2021年に発売されるヤマハ・マリンジェットの完全ニューモデルは、4ストロークスタンドアップの「Super Jet(以下、スーパージェット)」である。
スーパージェットは、1990年に「初代・MJ-SuperJet 650」が発売され、時代に合わせてバージョンアップしながら2019年まで販売された。
この30年間で、3度の大きなモデルチェンジが行われたが、驚くべきは、「たった3回しか大きな変更をしてこなかった」という事実だ。いかに、基本設計が良くできていたかが分かるものである。
そして2021年、満を持して4ストロークスタンドアップ 「Super Jet(スーパージェット)」が発売された。
ランナバウト全盛のこの時代、ヤマハが4ストロークスタンドアップを投入したことは、このスポーツにとっても非常に大きな意義がある。
1989年10月、ヤマハは初めてのスタンドアップ「MJ-Super Jet(スーパージェット)650」の生産を開始。それ以来、サーフライド、フリースタイル、クローズドコースのレーサーをはじめ、スタンドアップユーザーを魅了してきた。
4ストロークエンジンを搭載し、船体もイチから設計をし直した全く新しいモデルなのだから、別の名前を付けても良かったのに、あえて2ストロークと同じ名を冠することで、全くの別モノではなく、スーパージェットのDNAを継承する「正統後継モデル」であることを示している。
今回、4ストロークエンジンを搭載したことで、排出ガス規制にも適合。琵琶湖をはじめ、環境面から2ストローク艇の乗り入れ禁止だった場所でも、大手を振って乗れるようになった。
バッテリーは、保守・点検時に便利な、補水メンテナンス不要の「メンテナンスフリーバッテリー」を新たに採用している。
「旋回をキメる小型軽量ボディの4ストロークスタンドアップモデル」をコンセプトに開発され、スポーツ走行志向のユーザーや、乗る楽しさを求める層をターゲットとしている。
国内では免許取得年齢の問題もあって難しいが、海外ではジュニアクラスレーサーも、対象としているという。
価格は1,391,500円(本体+法定備品を含む価格、税抜)、発売時期は2021年6月だ。
デリバリー後、各地で試乗会も開かれるだろうから、機会があったらぜひとも乗ってほしいモデルが誕生した。
新型スーパージェットのカラーは、ブルー系のクールホワイトを基調に、ブラックアクセントでボディデザインを強調したスタイリッシュさが特徴だ。
スタイリングのキーワードのひとつ「ファイター」は、特徴的なハンドルポールと本体のライン、そしてライダーの3つの要素で「三角骨格」を形成。
両側から、鎧のようにパネルを挟み込む「アーマー構成」でデザインされている。
「ラピッドスピード」の表現は、ボディを細かい面で構成し、繊細なパターンが付けられていることで、「俊敏性」を表している。
「ライトウェイト」は、ボディに凹みを作ることで、タイトな軽量感をデザインしているという。
上の写真は、1990年1月に静岡県の西伊豆で撮影された、 初代「MJ-Super Jet650」の試乗インプレッションのワンカットだ。スーパージェットは1990年にデビューし、2019年に、一度、その歴史は途切れたが、2021年から、4ストロークモデルとして甦った。
この写真のライダーは、飛野照正氏である。
ジェットスポーツが最も華やかだった1990年代前半、全米ツアーがアメリカ人だけが戦う場所とされていた。飛野氏は、「アメリカ人でなければ勝てない」と言われていた全米ツアーに、日本で初めて挑んだ日本人ライダーである。
全長 | 2,240mm |
---|---|
全幅 | 680mm |
全高 | 660mm |
エンジン | 2ストローク |
最大出力 | 50PS |
排気量 | 650cc |
乾燥重量 | 130kg |
燃料容量 | 18L |
価格 | 869,000円 |
エンジンが701ccにパワーアップした。
全長 | 2,240mm |
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全幅 | 680mm |
全高 | 660mm |
エンジン | 2ストローク |
最大出力 | 63PS |
排気量 | 701cc |
乾燥重量 | 132kg |
燃料容量 | 18L |
価格 | 858,000円 |
アッパーハルが変更された。
全長 | 2,240mm |
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全幅 | 680mm |
全高 | 660mm |
エンジン | 2ストローク |
最大出力 | 66/73PS |
排気量 | 701cc |
乾燥重量 | 132kg |
燃料容量 | 18L |
価格 | 858,000円 |
アンダーハルの形状がワイドになった。
全長 | 2,240mm |
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全幅 | 680mm |
全高 | 660mm |
エンジン | 2ストローク |
最大出力 | 66PS |
排気量 | 701cc |
乾燥重量 | 139kg |
燃料容量 | 18L |
価格 | 1,015,728円 |
新しいスーパージェットのスペックを説明するには、唯一のライバルである「カワサキSX-R」に、比較対象として登場してもらうのが分かりやすい。
レース全盛の時代だったら、後発モデルは、船体サイズも馬力も、より戦闘力を高くするのが当たり前だった。
しかし、今回発売されたヤマハの新型スーパージェットは、船体サイズをSX-Rよりも大きくするのではなく、できる限り2ストロークのころのスーパージェットに近づけ、「よりライディングの楽しみ」を追求したという。
SX-Rとのサイズ差を、下表で比較した。
スーパージェットのほうがSX-Rと比べて、全長で225mm、全幅3mm小さい。船体重量もSX-Rより80kg軽い170kgである。
馬力も、SX-Rの160馬力に対して、スーパージェットは101.4馬力だ。
これを見ても、2000年代前半までのような「レース重視」のモデルでないことが分かる。
もちろん、レースでも使ってほしいとメーカーは言っているが、馬力も船体サイズも違うので、SX-Rと同じ土俵で戦うのは厳しいと思われる。
スーパージェットの国内デリバリーは来年6月。
実際に乗っていないので、現時点では、あくまでスペックからの想像になるが、小さな船体を駆り、「人馬一体」となって走るのはかなり楽しそうだ。
余談だが、新型スーパージェットは、ロングサイズのハイエースに、中積みできるサイズである。
「ヤマハ2021年スーパージェット・開発秘話や開発への情熱・思い」への詳細は、無料公開中のワールドジェットスポーツマガジン2021年5月号でも掲載しています。これから購入予定の方は、ぜひ参考にしてください。
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