応で顧客のニーズに応えます。今回、ご自身も生粋のレジャーユーザーであり、お客さんに飽きさせないように遊びを提供したいという小森谷チーフに話を聞きました。

ジェットショップのチーフがジェット大好きな人だから、お客さんの目線で楽しませてくれます

私、ヤマハのマリンジェットが一番好きなんです

WJS 小森谷さんがジェットを始めたのは、いつですか?
小森谷 すごい昔ですよ。多分、1990年ぐらいだと思います。

WJS きっかけは何だったのですか?
小森谷 私の父が、大昔にボートショーでマリンジェットを見て、「これは面白そうだ」って、いきなりヤマハと契約して、このお店を始めたんですよ。私はオープン当初からお店を手伝っていましたので、お客さんたちと一緒にジェットに乗るようになりました。

WJS 現在、お父様はショップにはいらっしゃらないですよね?
小森谷 はい。「俺は、浅く広くやるタイプだから」って、今は別の仕事をしています。でも私が忙しいときは、お店を手伝ってくれるので助かります。

WJS いつから小森谷さんがチーフとしてショップの業務全般を取り仕切るようになったのですか?
小森谷 お店がオープンしてから5~6年後ぐらいかな? 気がついたら、私がメインになってました。

WJS その頃から、ショップイベントを主催していたのですか?
小森谷 はい。創業当時からお客さんと一緒に、地元の利根大堰でBBQとか、東京湾、南房総の館山、猪苗代湖などにツーリングに行ってました。あと、ヤマハのS-1グランプリ(スラローム大会)も行っていました。

WJS ビーチマリンさんは、創業以来、ずっとヤマハ一筋ですね。
小森谷 私、ヤマハが一番好きなんですよ。昔からどのジェットも信頼性が高いし、壊れない。安心できるんです。それにデザインがオシャレ! カラーリングも上品でキレイ。高級感がありますよね。

WJS 小森谷さんは今、フラッグシップの「FX Cruiser SVHO」に乗られていますよね。
小森谷 はい。堂々とした佇まいですけど、威張ってない感じが好きです。クルーザーシートで乗り心地がいいし、波の中でも安定していて、水が顔にかからない。それと「RiDE(電動リバース&減速機能)」を使うと、簡単に着岸できるので重宝してます。今まで乗った中で、最高のジェットです。

WJS 以前、お話をお伺いしたとき、「スーパーチャージャーエンジンは速すぎて恐い」「アクセルを全開にできない」とおっしゃっていましたが、もう慣れましたか?
小森谷 最初にアクセルを開けたとき、このまま橋桁に突っ込んで死ぬかも? と思いましたけど、今はもう大丈夫です。スピードって慣れるんですね。パワーがあると、荒れた海でもラク。長距離を走ってもそんなに疲れませんね。

WJS ジェット乗りらしい、リアルなお話です。ところで、小森谷さんが初めて乗ったジェットは何ですか?
小森谷 ヤマハの「700TZ」です。これに2人乗りして、ウェイクボードを引っ張ってました。でも油断するとバランスが崩れて、すぐ転んじゃうの。今から考えると、「よく、あんなに小さいジェットでウェイクボードをやってたなぁ」と思います(笑)。その後、スタンドアップにハマりました。

WJS 初めてのスタンドアップに乗ったときは、上手く乗れましたか?
小森谷 全然(笑)。最初は、カワサキの「650SX」だったんですけど、もう難しくて難しくて。立つと転んじゃうの。立って走れるようになったら、今度は曲がるときに転んでしまう(笑)。

WJS それでも、楽しかったのですか?
小森谷 上手く乗れないのが悔しくて、それが面白かったです。最初は転んでばっかりだったけど、それでも100回に1回ぐらいは、自分なりに上手くターンできるんですよ。「ヨシ! やったー!」って、すごい満足感がありました。

WJS その感動が忘れられなくて、また99回転ぶのですね?
小森谷 そうです。1回でも上手く曲がれると、99回転んだのを忘れますよ。利根川の水をたくさん飲んで、次の日は体中が筋肉痛でグダグダでしたけど(笑)。その後、カワサキ800SX-R、ヤマハSuper Jetを乗り継いでいました。でも、少しずつしか乗ってないので、キャリアは長いのに、カッコ良く乗れないんですよ。でもやっぱり面白いです。ランバウトとはぜんぜん違う楽しさですよね。上手く乗れたときの、「してやった感」は、たまらないです。

