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パルアップ ダーさんレポート 波を食らって右足を骨折しちゃいました ジェットスキー(水上バイク)

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こんなときだから事故に注意して下さい

ダーさんの実体験! 気が付けば骨折していました

パルアップ、ダーさんは、ツーリングの鉄人・斉藤さんのショップ、「パルアップ」のお客さんで、ミニ鉄人と呼ばれています。

今回、ダーさんから、「私は、過去に水上バイク(PWC、以下ジェット)で骨折したことがあります。とても恥ずかしい経験ですが、事故防止に一助になればと思い振り返ってみたいと思います。
現在は新型コロナウイルスの影響で、医療崩壊の危険性や整形外科の手術が後回しにされることが想定されます。なるべく、骨折など入院を要する事故は避けたいものです」というコメントとともに、今回のレポートが送られてきました。ダーさんのジェットスキーにまつわる「痛い」思い出です。

忘れもしない2018年6月9日のことです

パルアップ、ダーさん便り

あれは、一昨年(2018年)のことです。4月後半に新しいジェットの進水式を行い。6月の段階で、アワーメーターは26時間くらい。ちょっと「慣れ」が生じていた時期です。
この日は14時過ぎから乗り始めて、16時には片付けたかった。忙しい、弾丸スケジュールでした。

6月9日 当日の出来事 14時10分

パルアップを出港。エンジンは超絶好調です。(天の声:ダーさんフラグが立ちました。「好事魔多し」です)
行きの波は50㎝程度。通常の波です。約30分で須磨海岸に到着しました。

須磨海岸は、多くの人で賑わっていました。いつもと違うのは、ライフセイバーの方々が、海岸で救助訓練を行っていることです。(天の声:本日、2本目のフラグが立ちました)
アンカリング後、コンビニに行って、ビーチでボーっと海を眺めていました。ふと、「そういえば、今日は時間がないんだ」と思い出し、慌てて帰り支度を行いました。

須磨海岸(JR須磨駅前)。

ここで事故が起きました

15時ごろ須磨海岸を出発

JR須磨駅正面の防波堤間を出て、東に進路を取りました。 くどいようですが、エンジンの調子は最高です。多少、波が出てきましたが、大したことはないと高を括っていました。
アクセルを一握り。余裕で100km/hオーバーです。

須磨海水浴場の沖にある防波堤と防波堤の間の少し沖側に差しかかったとき、船首が急に持ち上げられ、ハンドルで顔面を打ちました。

アクセルを離せばよいものを、なぜかアクセルをさらに握りこみました(編集部注:ジェットの操縦で急発進や急加速など、「急」のつく行動はやめましょう。急にアクセルを戻すのもリスクがあります。何ごとも加減が大事です)。

さらに加速したと思った瞬間、ジェットから投げ出され、なすすべもなく水面を転がりながら落水しました。

ライフジャケットのおかげで自分の体は浮いています。呼吸は普通にでき、幸い意識も鮮明です。ジェットはどこ? と周囲を見渡すと、北北東方向10数m先に浮いていました。付けていたフェイスマスクは、ジェットと反対側に浮いています。

しかし、どんどんジェットは流されて、離れていきます。フェイスマスクはジェットに乗ってから回収しようと思い、泳ごうと足で水を蹴ったところ、右足首に「ズキッ」と痛みが……! 痛いけれど泳ぐことはできたので、何とかジェットに泳ぎ着きました。

乗り込もうとリボーディングステップに右足をかけた瞬間、激しい痛みと「体重を支えられない」という感覚があったので、左足をかけ、右ひざをデッキに付きながら乗り込みました。

何とか乗れました。キーを装着しエンジンをかけ、落とし物を探しましたが見つかりませんでした。右片足を浮かせて乗れば痛みはありませんので、諦めてそのまま帰路につきました。

出港後のルートと事故現場(出発から数分後の出来事)
(編集部注:ダーさんが事故にあったのは防波堤付近。防波堤は波を反射させる性質があり、加えて潮流が複雑に影響しあうので波が高くなりやすい。走るときは要注意)

小型船舶の転覆に関するメカニズムと対策について記載されています。ランナバウトではほとんど転覆しませんが、波の出やすいポイントなど参考になりました(出典:宮崎海上保安部―小型船事故防止のポイントより)

15時40分 パルアップに帰港

パルアップまでの道中、「ねん挫」であってほしいと心の中で何度も願いました。時速55kmくらいで走行可能だったので、行きと同じく30分程度でパルアップに到着しました。

地面を踏みしめた瞬間、右足首が前にずれ込み、体重が支えられません。骨折を確信した瞬間でした。
偶然にもその日、ケーシー小野さんこと小野医師が来店中でした。
小野先生は、私の姿を見るなり「RICE(RICE処置とは怪我のときの緊急処置。Rest(安静)、Ice(冷却)、Compression(圧迫)、Elevation(挙上)の頭文字。損傷の重症化防止や、機能回復を早める効果がある。しかし、怪我の程度や種類によりむやみに動かさないほうが良いときもある)」、「氷で冷やして!」と言って、直ぐに電話をかけ始めました。

