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「インターネット取引の闇」“水上バイク”のショップ店長の嘆き。「楽しい“夏”が終わり、修理の依頼は多いけれど…」“悪の片棒”は担げない!

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「とりあえず、“ブーン!”といわせて」1度だけエンジンかけて

今の季節、ショップに壊れた水上バイクが持ち込まれたときに、よく言われるのがこの言葉だ。 「ブーン」とは、エンジンがかかる音のことである。

見た目の程度が良く、値段のつかない水上バイクがある。 主にネットで取引される『水没艇』だ。 “水没艇”とは、エンジン内部に“水や海水”が浸入したことのある水上バイクのことを指す。

まだそれほど乗ってないし外観もキレイなのに、さまざまな理由で「一度、水に沈んだ」ものだ。

こういう水上バイクは、ある一定の期間がくれば「必ず壊れる」。時限爆弾のようなものである。

一度水没した水上バイクの内部は、外観の美しさとは裏腹に、劣化の速度が早い。

夏が終わり、ちょうど壊れてエンジンが“かからなく”なる今ごろ、ユーザーはこの「水没艇」を売りにかかる。 彼らの持ち込む水上バイクは「時限装置付き、ババ抜きのババ」なのだ。




「いかさまの片棒を担いでほしい」と、水上バイク店が頼まれる季節でもある

「水没した水上バイクの素性」を知っているショップでは、下取り価格も“安く”せざるを得ない。 その下取り価格では満足できない持ち主が、ネットオークションで売ることになる。

しかし、ネットオークションで“売りさばく”ためには、エンジンがかからなくては話にならない。

そこで、ショップに水上バイクを持って行って「とりあえずブーンといわせて(エンジンだけかかればいい)」と言うのだ。




陸上でエンジンがかかっても、実際に水上で乗ってみないと、本当の“程度”は分からない

逆に言えば、「見てくれがキレイな高年式モデル」は、エンジンさえかかれば素人は騙される。

素人は、水上バイクの特性なんて知らないから、クルマと同じようにどこから見てもキレイな高年式艇であれば、「程度も良い」と考えてしまう。 買う前に「エンジンがかかりますか?」と聞いて、目の前で「ブーン!」とエンジンがかかったら、そのまま購入するかもしれない。

そしてまた一人、「生涯、水上バイクを楽しむかもしれない“善良なユーザー”」を失くすことになる。




おしなべて、年式だけでは測れないのが「水上バイクの中古艇」の恐ろしさ

優良なショップ店長たちは、そういったユーザーの心理をある程度分かっている。 もちろん、こんな詐欺まがいの片棒なんて担ぎたくもない。

しかし、「出来るだけ安い修理金額で、とりあえずエンジンが“かかるようにだけ”してください」と客から言われたら、ショップとして言えるのは「これだけは修理したほうが良い」というか、「ウチでは無理だから、他所でやってもらって」だ。

今年も「ブーンといわせて」の季節が始まった。

これが、『素人がインターネットでの“水上バイクの購入”はやめた方が良い』と、本誌が口を酸っぱくして言う理由である。

劣悪な水上バイクを手にすることなく、長く取引が出来そうな、信頼できる「お店」を見つけることが、このスポーツを楽しむ最も大切な要諦なのだ。







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