明石市民を悪質水上バイクから守るために、わずか1年で条例改正を行い「水上バイクの危険走行に対する懲役刑を含む条例」を施行した明石市の泉房穂市長。
ここ30年間の長きに渡って日本経済は低迷している。
日本のサラリーマンの平均年収は1997年の467万円が最高額、その後は現在までこの金額を上回っていない。2020年は433万円だ。サラリーマンの給料は1990年代よりも低い水準のままで、この30年以上にわたって増えていないのだ。
国民の所得が上がらないのに、物価は上がる。日本がどんどん「貧しい国」になってしまうのも当然ではないか。
そんな中で明石市は、9年連続で人口増加、「本当に住みやすい街大賞 2022 in関西」では第1位を獲得。ここ10数年で経済発展をしている。
明石市民の所得が増えたわけではないのに、様々な政治行政の手法によって“経済をまわしている”のだ。
今回、泉市長へのインタビュー3回目として、「なぜ明石市がここ10数年で急成長」してきたのか、他の市町村でも何ができるのかを語っていただいた。
―― 明石市は、今関西でも“住みたい街ランキング”のトップとなり、行政の“取り組み”が全国的にも注目されています。
泉 直近のアンケート調査だと91.2%の明石市民が「住みやすい」と答えた。でも僕は、「91.2」じゃなくて、「8.8」なんですよ。「なんで100ちゃうねん」と。
市長の責任としては、「91.2」がいいとは思わない。周りの職員は、「9割超えてすごい。ぶっちぎりに上昇しました」っていうんですけど、8.8%がまだ不満やねんから責任感じるわって。
ここまでやってんのにまだアカンのかと思って、その「8.8」の人に対する政治が必要なんです。
政治というのはハッピーではなかったり、課題を抱えている人に“対して”するものだから、そこの発想は大きいと思いますよ。
――岸田政権が国民の反対意見が多いなかで、安倍元首相の国葬を行いました。あれほどまでに多くの人々が反発した理由は何でしょうか?
泉 「“どっち”を見て政治をしているか」っていうのが大きくて、物事は何をしたところで100%の人が賛成・反対っていうことはなくて意見は割れるんですよ。
そのときに“どの立場”から“見ているのか”が大きい。自分の近くの「The 有力政治家」とか、そっち側を“見て”判断していて、国民の素朴な感覚に寄り添うような判断をしていないことを国民は見抜いている。「“誰のため”に“何のため”にするんですか?」って。
国民の税金を使うことを、自分の近くの有力政治家に協力を得るために使っているように見えるから、しんどいと思います。仮に使うにしても目線が違ったら反応も若干違ったかもしれませんね。
泉 私は、市長ではありますけど「一市民である」。荒っぽい言い方をしますと、常に自分は「弱い者と一緒」といいますか、自分自身がある意味少数者。
一種、弱者という意識があって、弱者の立場のものが、たまたまひとつの町のトップとして判断できる立場にいるだけで、目線としては何も変わっていない。
上から目線とか行政目線ではなく、声を上げたくても上げられない、声を上げても届かない立場の者が市長をやっているイメージかな。
―― 明石市が行っている「子どもの支援の話」も、聞いたときは夢みたいな話でした。学費がタダでいいの? 医療費がタダでいいの? そんなのできるの? って。でも、泉市長は最初から「絶対に大丈夫」と分かってやっていたのですよね?
