世界最高峰のフリースタイルマシンを製造する「BUN FREESTYLE（代表・渡部文一氏、広島県）」より、現世界チャンピオン、リー・ストーン選手（イギリス）が代表を務める「LEE STONE PRODUCTS」と、業務提携を結んだと発表があった。それについて、渡部氏に、「なぜ、業務提携を結ぶことになったのか」、話を聞いた。
WJS 今回、イギリスのリー・ストーン選手が代表を務める「LEE STONE PRODUCTS」と業務提携を結ばれたと聞きました。具体的に、どういった内容なのでしょうか？
渡部 ハハハ（笑）。業務提携という言葉だけが注目されているようですが、もともとは、今年のハバス（ワールドファイナル会場となっている湖）でリー・ストーン選手が、僕の「WABUZUN Z UFO」に乗って、「いいな」と言ってくれたことが始まりです。
そのときもリー選手とは話をしていたのですが、その時点ではまだ、どれだけ彼が本気か分からなかった。帰国してから、電話でいろいろと話していくうちに、ウチのWAZ（ワッズ）エンジンに対する本気さを感じ、その要望を聞いたのです。内容は、「エンジン、キャブレターのほか、マシンの動きに関する全てのパーツを提供してほしい」というものでした。私がそれを承諾すると、すぐに日本まで来てくれたのです。
WJS 今後、リー選手は、リボルバーの船体に、BUN FREESTYLE製エンジンを積むことになるのですよね？ どんなマシンになると思いますか？
渡部 メーカーとして、リー選手にエンジンを含めた駆動系のパーツを提供することになった。しかし、「リボルバー」という船体に「BUN FREESTYLE」のパーツを組み込んだらどうなるか？ という話は未知数です。ただ、ひとつ言えることは、リー選手は、リボルバーが今より良くなると信じて、今回、広島まで来てくれた。彼にもリスクはあります。今まで6年間、「エクストリーム」という企業からエンジンのスポンサードを受けて来た。その関係を切らないといけないわけですから。
WJS リー選手も、相当な覚悟で臨んだのですね。
渡部 その部分は、私も認めています。彼はスター選手ですし、実力も申し分ありません。その彼から名指しでスポンサー依頼を受けたという嬉しさもあります。しかし、これからどうなるのかは誰にも分かりません。
WJS 今回渡すのは、エンジン、キャブレターのほか、マシンの動きに関する全てのパーツなのですね？
渡部 はい。パーツを提供するにあたり、それに関係する全てのデータも同時に提供することになります。もちろん、提供したパーツを使って別の商品を開発したり、知らない他人が使用するのはダメですという約束はしています。そういう部分をキチンとクリアしたうえで、「パートナーシップ契約に基づく業務提携」という発表になったわけです。
WJS 単純に、リー選手を応援するというサポート的な話だけではなく、お互いのプラスという意味合いもあるのですか？
渡部 それは、ウチのメリットという話ですか？ リー選手が言うには、「イギリスとアメリカのマイアミでショップを経営している。BUNのエンジンを使用し、今まで以上のパフォーマンスを発揮すれば、BUN FREESTYLEのパーツが売れる」と言っています。
WJS 反対に、リー選手のメリットは何ですか？
渡部 BUN FREESTYLEのエンジンを使うことで、今までよりもっと、彼自身のパフォーマンスが向上することを期待しています。さらに、業務提携することによって、彼自身が日本に来る機会が増えると思います。ウチで主催する大会にも来てもらいたいし、ボートショーなどのビックイベントなども、もちろん来てほしいです。
WJS 日本でリー選手を見る機会が増えるのは、ギャラリーとしては喜ばしい話です。
渡部 そこでは彼も、自身のブランドであるLEE STONE PRODUCTSのマシンをアピールすることもできます。お互いに、WIN-WINの関係を築けていければいいと思っています。
WJS リー選手は、BUN FREESTYLEにとって最大のライバル選手ですよね？ パートナーシップを結ぶにあたり、葛藤はなかったのですか？
渡部 選手としての彼に何の不服もありませんし、逆に彼とだったら「やりたいな」と以前から思っていました。
WJS リー選手のどういう部分を、一番認めていますか？
渡部 フリースタイルのことが大好きで、フリースタイルに対して常に熱い情熱をもって、精一杯、取り組んでいるところです。それは、僕と同じです。だから、一緒にやって行くことは可能だと思いました。1年だけの単年度契約ではなく、長く一緒にやろうという話で契約を進めました。
関連記事
