夏のシーズンが 終わり、水辺には 誰もいなくなる 季節が 到来。
世間から、悪口を言われる ジェットだが、格好良く 乗りこなせるようになると、イメージも 変わる。
300馬力オーバーのハイパワーモデルに、“週末しか 乗らない”レジャーユーザーが 乗ると、どうしても「 しがみついてる感 」が 否めない。
ならば、「 格好良く 乗りこなす コツは あるのか? 」と、聞かれれば「 ある 」と 答える。
ひたすらジェットに「 乗ること 」だ。
乗り倒して、マシンの 特性を 体に覚え込ませれば、しがみついてる ようには 見えなくなる。
せっかく 高額な ハイスペックモデルを 買ったのだから、まわりの 皆から「 格好いい 」と 言われて ほしい。
これは、我が業界の“最重要 課題”だ。
大袈裟では なく、「 ジェットに 乗っている ヤツは ダサい 」と、世間から 思われている。
全員が ダサくて、マナーも 悪い。
見た目も オラオラで、近寄ると 危険で凶暴。
こんな イメージを 持たれているから、「 世の中から 消えてなくなれ 」と 言われてしまうのだ。
◆
本誌の読者で あれば、マナーや ルール、立ち居振る舞い には 何の 問題も ない と思う。
問題は、「 格好 いい 」という 部分だ。
新艇を 買ったはいいが、夏の 週末にしか 乗らないのなら、その人の 乗り方は「 ダサい 」と、思って 間違いない。
今の ランナバウトは、座って アクセルを 握れば 時速100キロ オーバーは 余裕だ。
だから、「 自分は 格好良く 乗っている 」と 誤解する。
まわりから 見れば、へっぴり腰で ジェットに しがみついている だけなのに……。
誰が 見ても 格好いい 乗り方を 習得するには、これからの季節、 「 冬場 」 が 重要なのだ。
ジェットの 遊び方は、各自の 自由だ。
週末に、家族や友人を 楽しませるための「 バーベキュー&ジェット 」を 非難する つもりは 毛頭ない。
操縦が 不慣れでも、周囲に 気を使って、安全に 遊んで いるなら 誰の迷惑にも ならない。
問題は、“誰が 乗 っても”最高速が 出てしまうこと。
上級者からすれば、そんな ジェットは「 凶器 」以外の ナニモノでも ない。
◆
世間の ジェットバッシングは、“誰が 乗っても 最高速が 出る”ことが、大きな影響を 与えていると 思っている。
メーカーは、誰に でも 簡単に 乗れるように 開発を してきた。
その結果、「 人間 凶器 」となる ドライバーが 生まれてしまった。
クルマだって、運転している姿を 少し見ただけで、上手いか 下手かは 一目瞭然で 分かる。
ジェットも 時速100キロ オーバーで 走行するなら、それに 相応しい ライディング フォームで 走ってほしい。
自分の子供が 遊んでいる 水辺で、猛スピードで 走り回る 下手くそな ジェットなんて みんな 大嫌いだ。
そんな人が スピードを 出している 姿は、赤の他人から 見たら 嫌悪感と 恐怖心 しかない。
そういう人に 限って、「 俺の ライディングは 上手い 」と 自分自身では 思い込んでいる。
しかし、そんな人が 近づいてきたら、みんなが 恐がる。
「 大きな お世話 」では すまされないからだ。
本誌を 読んでいる人は、「 ルールと マナーを 守っている 」と 信じている。
しかし、他人が 見て「不快」と 感じるケースは 多々ある。
「 あんな ジェットが こっちに 向かって 来たら 嫌だ 」。
「 突っ込混んで くるかも…… 」と 思われた 時点で、そのジェットは「 不快 」でしかない。
要するに、無意識に 危険を 感じる からである。
◆
上級者が スピードを 出して いても、誰も 不快とは 思わない。
それは、完全に マシンを 支配して 乗っている からだ。
初心者や 技量不足の人ほど、乗っている 自分の姿が 想像できない。
後期高齢者の 運転する 軽自動車が、猛スピードで 走り回って いたら それは 恐怖で しかない。
もし、あなたが 年に 数回しか 乗らないのに 浜辺の近くで、最高速で ブッ飛ばして いれば、その姿は 後期 高齢者 が 暴走する 軽自動車 そのものだ。
誤解しないで いただきたいのは、「 ジェットに 乗るな 」と 言っているのではない。
「 他人に 不快だと 思わせないで ほしい 」という 話である。
他人 から 見て「 あの人は 安全 」と 思われれば それでいい。
夏に よく見る「 お前、危ない 」と 感じさせる ジェット乗り たち。
近寄りたくないし、「 こっちに 来るな 」としか 思わせない その姿は、「 走る 迷惑 」と 我々は 呼んでいる。
◆
以前、ニューモデルの 撮影で、こういった 人たちと “ぶつかった” ことがある。
彼らは 遠くに いたはずなのに、急に 目の前に 現れたのだ。
事故後、「 さっきまで あんなに 遠くに いたのに、どうして 急に 近寄ってきたの? 」と 聞いた。
「 走りながら 撮影を 見ていたら、 吸い寄せられた 」と いうのだ。
彼らは、この日、初めて300馬力の 新艇を 降ろしたばかり で、「 悪気は なかった 」と言った。
それ以来、そんなジェットを 見ると 撮影を 中断して 彼らが 遠くに 離れるまで 待つように している。
同じ 水面にいると、怖くて 仕方がない。
ランナバウトは 乗り手の 技量が なくても、水面次第では 最高速度で 走れる。
