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10月号・巻頭コラム　―「ブーン」と言わせて！―

ショップ店長の嘆き！　「楽しい“夏”が終わった」。我に返ると…

LET ME SAY"BOOM"!

「とりあえず、“ブーン！”といわせて」。
今の季節、ショップにジェットが持ち込まれたときに、よく言われるのがこの言葉だ。
「ブーン」とは、エンジンがかかる音のことである。

見た目の程度が良く、値段のつかないジェットがある。
主にネットで取引される『水没艇』である。

“水没艇”とは、エンジン内部に水や海水が浸入したことのある水上バイクのこと。
まだそれほど乗ってないし外観もキレイなのに、さまざまな理由で「一度、水に沈んだジェット」だ。

こういうジェットは、ある一定の期間がくれば「必ず壊れる」。時限爆弾のようなものだ。

一度水没したジェットの内部は、外観の見た目の美しさとは違って、劣化の速度が早い。
夏が終わり、ちょうど壊れてエンジンがかからなくなる今ごろ、彼らはこの「水没艇」を売りにかかる。
彼らの持ち込むジェットは「時限装置付きの、ババ抜きのババ」なのだ。

「いかさまの片棒を担いでほしい」とジェットショップが頼まれる季節

こういった「ジェットの素性」を知っているショップでは、下取り価格も“安く”ならざるを得ない。
その下取り価格では満足できない持ち主が、ネットオークションで売ることになる。

ネットオークションで売りさばくためには、エンジンがかからなくては話にならない。
そこで、ショップにジェットを持って行って「とりあえずブーンといわせて」と言うのだ。

逆に言えば、「見てくれがキレイな高年式モデル」は、エンジンさえかかれば素人は騙される。
素人は、ジェットの特性なんて知らないから、クルマと同じようにどこから見てもキレイな高年式艇であれば、「程度も良い」と考えてしまう。
買う前に「エンジンがかかりますか？」と聞いて、目の前で「ブーン！」とエンジンがかかったら、そのまま購入するかもしれない。そしてまた一人、「生涯、ジェットを楽しむかもしれない善良なユーザー」を減らしてしまう原因となる。

優良なショップ店長たちは、そういったユーザーの心理をある程度分かっている。
もちろん、詐欺まがいの片棒など担ぎたくない。

しかし、「出来るだけ安い修理金額で、とりあえずエンジンが“かかるようにだけ”してください」と客から言われたら、ショップとして言えるのは「これだけは修理した方が良い」というか、「ウチでは無理だから、他所でやってもらって」だ。

今年も「ブーンといわせて」の季節が始まった。
これが、『素人がインターネットで水上バイクの購入はやめた方が良い』と、本誌が口を酸っぱくして言う理由だ。

ワールドジェットスポーツマガジン「2022年10月号」

特集1　クエーキーセンスの新作・ドライスーツ

クエーキーセンスの新しい「ハイクオリティ・ライン」から、「ドライスーツ」が登場。「着るコダワリ！」機能と素材に“妥協”はない。
ジェットだけでなく、サーフィンやSUPボードなど、マリンスポーツ全般に使えるハイテクノロジースーツだ。

今からの季節、我々ジェット乗りに「ドライスーツ」がなければ、何も始まらない。

特集2　「FISH PRO Trophy／Scout」で釣りに行く理由

SEA-DOO艇を自分でも所有し、SNSを通じて遊び方を発信している、愛知県尾張旭市のジェットショップシーゲッツ・西本茂隆店長。
編集部は、彼の説明を非常に信頼している。
普通のSEA-DOOディーラーとは違い、自身でもジェットを使いこなして遊んでいるからだ。

今回、西本店長に「2022 SEA-DOO FISH PRO SCOUT/TROPHY」の解説をお願いした。本当にユーザーの側に寄り添った、ためになる彼独特の“役に立つ”説明を掲載している。

専用モデルには、そうでなければならない「理由」が存在している。

特集3　FISH PROの新しいカスタム「パンダ・エディション」

写真上が純正のSEA-DOO「FISH PRO Trophy」。下が世界に１台きり、純正をベースにしたサクセススピード＆グラフィックスのオリジナルカスタム「PANDA Edition」である。

「フルグラフィックデカールキット」で知られている「サクセススピード＆グラフィックス」が、「FISH PRO Trophy」をベースに、オリジナルマシンを製作した。その名も「PANDA edition」。

世界で最もスポーティな「FISH PRO」の純正カスタムを紹介する。お客様が笑顔になることを考えた唯一無二のオリジナルモデルである。

このジェットのオーナーは、スポーツモデルが大好きで、パンダも大好き。そこで店長の佐瀬崇氏が、オーナーの意向を汲んでパンダのイラストデカールを作成したという。
さらに、RXT-X300とGTX LIMITEDの純正の外装パーツを上手く組み込み、ツートンカラーの船体にオリジナルのデカールをセンス良く配置した「世界で1台のカスタムモデル」を製作した。

あくまで格好良く、よく見るとカワイイ。そんなモデルだ。