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伝説のジェットスキー カワサキJS440に乗った日 (水上バイク)

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すべてはここから始まった。伝説のジェットスキー「JS440」

「JS440」とは一体、どんなジェットスキーなのか

今から43年前の1977年。初代ジェットスキー「JS400」のハルを改良した「JS440」が登場。「ヨンヨンマル」の愛称で呼ばれた。1982年に発売され、世界で20万台以上を販売した不朽のベストセラーモデル「JS550(ゴーゴーマル)」と合わせて「44/55」と一括りに呼ぶこともある。
44/55は、レースはもちろんのことレジャーユーザーにも熱狂的に受け入れられ、現在でもこの機種をこよなく愛するファンが多い。

前方左サイドには、「象鼻」と呼ばれた長い排気口があるのが特徴。JS440のエンジンは2ストローク2気筒で27馬力。今の4ストロークスタンドアップ「SX-R」が152馬力だから性能は推して知るべしだが、それを差し引いても余りある魅力がJS440にはある。

JS440のオーナー、村尾高明氏。彼はフリースタイルとフリーライドの全日本チャンピオンホルダーでもある。

令和の今、昭和の名機に乗る

今回、昭和57年(1982年)登録という、奇跡のように程度の良いJS440に試乗する機会を得た。これだけ状態がいいのだから、恐らく36年間ほとんど使わず、室内で大切に保管されていたものだろう。

写真左上:V字型のハンドルバーは、「チョキハン」と呼ばれていた。
右上:新艇を買ったら真っ先に取り付けた「ハンドルポールスプリング」(蛍光イエローのバネ)。これがないと、ハンドルポールが重くて長く乗っていられなかった。
左下:ガソリンのリザーブタンクの切り替えスイッチと、チョークが付いている。
右下:左が平成30年の検査済ステッカー、右が昭和57年当時のもの。昭和と平成が並んだ貴重なショット。

JS440が置いてあると、腕に自信のあるライダーが寄って来る

最初にマシンのコンディションチェックを兼ねて、20代前半の若手プロライダー・小原聡将プロが試乗した。コースを1周して戻ってくるなり、「コレ、壊れてます。いくら何でも遅すぎます」と言い切った。
それを聞いたオーナーの村尾氏が、「壊れてねえよ。これが純正ノーマルのヨンヨンマルなんだよ」と笑った。
たまたまその場に居合わせた、当時JS440でレースに出ていた岩森一也氏にも乗ってもらうことにした。感想は「まさに、本物のヨンヨンマル。素晴らしいコンディションだ!」と大絶賛。

最後に私が乗らせてもらった。確かに異常に遅く感じる。コーナーごとに転んでばかりなので、岩森氏にどうしたらいいのか尋ねたところ、「船体をあまり倒してはいけない。馬力がないから起き上がらない」とアドバイスをもらった。神経を使い、デリケートに乗ればジェットが応えてくれる。コースを1周するのに、いつも乗っているSX-Rの3倍以上の時間がかかる。しかし、不思議なことに楽しさは負けていない。

心の中で「これ、良いじゃん」と本気で思った。形はJS550と同じでも、JS440のほうがずい分と遅い。馬力もないけど、このJS440が好きだと思った。
「44/55」というくらいだから、JS550と乗り味も速度もあまり変わらないと思っていたのに、改めてJS440とJS550は全く違う乗り物だと分かった。JS440が「伝説の名機」と言われる理由が見えた気がした。

コンディションチェックを兼ねて小原聡将プロが試乗。戻ってきて、開口一番「コレ、壊れてます!」と言い切った。

現役時代、JS440でレースに出ていた岩森一也氏。遠目にも楽しんで乗っていることが伝わってくる。

スピードは遅いのに、スリルは最新のSX-Rと変わらない。そして、体のキツさも変わらない……。なぜだろう?

ライディングが下手でも上手でも、皆が笑顔になる名機・JS440。

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