土曜の夕方、どこの病院も外来はやっていませんが、何軒も病院に電話をかけて、整形外科の救急当番で、外来を行っている病院を探してくださりました。事故直後、適切な医療機関を受診できてよかったです。小野先生の迅速な対応に感謝御礼を申し上げます。

骨折の確定診断

パルアップの斉藤鉄人に、整形外科外来をやっている病院へ連れて行ってもらいました。レントゲンを撮ったところ、腓骨と脛骨が骨折していることが確定しました。家族がやってきたので、鉄人とバトンタッチしました。
骨折しているので、シーネで固定し、外来を後にしました。医師から「冷やすように」と指示がありました。

帰宅後、鉄人とスタッフの新上さんが、私の車を自宅まで持ってきてくれ、「2カ月もすればまた乗れるよ!」と励ましてくれました。

病院探しから入院へ

翌日の日曜日は、手術を行ってくれる病院探しです。骨折の手術は初めてです。できるだけ通院しやすく、実績のある病院を探すと、小野先生が最初に電話をかけてくれた病院が、手術実績豊富で、スポーツ整形にも取り組んでいることが分かりました。明けた11日月曜日に外来を受診し、そのまま入院です。

私の骨折は、脛骨(すねの太い骨で体重を支えている)が2つに割れ、腓骨(すねの外側の細い骨)が砕けるように折れており、とても珍しい症例とのことでした。すさまじい衝撃が加わった折れ方のようです。

入院したらすぐに、血液検査、CTと進みました。ベッドの上では、骨折した付近を心臓より高い位置に上げて、氷枕でひたすら冷やします。
患部を持ち上げて冷やす理由は、「皮膚の水泡防止」「腫脹の軽減と早期消退」だそうです。皮膚が水膨れになってしまうと、感染症の源になってしまうので手術ができません。ですので、上げて冷やす処置はとても重要です。

しかし、私はこの処置の重要性を知らなかったので、ケガをしてから入院するまで、冷やしたりしていませんでした。担当医師からは、「もし水膨れができてしまったら水曜日の手術は延期になる」と告げられたので、頑張って冷やしました。

手術から退院へ

6月12日 火曜日

麻酔科医師と手術時の麻酔と痛み止めについて相談し、下半身麻酔と鎮静剤を組み合わせる方法に決定しました。
全身麻酔との違いを詳しく教えてもらいましたが、気管挿管を行って呼吸管理をするかしないかの違いがあるようです。また下半身麻酔は、術中に意識があって音などが聞こえるそうですが、眠ったまま過ぎてほしいので鎮静剤のオプションを選択しました。除痛は最大限に行っていただくようお願いしました。

6月13日 水曜日

点滴の装着、弾性ストッキングを着用し、手術に備えます。 幸い、皮膚に水膨れはできませんでしたので、骨折した骨をボルトとプレートで止める手術を行いました。この日のことはよく覚えていませんが、麻酔などの影響で嘔吐したそうです……。

手術後のレントゲン撮影。ボルトとプレートが埋め込まれて骨が固定されている。皮膚はホッチキス止め。

6月14日 木曜日

フットポンプ、点滴終了。導尿管を抜去(翌日まで激痛が排尿ごとに襲いかかり、手術部位より痛かったです)。リハビリに関して、理学療法士と打ち合わせを行いました。傷口やギブスを濡らさないためのシャワーカバーを使えば、入浴も可能でした。

6月15日 金曜日

リハビリ開始。松葉杖を使って階段の昇り降りの練習などを行います。松葉杖を使った階段の昇降はとても怖かったです。

6月17日 日曜日

退院。医療費は50万円ぐらいで、自己負担は18万円程度だったと思います。

退院後の私……

6月21日 木曜日

手術時に固定したギブスを、切って外しました。8日間でもう外してしまうのか? と思いましたが、感染症の確認のため、早期に外すほうが良いそうです。シーネに変更、入浴時などは外せるようになりました。感染症もなく、傷は順調に閉じていきました。

6月26日 火曜日

外来受診にてホッチキスの除去(抜糸)とリハビリ。超音波骨折治療器セーフス開始。

超音波骨折治療器セーフス。

7月23日 月曜日

ようやくシーネを外します(シーネ装着中は通院期間とみなされます)。パルアップに行き、復帰計画を相談しました。このころには、松葉杖なしでも歩けるようになっていました。