店内は、新艇の展示だけでなく、ウェットスーツやライフジャケット、ウェイクボードなど、ジェット遊びに必要なものは全て揃っている。品数、サイズが多いのも人気の秘密。

ショップ主催のイベントの最大の魅力は「知らない場所で、気軽にジェットに乗れること」です

WJS ビーチマリンさんは、毎年、精力的にツーリングなどのショップイベントを開催されていますよね。
小森谷 はい。東京湾をはじめ、千葉の館山や猪苗代湖、沖縄も行きます。最近の試みとして、地元の利根大堰でジェット未経験者を対象とした「ジェット体験試乗&BBQ」というイベントも開催しています。

WJS なぜ、未経験者向けの催しを始めたのですか?
小森谷 ジェットは高額なので、「敷居が高い」「すごくお金がかかる」というイメージを持っている人が多いんです。それを何とか打ち消したくて。とりあえず、ジェットの後ろに乗ってもらったり、引っ張りモノに乗せてあげて、みんなでBBQをやったらどうかな? と思って、地元の知り合いとコラボで始めたんです。

WJS 参加者の方々の反応はいかがでしたか?
小森谷 50~70人ぐらい集まって、皆さんに喜んでもらえました。

WJS どうして、それほどまでに熱心にイベントを開催しているのですか?
小森谷 お客さんが、ジェットに飽きちゃうことが一番嫌なんです。だから、飽きないようにイベントをたくさんやっています。「ジェットには、こういう遊び方もあるよ」っていう提案ですね。それで、イベントに来て遊び方やローカルルールを覚えたら、自分たちのグループでどんどん遊んでくださいって。

WJS お客さん同士が、イベントで知り合って仲良くなるケースもあるのですか?
小森谷 もちろんあります。毎回イベントに来てくれているお客さんがいるんですけど、そのたびに友達を増やしていますよ。

WJS ショップ主催のイベントの魅力は何だと思いますか?
小森谷 まず、知らない場所で、気軽にジェットに乗れることですね。個人で知らない場所に行こうと思ったら、どこでジェットを降ろせるかも分からないですから。

WJS 個人だと準備も大変ですし、不安もありますよね。
小森谷 はい。でもショップ主催だとこちらで全て準備するので、不安になることはありません。それと、みんなで一緒に走るとルールやマナーが自然に身に付きます。徐行することがカッコ良く思えたりして意識が変わりますよね。

WJS シーマンシップですね。
小森谷 そうです。海を愛する人は、みんなマナーを守りますよね。でもルールを知らないと、悪気がないのに無法者になっちゃう。ルールやマナーをキチンと教えてあげれば、みんな幸せになれると思うんです。水の上でもマリーナでも、キチンとした立ち居振る舞いができる人は、カッコいいと思います。

冬もツーリングイベントを行い「ジェットは1年中乗れる」と、教えてあげたいと語る小森谷明子チーフ。

私、「冬は無理」ってずっと思っていたんです。でも、ドライスーツを着れば私でも行けるし、何より面白いんです

WJS ツーリングイベントでは、1泊2日という泊りがけの日程もありますが、これは何か理由があるのですか?
小森谷 小さいお子さんも来るから、1日だけだと、その日がダメになったらそれでおしまいでしょ。だから、1泊2日。予備日を取って、どっちも来ていいよっていうシステムにしています。1日だけ来てもいいし、2日間いてもいいので、自由度が上がりますよね。

WJS 参加者されるほうにしたら、自分の都合に合わせて来られる。日程にゆとりがあるので来やすいですよね。
小森谷 そうですね。それと、ウチのツーリングではジェットだけでなく、ボートも出しまます。万が一、参加者が「もうダメ」ってなったらボートに乗ってもらえばいいですから。その方のジェットは私が運転するシステムにしているから、「誰でも気軽に来てね」って言えます。小さなお子様も、ボートなら安心ですし。

WJS 逆に、イベントを開催する際に大変なことは何ですか?
小森谷 1泊2日の場合、ジェットが20台近く停められる宿を手配するのは大変ですね。

WJS 以前、ビーチマリン主催の試乗会で、お客さんが上下架も手伝ったり、自主的にいろいろと手伝ってくれると仰っていました。普通、お客さんは何もしないですよね?
小森谷 はい。1人じゃ私、何にもできないんで(笑)。お客さんも、何も言わなくても分かるんでしょうね。館山ツーリングのとき、しおりに「協力しましょう」って一言書いたんです。そうしたら、何も言わなくても、どんどんお客さんが積極的にやってくれたから、本当に助かりました。でないと、私とスタッフの2人だけでは、本当に無理ですもん。

WJS ビーチマリンのお客さんは、1年中乗る人が多いですか? それとも夏だけの人が多いですか?
小森谷 1年中乗る人が、少しずつ増えてきました。今までは、夏だけのお客さんが圧倒的に多かったんですけど、徐々に「ジェットは1年中乗れるものだ」っていう認識が強くなっているようです。