初心者ほど「 とんでもない 速度 」で 走りたがるし、まわりも 見えて いないのだ。
ライディングが 上手く なりたければ、「 スタンドアップ( 立ち乗り ) 」の 練習が 最良の近道。
ご存じの通り、ジェットは 船底の スコープゲートから 水を 吸い込んで、ジェットポンプで 噴射する 勢いで 進む。
これは、立ち乗りでも ランナバウトでも 同じ原理だ。
どれだけ 波があろうと、「 常に スコープゲートから 水を 吸い込ませる 」のは、“テクニック”以外の ナニモノでも ない。
よりそれを 体感できるのが、船体の 小さな スタンドアップだ。
だから、ランナバウトよりも スタンドアップで 練習するほうが、基本を 習得しやすい。
その証拠に、世界大会の 歴代 ランナバウト チャンピオンは、皆、スタンドアッパーでも ある。
日本が誇る ランナバウト 絶対王者・砂盃 肇 選手は もともと550時代からの ライダーだし、今年のシリーズチャンピオン・奥 拳太 選手も スキークラスに参戦していた。
どんな ジェットであろうと、“立ち乗り”が 上手く 乗れる人は、何に 乗っても 速く走らせる ことが できるのだ。
あなたが 今、ランナバウトで ツーリングを 楽しんでいるなら、冬場には「 スタンドアップ 」に乗ってみて 欲しい。
ランナバウトは、ドベタの 平水なら 誰でも アクセルを 握れば 最高速が 出せるが、スタンドアップでは いきなり 最高速は 出せない。
理由は、「 途中で 転ぶ 」からだ。
バランスを 崩したり、自分が ビビったりと、転ぶ 理由は さまざまだ。
逆にいえば、スタンドアップで 最高速を 出すためには、そういった 課題を クリアする 技量が 必要となる。
◆
よく見れば、“立ち乗り”出身の ランナバウト チャンピオン たちは、ランナバウトに 乗っても スタンドアップと 同じ フォームで乗る。
立ち乗りで 最高速が 出せるようになれば 上達した 証。
思い通りに 曲がれるようになれば 立派な「 上級者 」だ。
ジェットの 楽しさは 人それぞれ だとは 思うが、ジェットが「 スポーツ 」で あるならば、上手くなった方が 楽しいのは “自明の利”である。
それには 真摯に ジェットと 向き合う 必要があり、楽しさだけでなく、苦しさも 同時に 経験する ことになる。
「 スポーツ 」の楽しさには、その「 苦しさ 」も 含まれている。
ジェットを「 スポーツ 」というなら、「 自分の 思い通りに 走らせる 」ことが、究極の 楽しさだ。
ランナバウトしか 乗らなければ、その「 究極の 楽しさ 」を 見つけることが 難しい。
技量がなくても、最高 速度が 出せてしまう からだ。
よく、“ 俺は昔、ジェットをやってた人”という人ほど、「 ジェットは 2年で 飽きる 」と、さも“何でも知っている”かのように 豪語する。
しかし、上級者から すれば、その人は「 ジェットを 思い通りに 操る 」という、本当の 楽しみを 知らずに この スポーツから 去ってしまった 可哀想な人 なのだ。
現代の フラッグシップは300万円以上する。
それだけの 金額を払ってランナバウトを 購入したのに、その魅力も 本質も 味わう ことが できなかった「 残念な人 」である。
立ち乗りは、練習を重ねて ようやく 乗れる ようになる。
その技術を ランナバウトに 使うことで、より マシンの性能を 引き出せる ようになる。
この 面白さを 知らずに、ジェットを 語るのは“愚の骨頂”だ。
転んでも、しょせん 水の上。
陸上のように、ケガを することもない。
転んだ だけ 上手くなる。
しかも、今の時期なら ゲレンデにも ビーチにも 人は いないから、誰に 笑われる こともない。
上手くなる 絶好の シーズンだ。
本誌は、あえて 声を 大にして 言いたい。
「 今年の 冬こそ、スタンドアップに 乗ろう! 」
このスケッチ画は、神奈川県鎌倉市の ジェットショップ「 SPLASH TOYS 鎌倉 」の 城戸 明穂 店長が 描いた ものである。
別件でSPLASH TOYS 鎌倉を 訪れたとき、これらの イラストが 描かれた スケッチブックが、机の上に 無造作に 置かれていた。
「 これは 何ですか? 」と聞くと、「 お客さんに 頼まれた ジェットの カラーリングや、たまたま 思い付いた アイデアです 」と、照れくさそうな 城戸氏。
それを見て、「 この人は、本当に ジェットが 好きなんだな 」と 感じた。
こんなに ジェットが好きな 店長がいる店が、悪い はずがない。
日本全国、ジェットショップは たくさん ある。
だけど 私は、「 ジェットが 好きなお店 」から 買いたいと、城戸店長を 見て 思ったのだ。
ワールドジェットスポーツマガジン「2023年 12月号」まるごと1冊・無料公開中!
【関連記事】
2023年 ヤマハ Wave Runner(マリンジェット) ニューモデル国内全モデルラインナップ
2023年 BRP SEA-DOO(シードゥ)ニューモデル国内全モデルラインナップ
2023年 カワサキ ジェットスキー ニューモデル国内全モデルラインナップ
危険走行で刑務所へ! 明石市長、水上バイク危険運転に「懲役刑」の方針! 全ては市民の命を守るために
「悪質で危険・愚かで悲しい!」「水上バイク問題」究極の「解決方法」とは?