2020年のニューモデル「SEA-DOO(シードゥ)RXP-X 300」。2016年に従来の260馬力から300馬力にアップした。その際、エンジンのみならず、アッパーハルのデザインもスタイリッシュに変更された。このモデルの最大の特徴は、「誰でもプロライダーのような軌道で曲がれる」こと。RXP-X 300は、2人乗りとなっているが、間違いなく1人で乗ったほうが、このモデルが持つ本来のライディングの楽しさを味わえる。メーカーが作り上げた「リアルレーシングマシン」である。
RXP-X 300に搭載されているエンジンは、SEA-DOOで最も強力な「Rotax 1630 ACE」を採用。外部インタークーラーを利用したスーパーチャージャーにより、停止状態から、わずか3.8秒で時速96kmに到達する。胸のすくような加速感が味わえるモデルである。
人間工学に基づいて設計された、幅の狭いレーシングシート、角度の付いたフットウェルウェッジ、調節可能なステアリング(エルゴノミックステアリング)のおかげで、体をしっかりと固定し、マシンと一体化できる。深めのニーポケットがライダーを保持し、高い制御性を発揮する。ヒップサポートが付いているのはドライバーズシートだけなので、2人で乗るというよりも、1人で乗ることを想定しているのだろう。
2011年のワールドファイナルで勝利して以来、現在まで、国際大会で勝ち続けているRXP-X。その秘密は、このT3ハルにあると言っても過言ではない。レースを想定してデザインされたV字形状の深いハル。最大の特徴は、下ハルの全てが丸みを帯びていること。キールラインも丸いので、変に水に引っかかることなく、波間でも高速で旋回することができる。
最大3インチ(73mm)の垂直調整範囲を備えたステアリングシステムは、あらゆる体型のライダーが、ベストなライディングポジションを確保できる。
トップレーサーのようなコーナリングを実現させるため、効率的な設計がなされたスポンソン。ライディング環境に基づいた3つのポジションを選択できる。レジャーで使う場合は高く、シャープなターンがしたい場合は低く設定すると良い。スポンソンのサイドに装着されている羽根(ウィングレット)は、旋回中のリーンアングルを強化してくれる。
ハンドルバーの横に装着されている可変トリムシステム(VTS)により、ライダーの好みのノズルの角度に変更可能。水面の状態や、搭乗者人数によって走行姿勢を調整できる。ローンチコントロールシステムを搭載しているので、スピードに応じて、自動的にVTSを調整し、態勢を整えてくれる。
「iBRシステム」は、2009年にアメリカの沿岸警備隊から「船舶の安全性を向上させる装置」として認められている。このシステムは、現在、第3世代に進化している。ブレーキシステムのないPWCと比べて、停止距離が最大で48m短くなる。両手をハンドルバーから離さずに操作できる。
デジタルディスプレイは、モードの切り替えでさまざまな情報を呼び出せます。また、バックライトにより、あらゆる光源でも高い視認性を得られます。ディスプレイ画面が大きく、デジタル数字で表示されるため、走行時でも視認性が高いのも特徴です。
SEA-DOO独自のシステム。他メーカーでは水中から取り込んだ水でエンジンを冷やすが、SEA-DOOはクーラント液を循環させることで、エンジンを冷やす。このシステムにより、腐食や損傷の原因となる海水や遺物がエンジンに入り込むのを防ぐ。
全長 | 3,316mm |
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全幅 | 1,227mm |
全高 | 1,149mm |
エンジン | Rotax Engine 1630 ACE-300(SC) |
最大馬力 | 300hp |
排気量 | 1,630cc |
乾燥重量 | 384kg |
燃料容量 | 60 ℓ |
カラー | California Green Metallic & Black Eclipse Black & Lava Red |
定員 | 3名 |
価格 | 2,177,000円 |
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