WJS それは、小森谷さんが冬もイベントを開くからですよね?
小森谷 それもあるかもしれませんが、何より、私がそう思ったから。私、「冬は無理」ってずっと思っていたんです。でも、ドライスーツを着れば私でも行けるし、何より面白いんです。冬の寒さを体感すると、夏にちょっと雨が降ったり、曇ったりしても、「なんてことない。全然、大丈夫」って思えます。

WJS 「冬もジェットが楽しい」って皆に知ってもらえるのはいいことですね。
小森谷 そうなんです。ここ何年も、11月に猪苗代湖で紅葉ツーリングをしていますが、これがとても美しい。猪苗代の紅葉は、もう絶景ですよ。

WJS コツコツとイベントを続けて来られて、参加者も増えているそうですね?
小森谷 はい。嬉しいです。やめられないし、もうちょっといろんなバージョンを増やしていこうかなって気もしています。でも、そこまで増やすと今度はショップの営業ができなくなっちゃうかもっていう心配もあって……。イベントの日だけじゃないんですよね、時間を取られるのって。その前段階、後段階と、やることはいっぱいあるから。でも、これからもいろいろイベントを考えていきたいと思っています。

WJS 先ほど、創業者のお父様にお話を伺ったとき、初冬の紅葉ツーリングは、「この寒いのに、よく行くよなあ」って、嬉しそうに仰っていましたよ。
小森谷 そうなんですか? でも、ある意味、ジェットショップのスタッフは「物好き」と思われてナンボですよね? 人生は一度きりしかないんですから、思いっきり楽しまないと損ですから!

道路からよく見えるショップ店内。ウェルカムな雰囲気が外観からも伝わってくる。

今は、ジェットに乗りに行くのではなく、これまでできなかったジェットのメンテナンスをしてもいい時間じゃないかなって思っています

WJS そうはいっても、この時代、新型コロナウィルスの感染拡大防止で、イベントを開催することもできませんね。
小森谷 はい。でも、「治まらなかったら大変なことだぞ」って思います。

WJS フランスのマクロン大統領が演説で、「我々は(ウイルスとの)戦争状態にある」と言っていましたよね。
小森谷 それに近くなっているっていう気は、ものすごくしています。私、あるおばあさんの話がすごく心に残っているんです。その話を聞いて、今の新型コロナウィルスの状態は、戦争に近いものを感じています。

WJS どのような話なのですか?
小森谷 娘さんとおばあさんがいて、新型コロナウィルスのニュースを見ていたら、おばあさんがとてもつらそうな顔をしていたので、娘さんが「おばあちゃん、そんなにつらそうな顔をしているけど、今まで生きてきた中で、一番つらかったことは何?」って聞いたそうなんです。そしたら、「そりゃあ、戦争だよ」って。「戦争があって、人間の命や家、食べ物も全部なくなっちゃった。今は、まだそういうのがあるでしょ」って。でも、今、徐々にそういうのが始まって来てると私は思う。危機迫る、こんなことってないですよ。空恐ろしいですよ。

WJS 世界中もそうだし、今は皆で協力して、一日も早く収束を目指すしかありませんよね。
小森谷 はい。たまに、お客さんではない人から「どこか乗れる場所はないか?」って問い合わせが来ることがあるのですが、今は我慢してやめておいてほしいなって。それなら、今までできなかったメンテナンスなんかをする時間じゃないかなって思っています。

WJS ご自宅のガレージでジェットを保管されている人にとっては、ある意味、いいチャンスですよね。コロナ禍が去ったら、すぐに乗りに行ける状態にしておけますしね。
小森谷 そうですね。ステイホームというわけでもないのですが、私も今、手作りマスクを作っています。裁縫って一度もやったことがないんですけど、スタッフや家族にあげようと思ってミシンを買ってやり始めたら、これが面白い。2日間、15時間くらいずーっとやりっぱなしです(笑)。全然、飽きないの。

WJS そのマスクをもらった方は、すごく嬉しいと思いますよ。そういうお話を聞いていると、やっぱりショップに行く一番の理由は「人」だとつくづく思います。その人に魅力があったら、そのショップに行きたくなりますよね。ビーチマリンに、お客さんが寄ってくるのも分かります。
小森谷 ありがとうございます。あとは、「笑顔でいる」とか。そういったものが、気持ちを明るくさせると思ってやっています。こんな時代ですが、皆で協力して乗り切って、また笑顔でジェットに乗りに行きたいですね。そのときには、ショップイベントもいろいろやりますよ。

家族やスタッフのために、手作りマスクを作っているという小森谷さん。「今、自分にできることをやろうと思います」と語る。

立体マスクは割と自信作という。

造り出したら、寝食を忘れるほど夢中になってしまうという。今の悩みは、耳にかけるゴムが手に入りにくいことらしい。

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