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世界的 メジャー レースマシンブランド「ブレットレーシング」BULLETT Racingとは ジェットスキー(水上バイク)

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最速のレース艇を世に送り出し続ける、アメリカのアフターパーツメーカー「BULLETT Racing」

ブレットレーシングとは

近年、スキークラスの主流となっているのが、「ブレットレーシング(BULLETT Racing、以下ブレット)」製コンプリートマシンだ。ブレットというメーカーは、現在はレース用コンプリートボートも販売しているが、もともとハル(船体)の製造が本職のアフターパーツメーカーである。

1990年代初頭、アメリカでジェットスキーのレースが盛り上がってくると、当然、レース艇も進化する。エンジンだけでなく、船体形状の変更や軽量化への要望が高まってくる。それに応え、船体を製作していたのがブレットなのだ。この頃、ブレット以外にも、ウエストコーストやワミルトンといったアフターパーツメーカーも競ってオリジナルハルを製作していた。

日本のレースシーンにブレット製マシンが登場したのは1996年ごろ。そのころアメリカでは、軽量で丈夫なカーボン製ハルが使われるようになってきた。他のアフターパーツメーカーのハルは、速さを追求するあまり軽量化にこだわりすぎ、薄くて割れやすかった。それに対し、ブレット製は「割れなくて丈夫」と定評があった。当時、ヤマハのファクトリーマシンが、ブレッド製品を使っていたことからもクオリティの高さが分かるというものだ。



メーカーのニューマシン投入により、急激に変わり続けたスキークラス

今から15年前の2003年、スキークラスのレースシーンでは、ヤマハSuper Jetとカワサキ750SXi Proがしのぎを削っていた。それが、2003年にカワサキから発売された800SX-Rの登場により、レースシーンが一変する。戦闘力の高さから、皆が一斉に800SX-Rベースのマシンに乗り換えたのだ。

その2年後の2005年、レースのために開発された4ストロークターボ「ハイドロスペース」が登場。翌年に初勝利を挙げた。それ以降、ハイドロスペースが世界のレースシーンをけん引する存在となる。2ストローク艇と4ストローク艇の圧倒的な差を改善するため、2010年にレギュレーションが大きく変更された。

2ストローク艇については、同一メーカーの船体とエンジンを使用していれば、別機種のエンジンを搭載できるようになったのだ。つまり、同じカワサキ製なら、ランナバウトエンジンを800SX-Rに積めるようになった。この変更で、2ストロークと4ストロークが対等に戦えるようになり、ハイドロスペース一辺倒だったレースシーンが変わっていく。

2010年、ブレットはジェットスポーツ界のスーパースター、クリス・マックルゲージ選手(以下、マック)とタッグを組んだ。ブレット製ハルに2ストローク3気筒エンジンを搭載した800SX-Rベースのマシンを駆り、ワールドファイナルで3位に入賞。「ハイドロスペースでなければ勝てない」と言われていたスキークラスに一石を投じた。
3年後の2013年には、ブレットのコンプリートマシンを駆り、マックがプロスキークラスの世界チャンピオンとなった。

2013年、クリス・マックルゲージ選手が世界チャンピオンを獲得。

ブレット「V1」~「V3」までのマシンの軌跡

勝ち続ける「BULLETT Racing」

ブレットのコンプリート艇は、現在、ハル形状によって、「V1」「V2」「V3」「V4」の4種類がある。これは、時代の要望に合わせて進化を続けてきた証拠だ。

そして、新しい船体を開発するたび、世界タイトルを獲得してきた。昨年(2019年)のジェットスキーワールドカップでも、格段に進化した新型船体「V4」が世界チャンピオンに輝いた。

「V1」ハル・常勝神話の始まり

「V1」は、2013年にカワサキ2ストローク・3気筒エンジンを搭載するために開発された。「V1」のハル形状は、カワサキ800SX-R純正と同じで軽量となっている。3気筒エンジンを搭載しているが、インテークゲートの位置や形も800SX-Rと同じだ。エンジンは、埋め込まれた金属プレート上であれば、自分の好みの場所に搭載できるようになっている。

2013年に、「V1」でマックが世界チャンピオンを獲得。それ以来、世界のトップライダーが、こぞってブレットV1に乗り換えた。

アメリカの国旗を手にウイニングランを行うマック。

「V2」ハル・軽量V字型

「V2」の特徴は「軽量V字型ハル」。船体の素材は「AME5000」というエポキシ樹脂を使用している。これは、大型船舶や競技用のボートに使われている特殊なもので、軽くて強度が高い。

アクセルを開けると船体の前方が浮き上がり、すぐに滑走状態となる。接水面積を少なくすることで抵抗が減り、スピードが上がる。インテークゲートだけで水面に貼り付いているような走行姿勢となる。インテークゲートも純正より遥かに大きく、水の取り入れ口がランナバウトのような形状に変更。一度に多くの水をポンプに取り込むことができるようになった。

鋭く深いチャインにしたことにより高いグリップ力が得られ、旋回時の船体姿勢も安定した。エクステンションやリアスポンソンなど、走行姿勢を安定させるためのパーツも不要である。

2016年のワールドファイナルでは、ブレットレーシング製マシンを駆るライダーが上位を独占。フランスのジェレミー・ポレット選手が、GPクラスとプロクラスで勝利し、2冠を達成している。

2016年、「V2」ハルを駆るポレット選手が2年連続で世界タイトルを獲得した。

「V3」ハル・安定性を増した船体

2017年には、さらに進化した「V3」ハルを発表。船体を6インチ(15.24cm)伸ばして安定感を確保している。ブレット製のハルは、一般的に2ストローク3気筒用に設計されていると思われがちだが、実はエンジンマウントの位置を任意に変更できるので、エンジンルームにさえ収まれば4ストロークエンジンも搭載できる。こうした努力の積み重ねにより、2015年~2017年まで、3年連続でブレットレーシング製マシンがワールドファイナルを制した。

2018年のワールドファイナルは、カワサキSX-Rの登場によりプロスキークラスのマシン全体が変わってきた。エンジンのパワーアップにあわせて、安定性を上げた船体に改良してきているのだ。ポレット選手は前年と同様のV3ハルで出場したが、6位に終わった。

これは、他メーカーと比べてV3ハルはあまりにも船体が細い。外観からも、安定性に劣ることが判断できる。このときの結果が「V4」の開発に繋がり、2019年のジェットスキーワールドカップでの総合優勝となった。

2017年のワールドファイナルでは、進化した「V3」ハルでポレット選手が3連覇を達成。

2018年のワールドファイナルでは、カワサキSX-Rの影響で他のアフターパーツメーカーも大型化、安定化が進んだ。それもあってブレットレーシング「V3」ハルの連勝が途切れた。

【Break Time】 2019年ワールドファイナル前日のブレットレーシング・ファクトリー

2019年ワールドファイナルのジェレミー・ポレット艇。ブレットレーシング「V4」ハルを使用している。

「V4」は、2019年のワールドファイナルで総合2位となった。

レース前日のブレットレーシング。最終のマシンセッティングを行うメカニック。写真右下は、ファクトリーに来ていたジェレミー・ポレット選手。

ポレット選手自ら、マシンのデカールを貼っていた。写真右下はブレットレーシングのチーフメカニック・ラスティ氏。

2019年、タイで行われたジェットスキーワールドカップで使用したブレットレーシング「V4」。

このマシンで、ジェレミー・ポレット選手がジェットスキーワールドカップのタイトルを獲得した。

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