フリースタイルの世界では、日本人選手の評価が高く、またそれに見合うだけの結果も出している。現在、最強の絶対王者はイギリスのリー・ストーン選手だが、昨年末にタイで行われたジェットスキーワールドカップで世界タイトルを獲得したのは、日本の山本汰司選手(BUN FREESTYLE)である。
歴史を振り返ると、2003年に世界中のフリースタイラーから憧れられた、必殺のバレルロールで藤澤正雄選手が、2007年、2008年の2年連続でミスターバックフリップと呼ばれた渡部文一選手が、そして、2011年にマシンガンエアリアル、高速連続トリックで坂井田和明選手が、悲願のワールドタイトルを獲得している。
アリゾナの荒野のオアシス・レイクハバスは、レースだけでなく、フリースタイルの聖地でもあるのだ。
毎年10月にアメリカのレイクハバスで行われる「ワールドファイナル」では、レース、フリースタイルを問わず、世界ナンバーワンの称号を求めて、日本からはもちろん、各国から万全の態勢を整えて選手たちがやってくる。それらのチームの中で、「何が何でも世界タイトルを!」という意気込みで勝利を目指しているのが「BUN FREESTYLE」というチームだ。「世界一」という結果を、強烈に意識しているチームなのだ。
9月末にアメリカに入ってから大会当日まで、チーム員は「秘密の場所」でジェット漬けの毎日を送ることになる。
ワールドファイナルの決勝は、10月第1週の日曜日と決まっている。この日に照準を合わせて選手たちはコンディションを整える。それは、BUN FREESTYLEチームも同じだ。
マシンは、9月初旬までに完成させて、アメリカに送っている。選手たちは、9月末にアメリカ入りし、大会当日まで、ひたすらマシンセッティングとキラートリックの最終調整を行う。
我が取材班は、ワールドファイナル決勝前に、チームBUN FREESTYLEの選手たちの仕上がり具合を見せてもらうことが恒例行事となっている。アメリカに行ってから10数日間の「ジェット漬けの日々」のなかで、大化けする選手もいるから、この日が非常に楽しみなのだ。
上の写真は、チームBUN FREESTYLEの大会前の練習風景である。今年は一体、どんなニュートリックが生まれるのか。フリースタイルの進化は止まらない。
レイクハバスで見せた、山本汰司選手の完璧なダブルバックフリップ。
現在のフリースタイル界の絶対王者、イギリスのリー・ストーン選手
リー・ストーン選手が世界で初めて見せた、完璧なダブルバレルロール。2019年のワールドファイナルは、この技とダブルバックフリックの「ダブル技」で世界を獲った。
2003年 | 藤澤正雄 |
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2007年 | 渡部文一 |
2008年 | 渡部文一 |
2011年 | 坂井田和明 |
2008年 | 村尾高明 |
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2010年 | 塚本晴樹 |
2011年 | 和氣正季 |
2012年 | 坂井田和明 |
2016年 | 山本汰司 |
2019年 | 山本汰司 |
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