泉 私18歳のときの大学で経済やってたので、実は経済に詳しいんです。それで、途中で転部して教育哲学だから、子ども目線なんですよね。加えて国会議員やってますやん。ついでに弁護士もやっている。
「経済のまわし方」って“2種類”あって、「売る側、物を“造る側”に金を出してまわす方法」。分かりやすく言うと、大企業への法人税減税。“物を売る方”を助ける。商店街のアーケード。こっちも一つの方法ではあるんです。間違っていない。経済のまわし方として、しかし日本は“そればっかり”やっているんですよ。
経済をまわすには、この“2つ”どっちかです。
日本があまりにも“こっち”(国民の負担軽減)をやっていない。売る側に金を出して“経済をまわす方法”を否定しません。でも、“こっち”だけじゃなくて、国民の負担軽減もいるでしょう。それを明石でやれば、そこのお金は必ず“生きたお金”になる。“まわる金”になると思った。
でももう1つあって、「物を“買う側”、国民、市民の側を助ける」。つまり負担軽減です。お金を使いやすくするんです。
「かかるで“あろう“費用」、特に子どもを無償化した場合、その減った分の“お金が“他で使われるから、「生きた金」になる。
負担が重い“市民、国民、特に子育て層”への負担を軽減すると、経済がまわるんですよ。
泉 それを日本では極端にやっていない。理由は簡単です。票にならないからです。
選挙の時に“商店街”が応援してくれる、“医師会”が応援してくれる、“大企業”はパーティー券買ってくれるとか、選挙で応援してくれる“業界団体”の方を向いた政治行政をやっているから、そっちの“経済のまわしかた”ばっかりやっている。
そっちじゃなくて、国民の方を見た政治行政をすればいい。そうすれば“経済がまわる”と思っていました。
泉 40年前からずっと言っていますけど、日本は“他の国”の”半分しか“子ども予算”を使っていない。異常です。
ほかの“どこの国”だって“日本の倍の予算”を使えているのに、日本だけが半分しか使えないわけがない。
昔は低かったけど、今は“消費税率”もあがり、介護保険も倍になり、日本の国民負担率が46%って“5割近い”んですよ。
世界から見ても、日本の国民って負担しているんです。ほかの国並みに負担していて、他の国の半分しか“子どもにお金を使えない”わけがないと思った。
私は明石市長になる前から、ほかの国と同じような「普通の予算配分」をしようと思っていました。普通の予算配分は何かというと、子ども予算を2倍にするのと公共事業費を見直す。ほかの国よりも、ほぼ倍近く公共事業にお金を使っているから。
泉 簡単にいうと、明石市は「世界のグローバルスタンダードの予算」に変えるだけで、何も変わっていない。
逆に明石以外の日本の予算構造が“歪に”子どもに冷たく、公共事業に“過度にお金を費やしている”から「普通にしたら」って。
お金については、他の国が“やれている”ことを明石だけが“できない”とは思わなかった。世界のグローバルスタンダードを見れば、当たり前にやっているんだから「当然できるよね」と思っていた。
「できる・できない」なら「できる」と思っていましたし、「できる・できない」じゃなくて「やる・やらない」が政治家だから、できない言い訳をする暇があったら「どうやったらできるか」を考えるのが政治家。
それは市長になる前からの考え方で「市長になったらやろう」と思っていました。
泉 効果が出るとは思っていたけれど「見える化」ができるかどうか、若干不安はあったんです。
私が市長になった11年半前の明石市と言うのは三重苦で、「人口の減少」「税収の赤字」「駅前は衰退状況」。
この3つが、この12年で全部ひっくり返っているんです。
「人口減少」は、私が子ども施策をした瞬間に上がった。
最初の2年だけが転換しなくて3年目から、9年連続、明石市は人口増です。
税収もいきなり黒字化した。それは、公共事業費の削減など、予算を見直したから。
でも、「見える化」という意味においては、人口が増えたり、税収が増えたって市民は実感しないんです。人口が増えたというのは役所目線。税収が増えても役所目線。市民目線じゃない。
市民からすると、人が増えたらゴミゴミするし渋滞するだけであって、人口増なんて嬉しくもなんともないんですよ。税収増も「お前ら楽していいな」っていうだけで、市が税収増であって、市民が増えていないから。
明石市の行政目線でいえば「人口増」「税収増」は実現しましたけど、これでは市民はリアリティがないんです。
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