ここ数年、毎年恒例となった「大晦日の乗り納め」に今年も行ってきた。メンバーは、プロライダーであり、いつもお世話になっているジェットショップの加藤 豪店長(55HEAVEN)である。
例年なら、ここにあと何人か加わることもあるが、今回は新型コロナウイルス拡大防止のため、2人きりの「静かな乗り納め」となった。
乗るのはもちろん、愛艇「SX-R」だ。
今年は多忙を極め、SX-Rに乗る機会が激減した。そのせいか、いつもよりとてもツラく感じる。上半身にバカみたいに力が入る。背中はガチガチで、腕もすぐにパンパンになる。
しんどいと思いながら走り続けていると、だんだんとその気になってくる。ブイを曲がるたびに気分は高揚し、夕暮れどきにはすっかり「トップライダー」になりきっていた。
思いっきりアグレッシブにブイを攻めると、1回のコーナリングだけで、強烈に体力を奪われる。挑戦的な走りをしたことに、少しだけ……? いや、かなり後悔する。いつまでも乗り続けていたいのに、体が悲鳴をあげる時間が早くなるからだ。
夢中で乗っていると、気が付けば喉がカラカラだ。急いで陸に上がって水分補給。真冬なのに、自販機で買う「冷たいスポーツドリンク」の一気飲みが何よりのご馳走だ。
休憩後、もう1度走る。「ヤバい”俺”乗れてる!」調子に乗ってアクセル全開。案の定、最高速で吹っ飛んだ!。素敵な吹っ飛び方で首筋からもろにダイブした。瞬間、高性能ドライスーツの中に一気に真冬の冷水が大量侵入した。心臓麻痺で死ぬかと思った。水風船のような状態で30メートルほど先に浮かんでいる、SX-Rまで泳いだ。泳ぎながら、間抜けな自分を笑っていた。
冬の日暮れは早い。夕方、4時半を過ぎると急速に暗くなる。加藤店長と協力して、水面のブイを全部引き上げる。西に傾き始めた太陽に照らされながら、子供のころに戻ったみたいで、こんな作業もなぜか楽しい。
別段、特別なことはしないが、1年の感謝を込めてジェットスキーを念入りに洗う。最後の最後までスポーツだ。
いつもは取材で乗ることが多いが、今日だけは完全にプライベート。1年のうちで、こんなふうに思いっきりブイをまわれる時間はとても少ない。だからこそ、乗れるときは精一杯乗りたいと思っている。乗り終わったあとは、毎回、激しい筋肉痛だ。「自分の体は、進歩がないのか?」と思っていたが、最近は、昔ほど体が痛くならない。反面、昔ほど攻めた走りもしていない。
私も少しは学習したのだ。以前なら、全てのブイを全力で曲がっていたので、コースを2周走るのが精一杯だった。単に、加減を知らない(?)、加減ができない(?)からである。
今は全てのコーナーで緩急を付けながら走れるようになった。闇雲に曲がっても意味がないからだ。だから次の目標は、「どれだけ加減せずに曲がり、長時間走れるか」である。いつの日か、ガソリンワンタンクを全力で走り切れるようになりたい……。
スタンドアップは楽しい。
ランナバウトでツーリングに行くことも好きだし、仲間と最高速競争をするのも悪くない。
でも、自分のSX-Rに乗って、クローズドコースをまわることほど楽しい遊びを、私は知らない。歳を重ねても、これほど夢中になれるものはない。年末に汗だくになりながら、「何でこんなに辛いのに楽しいのか」を、つくづく考えさせられた。来年も再来年も、ずっと続けていたいと切に願う年の瀬である。
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