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水上バイク(ジェットスキー)で旅をする タイ国の首都バンコクを流れる、チャオプラヤー川を走った日

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「チャオプラヤー川を水上バイクで走りませんか?」 それが旅の始まりだった

毎年12月に、タイでジェットスキーの世界大会が行われる。2020年はコロナ禍で開催されなかったが、水上バイク(ジェットスキー、以下ジェット)の国際大会として、非常に権威のある大会である。

タイでジェットは非常に人気があるスポーツで、レースはゴールデンタイムにテレビで生中継される。国営放送局やタイ航空、国営銀行、そして王族までもがスポンサーに名を連ねている。

チャオプラヤ川沿いのバンコクにある「暁の寺」。

チャオプラヤー川は、タイのバンコクなどを中心に流れる、タイ国内の大きな河川の一つである。
タイの首都・バンコクは、チャオプラヤー川を挟んで西と東に分かれている。政治、学問、宗教の中心は東側。もともと西側が都だったが、ラーマ1世の時代に、東側に遷都した。バンコクは、この川を中心に発達してき。主要な建造物は、全てチャオプラヤー川沿いに建てられている。

タイも現在はクルマ社会だが、かつては運河が発達した水の都だった。今でも「チャオプラヤー・エクスプレス」と呼ばれる定期船は、市民や観光客の大切な足として活躍している。

チャオプラヤー・エクスプレス。現在でも大切な足となっている。

チャオプラヤー川は、茶色いが、しかし、キレイな水だった

失礼を承知で言わせてもらうと、チャオプラヤー川の第一印象は、「茶色い水だし、あんまりキレイじゃなさそうだな」だった。ところが走り出すと、その印象はすぐに変わった。
確かに水は茶色い。けれど、透き通った茶色。「透き通った茶色」というのも変な言い方だが、非常にキレイなのだ。海と同じで、川底の色が水の色に反映している。川底は非常に細かな砂なのだ。

海から離れているので、潮の干満がほとんどないし、水面は穏やか。定期船や個人の小舟が頻繁に行き交っていても、川幅が広いのでひき波の影響はほとんど受けない。流れる景色も異国情緒たっぷりで、ジェットで走るには理想的な環境が揃っている。

川面は穏やかだ。ここでジェットに乗る場合は、小舟から十分な距離をとって、最徐行で引き波を立てないように走る。

タイでは、個人でジェットを所有している人は、いわゆる特権階級のお金持ちに限られる。そのため、川を走っていると川沿いを子供たちが裸足で追いかけてくる。憧れの目で見られることが非常に多いのだ。この国では、ジェットスポーツが、紳士の遊びとして認知されている。

川の両岸では、子供たちがキラキラした目でジェットが走っているのを眺めている。

この川自体が一種の「幹線道路」なのだろう。川に面して民家の玄関がある

昔から、バンコクは「東洋のベニス」と呼ばれる海上交通の盛んな都市である。観光客を大勢乗せた大型のクルーズ船が走っているかと思えば、昔ながらの木製の小舟に大量の白菜を積み、1人で航行してる老人など、さまざまな人たちがこの川を行き来している。

生活が、川と密着している。この川自体が、ここに住んでいる人たちの「幹線道路」なのだ。

川自体が「幹線道路」で、それを軸に、あたかも県道のように支流の水路が無数に伸びている。川沿いには民家が建っていて、川が住宅地にある道路そのものだった。
ジェットで走っていると、居間で寝っ転がってテレビを見ている人まで丸見えなのだ。家は水の中に建てられているので、船がないと出入りできない。人々は、この川で身を清め、この川の水で料理を作っている。チャオプラヤー川とともに生きているのだ。

夕暮れのチャオプラヤー川。玄関と川の高さが変わらないので、家の中が丸見えだ。

美食の国・タイ料理を食べる

世界三大スープのひとつ「トムヤムクン」をはじめ、豚や鶏など具やスパイスの種類も豊富なカレーや麺類など、タイの料理にはたくさんの種類がある。魚や果物、肉、野菜など、さまざまな食材が揃うタイは食の宝庫だ。市場に並ぶ新鮮な食材を「美味しく食べる」ことこそが、タイ料理の真髄とまで言われている。

しかも、日本の感覚でいえば、何を食べてもものすごく安い。「こんな美味しい料理が、この値段で食べられるの?」というのもタイ料理の魅力だ。さらにマンゴー、パパイヤ、ランブータンにマンゴスチンなど、1年中豊富な果物が食べられるフルーツ王国でもある。

