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優勝マシンビルダー「片山強司氏インタビュー」aquabike 第4戦 蒲郡大会

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「全ての領域、初速、中低速、最高速で勝てる」マシン造りのために
コンストラクター・片山強司氏が語る

WJS 片山 司選手の優勝、おめでとうございます。それにしても速いマシンです。ホールショット連発でしたね。
片山 ようやくです。

WJS 「速いマシン」を造るための秘訣があったら教えていただけますか?
片山 常日ごろの努力です。細かいことの積み重ねで、少しずつ前に進む感じです。本当に、細かいことの積み重ねです。

WJS 以前、「エンジンは1年間、そのまま使いきる。仕様変更はしない」と仰っていました。日々の積み重ねということは、毎回仕様が変わるのですか?
片山 エンジンそのものは、何にも変わりません。でも、セッティングが毎回違います。僕が欲しいのは、実戦のデータです。

WJS ライバルのマシンスピードが分からないということですか?
片山 そうだけど、違います。分からないのは、「実戦での必要速度」です。仮に、タケちゃん(竹野下正治プロ)のマシンが最強だとしましょう。でも、その実力を知るには、レースのとき、隣のグリッドで一緒に走るしかないのです。「スタートから10mくらいは俺のほうが速いが、15mくらいで追い抜かれる」とか、最高速は測れても、初速、中低速などのスピードは計測できないから。

WJS 「実戦で競い合い」、「ライバルたちとの違いを確認して、改善する」ということですか?
片山 そうです。「初速が速い」とか、「中間速で速い」というような抽象的な概念ではなく、ライバルたちのエンジン特性を徹底的に見極め、初速、中速、最高速の全ての領域で、ライバルよりも少し速いマシンにするのです。

WJS 例えば、抽象的に「スタートダッシュがいい」とかいうマシンではなく、的確に、5m、10m、20m、1ブイまでと、全てのスピード領域で相手を上まわることが必要ということですか?
片山 その通りです。ご存知のとおり、初速が良ければ最高速は犠牲になる。レースですから、初速も最高速も全てで相手を上まわろうとするなら、現実問題、相手のエンジン特性と同じセッティングにするしか方法がありません。相手も必死でエンジンを造っているわけですから、同じレギュレーションのなかで自分のほうが技術的に上まわったとしても、セッティングで戦闘能力が発揮できなければ意味がない。だから、「最強のエンジン」を最初に作って、「ライバルのエンジン特性」を知り、その「特性を全ての領域で上まわるエンジンセッティングをする」。これが重要なのです。

WJS 最良のエンジンを造っても、相手のエンジン特性を知らなければ、意味をなさないのですね?
片山 その通りです。それは、実戦で相手が本気で走るときにしか分かりません。だから、土曜日の予選などは、「特性さえ見極められれば、すぐレースをやめてもいい」と、司に言っています。

WJS 細かな情報を聞いて、負けている領域があれば、すぐにセッティングし直すわけですね?
片山 そうです。ベースのエンジンはしっかりできているからこそ、できる芸当なのです。

WJS 片山氏の考える「ベスト・レーシングマシン」というのは、まずエンジンありきなのですね。
片山 ベースが最強エンジン。そのエンジンパワーに合わせて、その威力を最大限に発揮できる船体を作る。船体も形状というより、「しなり」とか、「よじれ」をコントロールする。エンジンパワーが上がれば、変なしなり方や、よじれ方をするんです。そんなマシンは、誰であれ乗れないですから。

WJS 足まわりはどうですか?
片山 足まわりも大事だけど、スコープゲート(インテークグレード)が一番大事。というのは、「走行姿勢が最も大事」だから。

WJS 走行姿勢とはどういうことですか?
片山 SX-Rは、加速時だけフロントが浮いて、それ以後は下がります。どれだけエンジンパワーを上げても、最高速が伸びないと言われているのは、この姿勢のせいなんです。抵抗が、デカくなりすぎている。

WJS スコープゲートを改良することで、フロントが下がらず走れるのですね?
片山 そうです。理想の走行姿勢で走れるようにしています。だから、仮にウチ(ZERO)よりエンジンパワーがあるマシンが出できたとしても、ウチより遅いはず。それは、抵抗が大きいからです。

WJS 片山さんの造るマシンは、スタート後でもフロントが下がらないのですね?
片山 最初から最後まで、走行姿勢は同じになるようにしています。

WJS ベストな走行姿勢とは、具体的にどういうものなのですか?
片山 「エンジンパワーが、最大限、推進力になる姿勢」です。そして、それができているかを確認するのは、私の「目視」です。ほかのチームと違うのは、「エンジンパワーが、最大限、推進力になる姿勢」を最重要視して、姿勢を決めることです。どうしてもコーナリングを重要視する傾向がレース関係者にはあります。ウチは、「この姿勢」と、しっかり決めてから、コーナーは後で考えます。

WJS 確かに、片山司選手は、他の人と全く違うライン取りをして走っています。それがまた、片山選手の魅力です。
片山 コーナーによっては、エラい膨らんでるでしょ。それは、曲がれんのです。

WJS 最終的な目標は、どこにあるのですか?
片山 チャンピオンとか、何とかではなく、「今より、速くなる」ことです。

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