リハビリから復帰へ 2か月での水上バイク復帰可能は本当だった‼

8月10日 金曜日

パルアップから淀川十三付近へ。近場で波がなさそうなポイントへ行きます。

8月11日 土曜日

六甲アイランドへジェットで釣りです。ひさびさのジェットフィッシングを行いました。

8月12日 日曜日

須磨海岸へ海水浴。アンカリングのみで、上陸はしませんでした。

須磨海岸から望む夏らしい青空。

事故から半年

8月下旬

台風被害のためパルアップが一時休止。ジェットに乗れませんが、この間はリハビリを行っていました。

9月

ショッピング保険などの手続きを行う。リハビリは適宜継続中。

12月

事故から180日(6カ月)経過。入院や通院の搭乗者傷害保険手続き。
アワーメーター39時間で、新艇の初年度シーズンオフ。スノーボードを10年ぶりに再開しました。

保険関連は、落とし物の一部は、クレジットカードのショッピング保険が適応されました。
船舶保険の搭乗者傷害保険が適応されたので、個室費用などに充当することができました。

最後に、今回の事故の原因を自分なりに考察しました

原因として考えられることや思うことを、思いつくままに書いてみました

  • 技量を超えたスピードを出してしまった
  • ラーニングキーが時速80kmに制限している理由がよく分かりました(おそらく事故が少ない)
  • ライフジャケットのおかげで、沈まずにすんでよかった(溺水死亡事故にならず、骨折ですみました)
  • ハンドルで顔を打ったとき、アクセルを放せばよかった(船体の挙動を制御できず、姿勢が維持できていない)
  • フェイスマスクを着けていたおかげで、歯を折ったり顔面骨折をせずにすみました(不意打ちだった)
  • ハンドル中央部がゴムでできているのは、事故防止のためだと実感した。余計なアクセサリーは危ない
  • 無理なスケジュールを組んでいた。(慌てて帰ろうとした)
  • いつもと違う「虫の知らせ」に耳を傾けなかった(いくつものフラグ」が立っていたのに……。これは、事後でないと分からないことですが……)
  • 適切な医療機関を受診できた(小野医師のおかげです)
  • パルアップの森澤店長は、ジェットを購入する際「高出力モデルは、速いがリスクを伴う」と言っていた。その理由を、身をもって知った。

事故の防止と対策

  • スピードを抑える
  • ライフジャケットを着る
  • 波の起こりやすい場所を把握する

大怪我をして思ったこと

今回は、事故防止で自分を戒めるために、自身の体験を振り返ってみました。事故に関して、耳で聞いていたり、講習で習ってはいるものの、理解と行動が伴っていなかったと、身を持って知ることができました。
骨折は生まれて初めての経験で、とても辛い思い出です。二度と事故はしたくないと思っており、原因究明と対策を考察中です。

「なんで事故が起こったのか?」「事故時、ジェットはどういう動きをしていたのか?」「どうしたら安全にツーリングが行えるか?」「乗り方で事故は防げるのか?」
以上の内容が整理できましたら、またご報告させていただきます。

ダーさんの豆知識 「ジェットの骨折リスクについて」

ジェットに乗っていて事故が起きた場合、死亡を含めた重大事故になることは教習でも習います。海難事故に関する情報は、海上保安庁から公表されています。こんな情報化社会なのに、「ジェットによる骨折」に関する統計や情報などは皆無です。

一般生活や、他のレジャーと比較して、ジェットに乗ることが骨折リスクに増加なるかどうかは不明です。ただ、日常生活やレジャーも含めて「足首の骨折」に焦点を当ててみると、意外と身近にあることが分かりました。
事例1:スキー板の解放設定がきつかった。または、ブーツのバックルが緩かったので固定不足で足首骨折。
事例2:道端で足首をひねって、ねん挫と思ったら骨折していた。(知人の実体験です)。
事例3:スポーツジムのスタジオで走っているとき、床に落ちていた汗でスリップした。そして、急にグリップが回復して倒れこんだところ、起き上がれず足を見ると、あらぬ方向に曲がっていた(私の目の前で起こった脱臼骨折の事例です。日ごろから熱心に鍛えている50代ぐらいの男性でした)。バイクでいう「ハイサイド・クラッシュ」のような出来事が、人体で起こったと予想されます。
他にも足首骨折の体験記を、ネットで見つけることができます。足首の骨折リスクは日常に潜んでいます。

レジャーでも普段の生活でも起こりうることなので、特段、ジェットが危険であるとは言えません。不意をつかれればスロースピードでも起こるので、注意のしようがないといえばそうですが、海の上を走る際、波などをしっかり見てスピードを落とすなど、自分である程度制御すれば事故の回避は可能です。

最後に、あるベテランのジェット乗りの方に骨折の話をしたところ「怪我をしなければ上手くならない」と教えてくださったのが、今回、事故を振り返るきっかけになりました。今後も安全で、事故や怪我のないように楽しみたいと思います。

謝辞/今回、斉藤鉄人、小野医師をはじめチーム パルアップの皆様に深く感謝しております。

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