美食の国・タイ。食卓には美しい料理が並ぶ。何を食べても美味しい。

レストランへは船で来て、川から入る

川沿いのレストランは、水上から入店しやすいように桟橋と階段が設置されている。来店者は、まるで駐車場に車を停めるような気軽さで、桟橋に船を停めてレストランに入っていくのだ。駐車場ならぬ、駐艇場。バンコクではこれが一般的で、それだけ水上から来る客が多いのだろう。

海鮮レストランの入口には、「海の魚」「淡水魚」「水中動物」と、魚図鑑をそのまま丸写しにしたとしか思えない3種類の大きなポスターが貼ってあった。もちろんタイ語だ。描かれている魚も100種類ではきかない。
レストランのメニューは海洋図鑑にしか見えなかったが、全てここで食べられる食材である。好きな魚を選べと言われても、種類が多すぎてよく分からない。

オーダーは全て同行したタイ人ライダーにお任せにして、食べるほうに専念することにした。エビを中心にしたタイフードは奥深い辛さで、どれもこれも本当に美味しい!
食べ物に不自由しないタイには美食家が多い。だから、美味しい料理を出さない店は、たとえ屋台でもすぐに潰れてしまうという。タイで食べるご飯にハズレはない理由が分かった気がした。

レストランには、専用の桟橋が用意されている。船で来ることが当たり前だと分かる。

バンコクの夜景は「100万ドルの夜景」とも称されるほど有名だが、夕暮れも負けず劣らず美しい。特に、バンコクの代表的な寺院「ワット・アルン」が夕日に照らされている様は、幻想的である。

都市なのか、田舎なのか……。全てを包み込む偉大な川だ。

川沿いに建つたくさんの寺院と、オレンジ色に照らされたチャオプラヤー川を走っていると、「神様はここにいる」と感じる気がした。
夕闇が迫っていても、同行したライダーたちは、一向に焦る気配がない。この国は日本と違って、夜でもジェットで走って良いのだ。

夕闇が近づいても、まだバンコクの市街地にたどり着かない。
一体どれだけ遠くまで走ったのだろうか。行く手に見える高層ビルの灯りが、満天の星のように輝きを増し始めたころ、ようやくスタート地点に戻ってきた。

夕暮れのチャオプラヤー川。「神様はここにいる」と感じる瞬間がある。

日本なら日没までしか乗れないジェットも、タイでは時間的な制約は一切ない。実際にやるかどうかは別として、望めばライトアップされたビル群を見ながら一晩中だって走ることができるのだ。

「東洋のベニス」と呼ばれ、「天使の都」という名前を持つバンコク。チャオプラヤー川とともに発達してきたこの都市は、水と人の距離が非常に近い。
運河沿いにジェットを走らせると、川で体を洗っている人と目が合う。家の中で放映されているテレビ番組が見える。生活の場と水辺からの目線が同じ高さである。

乗合船は、常に満員だった。

その一方で、上を見上げれば世界的に有名な最高級ホテル、ペニンシュラ・バンコクやザ・オリエンタル・バンコク、シャングリ・ラ・ホテルをはじめ、超高層ビルが並んで建っている。近未来と昔ながらの庶民の生活が同居する。このギャップがバンコクという都市なのだろう。

チャオプラヤー川は、タイという国にとって母なる川であり、生活から切り離すことはできない。100年、200年、いやもっと前から変わらぬ生活を続けていながらも、未来に向けて発展していく若々しい活力に満ちているエリアでもあるのだ。
エネルギッシュで混沌として、それでいてどこか懐かしいこの街は、そこにいるだけで、今、自分が地球上で生きていることを実感できる場所なのかもしれない。

チャオプラヤー川は、生活から切り離すことはできない母なる川だ。

うらやましいタイの「ジェットのイメージ」

日本と違って、タイでジェットのイメージはとても良い。
この理由は、乗っている人の違いだ。タイの物価は、日本の1/3~1/5といわれている。タイでジェットのフラッグシップを買おうと思ったら、日本円にして約1,000万円の価値がある。いわゆる「セレブ」と言われる人しか買えない乗り物だ。

タイのセレブは、ノブレス・オブリージュを始めとする、貴族教育を受けた人格者が多い。人格の違いが、イメージの違いに繋がっているのだ。
国によって、ジェットに対するイメージは全く違う。タイがうらやましくなった。

タイで、ジェットは誰もが簡単に買える金額ではない。お金持ちだからではなく、きちんとした教育を受けた人が乗っている。


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